東北会盛岡セミナー

 既報のとおり、10/02は岩手県盛岡市で開催されました東北不動産鑑定士協会連合会主催のセミナーに参加しました。 早朝(07:45)に常滑空港を発ち、花巻空港(09:00)経由シャトルバスにて盛岡市に入り、駅前のメトロポリタンHで午後から開かれたセミナーに出たのです。 出席者数は席表で見るかぎり、ざっと百名くらい、指定席は中央前から二列目でしたが、朝五時起きで講義よりも眠気が勝つという有り様でしたから、正しくは伝えられませんが、記憶をたどって講義概要を記事にしてみます。


 セミナー開会の挨拶をされる小野寺東北会会長
  
第一部「金融危機が不動産市場に与える影響と不動産鑑定評価のあり方」
 講師:大和不動産鑑定(株)不動産コンサルテイング部長 村木信爾氏
  
 村木講師は昨今の景況が不動産市場に及ぼした影響について、REIT市場、サブプライム問題あるいはCRE戦略やPRE戦略について語った後に、地域における不動産評価の専門家としての役割をこう述べられた。
●顧客ニーズは(1)経営戦略レベル、(2)不動産ソリューションレベル、(3)運営、管理、利用レベルの三段階に区分されるものであり、不動産評価の専門家として、どのレベルに関わるのか、関われるのかを見極めるべきである。
●当然のことだが、それぞれのレベルの業務内容は、知識も方法論も異なる。
●CRE戦略やPRE戦略においても、この三つのレベルの仕事があることに留意したい。
●他の専門家と協働で経営戦略レベルのニーズに応えてゆかなければ、低価格競争に参加せざるを得ないだろう。
●不動産評価がサービス業である限り、サービスマーケテイングの考え方は必要である。
(注)CREとはCorporate Real Estateの略称で、「企業不動産」と訳されます。企業が事業を進めていく為に所有・賃借する全ての不動産を企業価値の向上の為に生かす手法を戦略的に検討することを云う。
(注)PREとはPublic Real Estate」の略称で、公的不動産について合理的に所有・利用しようという考え方である。(国土交通省のサイト
第二部「小規模鑑定事務所の市場環境と今後の方向性」
 講師:(株)船井総研 中條允人氏
  
 中條氏の講義はWeb戦略かなと思っていましたが、そうでもなくて、「チャンネル客の開拓」という点に主眼をおいた話でした。 要するにBtoCマーケテイングではなくBtoBマーケテイングということです。 相続であれ、売買であれ、賃貸であれ、個人であれ法人であれ鑑定評価ユーザーを直接開拓するのではなく(それは非効率)、それらの潜在顧客を自らの顧客とする金融機関、不動産会社、弁護士、税理士等のチャンネル客を開拓すべきである。
●より「多く」のチャンネル客と、より「長く」付き合って、「たくさん」紹介して貰うこと。
●なかでも難易度が低く、成長性が高いのは税理士チャンネルである。
●無駄のないマーケテイングで競合事務所を圧倒する。Web戦略が重要。
 両講師の講義を伺って改めて思うのは、成功のための近道や奇策などはなく、地道で息の長い努力、それも戦略性を持った努力が必要なのだと思いました。 地方の鑑定士にとって、両講師の講義を有効に生かすには、様々な日常業務や活動をCRE戦略やPRE戦略につなげてゆく努力を怠らないことであり、IFRS(国際会計基準)の適用に向けた準備を怠らないことであろうと思われる。 
 地場の業際専門家との付き合いを億劫がらずに拡充してゆくことからCREにつなげてゆくべきであり、固評や相評について新機軸を展開するなかでPREにつなげてゆくべきなのであろうと思われる。 そういった窓口や取っ掛かりは、実は地方の方が容易に得られるのであるから、そこからの差別化も容易であろうと考える。
 法人会、商工会議所、ロータリークラブやライオンズクラブ、同窓会などなど数え上げればきりがないほど機会はあるのだが、その機会を掴むか掴めないかは、各々の準備次第、資質次第ということに帰結するのであろう。 「鄙からの発信」でも以前から鑑定士のビジネス感覚やマーケテイングについて繰り返し述べてきたが、畢竟、自助努力という言葉に帰結するのであろう。
 さて、花巻空港付近のイグネを構えた散居村と稲田のモザイク模様です。
  
 新花巻駅前広場のセロ弾きのゴーシュ ジョバンニは同行のMさん。
  
 懇親会にて、次年度は青森県が開催地ですと、ご案内頂いた東北会才媛鑑定士の皆さん。
  

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