彌天芙敬に倣う(7月の経過-4)

2020.07.25(土曜)03:37 梅雨末期の雨
 ラジオ深夜便に促されて起きている。今日明日は雨模様のようだから、畑仕事も庭仕事もできそうに無い。07/27には手術までの日程を確認するつもりでいるが、今日明日は逡巡のうちに過ごそう。

 逡巡といっても、治療法の選択肢は既に絞り込み済みなのである。泣いたり喚いたりするでなく、ああでも無いこうでも無いと行きつ戻りつする様を楽しんでいる。七十を過ぎる頃から健康な自分を後ろめたく感じる時があった。病に伏したヒロカズやヒロムを見舞う時に、健康で持病を持たない自分が後ろめたく思えた。

 ヒロカズは2011/07に肺ガンを発症し手術を受ける。2011/11/12にマツダと共に鄙里を訪ねてくれる。2013/04/16に再訪してくれたヒロカズは2015/06/28永眠した。茫猿が発行した最後の鑑定評価書(此の時は意見書)は2011/07/11付けヒロム宛の書類である。彼はその後まもなく病に倒れ 2013/10/24永眠した。

 だから、脳梗塞に倒れた時に、何やらこれで人並みと「ホッ」としたものである。今や高血圧と血糖値安定剤と脳梗塞の治療薬クロピドグレル錠剤(血液凝固防止剤)の服用が欠かせない身の上である。とはいっても軽症で二週間で退院できたから、そう言えるのであって、今も病床にあれば厄病神を呪っていたことだろう。

 末期のお袋と親父のことを思い出す。4月の20日を過ぎた頃からか親父は、ほぼ寝たきりになったお袋が眠るベッドの横に椅子を持ち出して、うたた寝をするようになった。ある時などは居眠る親父の様子を見かねたのか、お袋が「毛布を持ってきて、オトーさんに掛けてあげて」と付き添っていた息子の嫁に言ったことがあった。病人に心配させてなどと、廻りの者は苦笑いしたのである。

 1913年生まれで、当時すでに96歳を超えていた親父である。不器用な大正生まれであり、病臥に伏した妻を心配はしても、声のかけ方も知らなかった。母が亡くなった05/08の夕方だって、夕食に酒を飲んでいたから、救急車が来て大騒ぎをしていても、彼一人高鼾だった。

梅雨末期の前栽と雑木林

 そんな彼であるが、長年連れ添った女房を枕元で見守る。うたた寝をしていても傍に居ることが彼の全てだったのだと思い返す。お袋だって嫌がることも邪険にすることもなく受け入れていた。

 それもこれも在宅療養を選択したからであり、親父も廊下を隔てた自分の居室から、思う存分老妻を見守ることができたのだと思い返す。

 医師二人によるALS患者の自殺幇助と見られる、昨年11月の事件が発覚した模様である。 京都“安楽死”事件「2年前、私がそのALS女性から受け取ったSOSのメッセージ」。 此の事件を機に、またまた安楽死、尊厳死、自殺幇助、命の選別などの話題が喧しい。「鄙からの発信」では西部邁氏や江藤淳氏のこと何度も記事にした。最近では”大西つねき”氏の発言を記事にした。自殺幇助者と云う逮捕者を出した西部邁氏(78歳没)の手仕舞いには賛成できないし、自死した江藤淳氏(66歳没)の遺書についても今もまだ語るものを持たない。

 「心身の不自由は進み、病苦は堪え難し。去る6月10日、脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず。自ら処決して形骸を断ずる所以なり。乞う、諸君よ、これを諒とせられよ。」

 新しく届いた後期高齢者医療被保険者証を眺め、一部負担金割合1割の記載に改めて感謝する。既に様々な検査で数万円余を負担しているが、無保険者であれば数十万円の支払いを求められている。社会が提供する後期高齢者への提供医療費負担は大きく、医療福祉従事者の負担も大きいものであり、大西某氏の説などによれば、政治により選別される側に茫猿は既に何歩も踏み込んでいる。

「鄙からの発信」は此処から始まった。
今にして思えば、1999年(H11)に
テレワークの実践を提唱していた。
茫猿はいつもいつも早過ぎた。

 明日は市民病院に向かい外科医と手術日程を打ち合わせる予定である。4連休に予定した前栽庭木の刈り込みも除草剤散布も先延ばしに終わりそうである。

2020.07.27 04:29(月曜) 曇りのち雨、昼過ぎ曇り
 雨は上がったようだ。懸念された梅雨末期豪雨であるが、特に大きな被害をもたらしたニュースは中日新聞WebもGoogleも配信していない。今日は朝イチで市民病院へ向かう。本日の予定は消化器内科から外科へ患者(茫猿)の引き継ぎ、及び若干の検査である。本日の検査は呼吸機能検査と心臓超音波検査である。全て終えて帰宅したら、只今12:30である。次回は07/29の説明外来である。ここで手術日程が決められるようだ。

 検査疲れと云われることがある。改めて数えてみれば、結構な検査量である。待ち時間、待つ間の緊張、などなど、一ヶ月間に及ぶ検査と検査用薬の服用、注射もある。溜まりに溜まった疲れを感じている76歳である。
06/23 Nw医院にて、経鼻内視鏡カメラ検査、生体検査
06/30 市民病院にて、CTスキャン、及び超音波検査
07/01 上部消化管経口内視鏡カメラ検査
07/15 悪性腫瘍 PET+CT 画像検査
07/16 上部消化管バリウム透視検査(バリウム服用が辛い)
07/20 下部消化管検査・大腸ポリープ切除術(下剤服用が辛い)
07/22 検査結果告知、術法決定は延期
07/27 内科から外科へ、呼吸機能検査&心臓超音波検査
07/29 外科説明外来、手術日程決定

(7月の経過-5)に続く

《ご寛恕下さい》本記事は公開予約投稿です。2020/08/15以前に記事を作成し、08/20以降にサーバに公開予約をして開示するものです。したがいまして、本記事をご覧になってお問い合わせなどのメールをお寄せ頂きましても、筆者茫猿はメールを読むことも、当然お返事を書き込むことも叶いません。入院に際して病室に「MacBook Air」は持ち込んでおりません。またWi-Fi環境も有りません。悪しからず、御了承下さい。

《表題について》「彌天芙敬に倣う」とは我が父母の法名(一般には戒名とも云う)彌天(父)、芙敬(母)に倣う(ナラウ)である。父母の旅支度及び旅立ちを手本としてまねると云う意味である。

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