質問書公開

 前号記事で話題にしました「規制改革・民間開放推進会議」が公表する「士業に関するアンケート(H18.10.11)」に関し、公開資料に掲載される「全国不動産鑑定士会」について、並びに日本不動産鑑定協会の強制加入問題に関する方針変更に経緯について質問書を鑑定協会に提出しましたので、要旨を公開します。


 誤解のないように申し添えますが、茫猿は全国不動産鑑定士会なるものに関わる人々の善意は否定しません。全国不動産鑑定士会は規制改革要望集中受付期間(06.06)に要望を提出し、その延長線上においてアンケート調査に応えたものと推量されます。しかし実体が伴わず僭称と受け取られかねない名称を用いて公的機関にアピールすることにより、対外的に誤解を招きよせる行為は慎むべきであろうと考えます。新スキーム問題にはじまり証券化鑑定実務指針策定問題にADR問題、さらに実務修習問題などが山積する折から如何かなと少し危惧します。この集中受付期間に何の反応も示さなかった鑑定協会執行部も批判されて然るべきかと考えますが、そのことと僭称まがいの行為とは別物と考えるのです。

「規制改革要望集中受付期間とは」
広く国民・経済界等から、全国で実施すべき規制改革・民間開放に関する提案・要望を集中的に受け付け、その実現に向けて関係府省庁と協議し、実施することとなったものについては、政府の対応方針として決定するもので、次のような特徴があります。
・ 民間企業・団体、地方公共団体、個人等、どなたでも応募できます。
・ 協議過程をホームページに公開することで、協議過程においても要望・提案者の見解を表明しやすくしています。

 士法制定や強制加入制導入について、茫猿は基本的に是とします。
是とした上で付け加えれば、現在の鑑定協会の在り方や鑑定業法の在り方は、規制改革・民間開放推進会議が目指している方向に近似するものといえましょう。いわば規制緩和時代の先取りと云えます。
 このことを踏まえた上での問題点は、このような重大事が理事会をはじめとする協会組織の審議を経ずして意見・回答されたことが懸念されます。またH17事業報告に記載されるとおり、理事会はH16.12には士法検討専門委から答申を受領し、是とするものであります。
 軽々な方針変更は逆もまた真となるのではなかろうかと危惧します。
そうでなくとも鑑定協会は事業の優先順位とか基本方針というものについて、揺れ動くというか方針を確定できないことが気に懸かります。さらに、このように方針が大きくブレることは、対外的信用度を欠損することにつながりはしないかと怖れるのです。
『公開資料:質問書』
(社)日本不動産鑑定協会
会長 横須賀 博 様
                         2006.10.26
                         (社)岐阜県不動産鑑定士協会
                         不動産鑑定士・森島信夫
『お尋ね致します』
 内閣府、規制改革・民間開放推進会議が公開する「士業に関するアンケート(H18.10.11)」について、疑問に思う二、三の事項についてお尋ね致します。差し支えない範囲にて御回答頂ければ有り難く存じます。なお、誠に不躾ながら、本照会状並びに御回答書は小生が主宰致しております「Blog:鄙からの発信」に掲載致しますことを申し添えます。
一、内閣府、規制改革・民間開放推進会議が公開する「士業に関するアンケート(H18.10.11)」には幾つかの士業団体が意見・回答をよせており、我が鑑定協会も回答するものですが、同公開資料四頁には「全国不動産鑑定士会」という名称を使用する組織(?)が回答をよせております。
1.この全国不動産鑑定士会なる組織の実態についてご承知でしょうか、お尋ねします。
2.鑑定協会と並んで回答を公開することについて、名称僭称の疑いもあり、推進会議事務局に事実関係の照会をされましたか、お尋ねします。
3.全国の士協会を除けば、鑑定協会は不動産鑑定士等の唯一の団体であります。一般に誤解を招きかねない並列掲載について厳重抗議されて然るべきと考えますが、会長は如何お考えでしょうか、お尋ねします。
二、公開される鑑定協会意見に関して
1.鑑定協会は「当会が強制加入制へ移行する必要があるものと考える」と回答されていますが、このような重大な方針変更について、如何なる審議過程を経られましたか、お尋ねします。
2.鑑定協会は昨年度、組織改編検討特別委員会に不動産鑑定士法検討専門委員会を設置しH16.12に「不動産鑑定法を資格者の強制加入を前提とした士法に移行する場合のプラス面及びマイナス面、士法改正に際してのハードル等についての報告を行い、共通認識を深めた。(第42回総会H17事業報告より)」のであります。
 この専門委答申を是とした理事会審議と今回の意見回答書との整合性はどのように理解したらよいのでしょうか、お尋ねします。

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