BS2で昨年から続いていた寅さんシリーズ全48作の放映が昨夜終了しました。以前にも記事にしましたが40作くらいからの寅さん(渥美清)は年齢のこともありますが、何よりも死病となった肺ガンのせいでしょう、元気がありません。彼の死後に若い頃、全盛の頃、死に至る直前を観るのですから、当たり前といえば至極当然ですが、そこに諸行無常を感じてしまいます。
最終作の終盤、奄美の加計呂麻島で若い満男を泉ちゃんを見守る寅さんとリリーさんです。寅さんこと渥美清さんは1996年8月にお亡くなりになります。この最終作の撮影は95年に行われています。95年1月17日は神戸大震災の日です。その年の秋頃に復興に立ち上がる神戸でロケが行われ、映画のなかでも主要なモチーフとなっています。
第一作(1969年・渥美清41歳)で、柴又のとらやに寅さんが二十年ぶりに帰ってきたシーンです、若いですね。溌剌としています、この頃の寅さんがオイチャンやタコ社長と取っ組み合いの喧嘩をすると、最も若い博さん(前田吟)も止めようがない時代です。
渥美さんがお亡くなりになる約一年前、撮影を見守るファンに手を振るのもサインをするのも大儀になっていた頃です。既に告知を受けていた自身の体調に加えて、ロケをした神戸市長田区の震災被害、48作も続いたシリーズの終焉法などなど、寅さんと渥美さん自身が感じていたであろう生者必滅・会者定離・諸行無常の蔭が偲ばれる最終作でした。それにしても、寅さんとリリーさんの「愛のあり方」はとても粋で見事なものです。
寅さんとリリーさんの「黄昏」について茫猿などが語るよりも、見事な語りと云うよりも「優しく見守るコメント」がここにあります。山田監督や「さくらさん」の述懐にも優るこの記事(男はつらいよ・覚書ノート)を紹介しておきます。この覚書ノートではシリーズ48作の白眉である寅次郎のアリア「第15作寅次郎相合い傘:リリーへの愛を語るアリア」も読めますし観られます。
そして最終作の掉尾を飾る決めセリフ(名台詞)です。
「男が女を送るっていう場合はな、その女の家の玄関まで送るっていうことよ」
『寅次郎 ハイビスカスの花』記事はこちらです。
『両三度の寅さん』記事はこちら、若い倍賞さんにも会えます。
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