芋名月

大和芋に続く芋の話である。栗《九里》四里うまい十三里という言い習わしがある。十三里とはサツマイモのことである。栗もサツマイモも九月の話であり、芋名月は旧暦の八月十五日すなわち新暦九月半ば過ぎの話である。《ここでいう芋とは里芋のことである。》今年の九月は長雨続きで月を眺めることも叶わなかった。十月も半ばになって朝夕は肌寒くなるとともに、夜空の月も星も輝きを増してきている。これから真冬にかけての冴え渡った夜空が茫猿はとても好きなのである。

ヤマトイモの収穫に続いて昨日はサツマイモを掘り上げた。少しずつ掘っては食している里芋の掘り上げ時期も近くなっている。この春のジャガ芋が豊作だったことに続き、今年は芋類の当たり年である。サトイモもヤマトイモもサツマイモもとても出来が良い。湿潤だった天候の影響もあるのだろうが、ファーマー茫猿の腕もそれなりに上がってきたのであろう。

ヤマトイモは様々なレシピで食している。トロロ汁にお好み焼きそしてヤマトイモ蒲鉾も食べたし、昨夜は鶏肉と生タラでツミレ鍋を食した。あっさりと柔らかい食感もさることながら、ほぐれて漂うツミレ汁に冷凍讃岐ウドンを入れたら、これも旨かった。畑では青ネギが端境期だからニラを刈り取って青味・薬味にしたのだが、これもマイウーだった。

サツマイモは天婦羅や大学芋に芋飯などで食するが、定番は焼き芋であろうと考えて、ダッチオーブンを納屋から取り出してきて焼き芋を作るのである。

掘り上げて土付きのまま納屋に転がしてある芋を洗い、a.裸芋のまま b.アルミホイールで包む c.濡れ新聞紙で包みアルミホイールを巻く の三種類を焼いてみた。今後の焼き芋造りの参考にしようと云うのである。ダッチオーブンの底には小石を敷き詰めてある。”遠赤外線?”利用の石焼き芋なのである。20161015yakiimo-1

弱火で約90分、とても綺麗に焼き上がった。熱々を食した感想を云えば、aは皮も香ばしくホクホク感たっぷりの焼き芋である。市販品にも負けない出来映えだった。bはネットリ感がある。ホクホクねっとりなのである。cはネットリ感が優っている。茫猿の好みで云えば、手間もかからないし食感も好ましい”a”が一番だった。ただ冷めた後ではどんな味わいになるかはまだ判らない。

芋の焼けるのを待つあいだに、色付き始めたスダチを収穫する。しばらく冷暗所で保存し様々に利用する。最近は毎朝の味噌汁に一個〜二個を絞り込んでいる。ビタミン豊富で爽やかな味噌汁と云う訳である。味噌汁にスダチ絞り汁?とお考えかもしれないが、味噌汁などの汁碗には”吸い口”というワザがある。味噌汁に香りや風味を添えると云う考えである。青サンショ、山椒粉、七味、ワサビ、ミョウガ、等々季節に応じて様々なひと手間を加えて味噌汁の風味を増そうと云うワザである。茫猿の吸い口定番は春は山椒、夏はミョウガ、秋冬はスダチやカボスそしてユズ皮なのである。

スダチ、カボス、ユズを較べてみた。上の一回り大きいのが柚子である。下左が酢橘《スダチ》である。大きさはゴルフボールくらいで、表面がツルッしている。下右は香母酢《カボス》、表皮はユズに似るが小ぶりである。いずれも酸味と香りを楽しむ柑橘類である。一番ジューシーなのがスダチで、ユズやカボスは皮を刻んで薬味にも用いる。20161015yuz-kabos-sudachi

先日のこと、草刈りをしていたらイタチがいた。木陰でこちらをうかがっていたが、近寄ろうとすると藪の中へ走り込んでしまった。体長20〜30cmくらいだろうか、いつぞやの夜に見かけたタヌキといい、イタチといい野趣溢れる鄙里なのである。ヒヨドリや百舌鳥も山から戻ってきて、早朝から鳴声が賑わしい秋深まる鄙里なのである。

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