久しぶりに草深包丁です。本日のメニューはスダチソウメン。
まだまだ硬い酢橘(スダチ)ですが、庭先の収穫物ですから、早め早めに摘み取っていただきます。大事に扱っていても、温州みかんやハッサクと違って、スダチばかりを食する訳にもゆかず、結局のところ秋深くに絞った果汁を冷凍するのが例年のことです。
すでに青い果実を摘み取れるというに、冷凍庫には昨年の絞り果汁が随分と保存されているくらいです。さて、酢橘素麺は素麺の上に薄切りしたスダチを並べ、見た目の涼しさとスダチの香りを楽しむ晩夏から初秋にかけての風物詩ですが、本記事の題目は酢橘もさることながら、茫猿特製の麺汁にあります。
スライスしたスダチを素麺と一緒に口に運べば、爽やかな立秋の香りと酸味が口の中に広がります。箸休めの惣菜はいま出盛りの十六ささげの肉巻きです。
お椀に入っている麺汁の色が薄いピンクなのがミソなのです。麺汁の材料はトマト、煮切り酒、出汁、醤油です。其々の分量はお好みでというほかはありません。トマト中玉1〜2個、煮切り酒半カップ、出汁も半カップをミキサーにかけてから、醤油を足しながら味加減を計ります。
トマトは湯引きして皮を剥きますが、我が鄙里では大量に収穫できた時のトマトが冷凍保存して有り、そのトマトを水で戻すと簡単に熱くもなく皮が取れます。トマトのグルタミン酸とカツオ&シイタケ出汁のイノシン酸、グアニル酸の相乗効果で素晴らしい麺汁になります。
酸味が強いのをお好みならばトマトを増やし、甘口をお好みならばトマトを控えめにしますが、それらの調節は一応の麺汁が出来上がったら火にかけて軽く煮立たせますが、この時に少し煮詰めれば、また違った味というかコクが感じられるようになりますし、日持ちも長くなります。トマトと醤油の相性はとても良くて、生のトマトに塩ではなく醤油をかけていただきます。
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