地価マップ、連合会の企画推進力-2

先号記事で、多くの人々が関心を抱くのは「不動産鑑定評価や連合会の今」ではなく「地価の推移」であり「都市の盛衰」ではなかろうか。連合会はネット世界に何をもって自らのプレゼンスを高めようと考えるのであろうかと、茫猿は考えると記した。

「本来は我々(不動産鑑定士業界)の仕事」と云う感覚だけで『 編集・加工』を為し得るものではない。ひとり(一事務所)で為し得るものでもない。それでも日本不動産鑑定士協会連合会であれば為し得るのではなかろうかと考えるのである。あとは『 やる気』ではなかろうかと考えるとも記した。そこで、『 やる気』の資金源を考えてみる。

日本不動産鑑定士協会連合会のサイトにはディスクロージャー・ページが存在する。そこには51回から53回の総会書類が公開されている。この総会書類のなかの各年次正味財産増減計算書を眺めてみると、「閲覧事業収益」なる科目がある。

従前の連合会は閲覧事業は行なっていなかった。閲覧事業は都道府県不動産鑑定士協会が所管する事業であった。正確な年次は記憶していないが、2013年頃から部分的ではあるがオンライン公開を含めて、閲覧事業は連合会が所掌する事業となったものである。当該事業収益を見てみると次表のとおりである。各年次の閲覧事業収益は事業収益全体の80%強を占めているのであり、各年次の会費収入に較べれば150%強を占めているのである。閲覧事業とは会員の地価公示等取引事例閲覧事業を云うものであり、地価公示等取引事例の元をただせば不動産取引価格情報提供事業に由来するものである。

当該収益はその全てが収益となるものではなく、閲覧事業に関わる諸経費負担、事務委託に伴う士協会交付金等の事業支出負担が伴う。いずれにしても固評評価替え年次を除く平年次において七億円強の収入があり、その余益は少なからぬものであろう。

この余益をもって地価マップ事業を遂行できないものであろうかと考えるのである。この件について、「鄙からの発信」アーカイブを検索してみた。

◉地価データに関わる a.真正の座標値、b.現況写真、c.地形図データを三点セットとして、士協会独自事業として閲覧に供するのである。この三点セット資料整備事業は、さらに拡大することにより現場に在るという自らのアドバンテージを強化してゆけるものでもある。 例えば都計用途図、学区図、浸水冠水区域図、軟弱地盤図、土砂崩壊危険区域図等ハザードマップなどのデジタルマップ化整備が検討できようし、電子国土における開示情報も日毎に充実しているし、地方自治体における都市計画基盤図をはじめとして整備が進められている地理情報の利活用にも連繋するものであろう。

唯一の課題は、地方圏域士協会の「やる気」の有無であろう。 単独では人的にも資金的にも障害が多ければ、複数の士協会が共同してシステムを開発し共同運用して、情報整備を進めてゆこうという意欲の有無であろうと考えるのである。(2013/3/13 「鄙からの発信」掲載)

◉問題は、この剰余金の処理である。 剰余が出れば閲覧料の切り下げ要求をはじめ、評価員手当や士協会配付金の増額要求が噴出するのであろう。 しかしこの際に問われるのは、選択と集中であろう。 閲覧事業特別会計は取引情報に係わるものであるから、この特別会計のなかで閲覧システムの増強や整備に係わる事業、取引情報そのものの充実に関わる事業を強化すべきであろう。 その種の選択と集中を戦略的に行えるかが問われているのであろう。(2014/3/15 「鄙からの発信」掲載)

◉取引事例資料に関わる地理情報の充実も早期に着手されなければならないであろう。アンケート回収データのみならず原始データも含めて、マスデータとして統計的解析や地理情報的解析が図られねばならないし、ノウハウの蓄積が待たれるのである。国土交通省が実施する不動産取引価格情報提供制度なるものは、その目標として取引価格の開示を目指すものであると云うことも留意しておかなければならないであろう。

それらの総ては、鑑定評価インフラ整備の一環であり根幹でもあろうと考えるのである。不動産鑑定評価 冬の時代を云われて久しいが、旧来型の鑑定評価にこだわる時代はとっくに終わっているのであり、鑑定評価の新しい展開を考えなければならないのである。その際において、取引市場の現場もしくは近縁に位置する不動産鑑定士が市場の現況を解明し開示してゆく存在であることが、鑑定士の存在感を高めてゆくのであろうと考える。

さらに付け加えるとすれば、不動産取引価格情報提供制度による事例収集は既に七年余を経過しているのである。この間の全データを基礎とする不動産取引市場センサスの実現に向けて連合会の総力を傾ける時ではなかろうか。不動産の専門家としての視点から解析する不動産取引市場センサス事業は、鑑定士のプレゼンス向上に大きな力となるであろう。以上は鄙からの発信「連合会財政とインフラ整備 ( 」より。

七億円強の閲覧事業に関わる余益がどのように費消されたのか、今や部外者ながら茫猿は気にかかるのである。地価Mapなど今から手がけても二番煎じ三番煎じという考え方もあろうが、公示地マップや路線価マップなどではなく鑑定士ならではの切り口も探せるであろう。取引価格情報基礎でなく、DI調査折込みや地価を含まない取引情報基礎という切り口だってあるし、その方が実態を示すかもしれない。

《節分追記》都市や地方の盛衰を、地価や取引件数の推移から、さらにDI調査の予測結果も含め、人口世帯数・GDPなど関連指標も加えて、公開されている資料から多様な分析を行なって社会に問うことが求められている。 などと考えるのは、老茫猿の繰り言なのであろうと一夜を経て思っている。静かに恵方巻きでも齧るとするか。
地価マップ、連合会の企画推進力-1

【閑話休題】雪のあと、畑はぬかるんでいるから野良仕事ができない。そこで久しぶりに「柚餅子」を作ってみた。出来上がった柚餅子をキッチンペーパーに包み物干しにかけた姿は、さながら逆さ照るてる法師の趣である。茫猿の柚餅子は柚子の中身をくり出して、クルミ味噌を詰めて蒸し上げ乾燥させるものである。一ヶ月もして干し上がれば、箸休めにもお茶漬けの友にも酒の肴にもなる。今年は八丁味噌にクルミの他にカシューナッツも加えて擦り上げてみた。

【閑話休題-2】
大相撲協会理事選挙、貴乃花親方は当選ライン9票に対して2票しか得られない結果に終わり、惨敗という論調が多い。だけど、もう20年も前に無投票阻止を掲げ当時の鑑定協会会長選挙に立候補した経験のある茫猿は、貴乃花立候補に同意できるのである。
同時に、負傷を押して出場し、本割り敗戦後の優勝決定戦で武蔵丸を破って優勝した現役時代の貴乃花を思い出し、変わっていないなとも思います。
感じる危うさ  )】

立候補には同意しながらも、大相撲協会の明確な改善方向を示さなかった立候補姿勢には疑問が残る。無投票阻止だけでなく、大相撲協会は何処を目指すのか語って欲しかったと残念に思う。語ってこそ立候補の本当の意味があったと思う。
一石を投じることはできたか  )】

 

 

 

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