ところで、先々号記事でちょいとふれましたRea Reviewですが、9月の常務会で話題にはなったようですが、大半の役員氏は無関心というか実効性に疑問を呈されたようです。
一応は担当委員会が指名されたと伺いましたが、どうやらムヤウヤナムナムと推移してゆきそうです。そのうち、立ち消えになるでしょう。 実効性に関して言えば、当初からお伝えしているように、先ず制度を整備することによりコンプライアンス姿勢を示す、次いで実効性を求めた活動を続けてゆく、つまり仏を造ってのち魂を注ぎ込んでゆくということであろうと考えているのですが。
Rea Reviewをどのように立ち上げるか、制度設計するかなどという前に、Client Influence に関わる役員諸氏のコンプライアンス姿勢が問われているし、リスクマネージメントが問われているのだという問題認識は、ひとり茫猿だけの”杞憂”のようです。 というよりも茫猿=オオカミ少年という見方が大勢のように伺いました。 この件については、「Rea Review 制度Q&A」をご参照下さい。
自慢話に聞こえましょうが、あえて聞こえても構わないと思いますが、この十年余の間に茫猿が提唱したこと、問題提起したことは、その後数年以内に現実のものとなっています。 今回も三年は早かったようですが、三年後に、現実の話題となると予感しています。(茫猿は一年以内に鑑定協会のコンプライアンスが、正面切って問われるであろうと予測していますが。)
当たるも八卦、当たらぬも八卦なのでしょうが、この秋から鑑定協会は二年ごとの役員改選の季節に入ります。今回は巷間噂されているところでは、大幅な役員交代が囁かれています。 それに加えて公益法人改革、連合会移行、協会設立五十周年、そして地価公示の行く末が問われていますから、Rea Reviewなどにかまけている余裕はないのでしょう。 それでも、それだからこそ、Rea Reviewがそれらの根底に位置するのだと茫猿は考えていますが、秋の夜長、皆様はどのようにお感じになっていましょうか。
公益法人改革、連合会移行、協会設立五十周年、そして地価公示の行く末に加えて、Client Influence Problem、Rea Reviewを並べてみての優先順位をどのように考えるかが問われているのであり、相も変わらぬ、茫猿の一つ覚えで申うさば、リーダーたる方々の”センス”、”センサー”、そして”スピリット”が問われているのです。 と申しましてもリーダー諸氏をあげつらうのは本意でなく、彼らの足を引っ張り手を縛る会員諸氏の問題認識如何が問われているのです。
これ以上、鑑定評価が直面する状況を悪くしたくない、何とか現状維持を少しでも過去の隆盛期に戻したいという多くの鑑定士の問題認識を責める訳にはまいらないと考えます。 でもマイナスのスパイラルから脱却するには、思い切ったブレイクスルーが必要なのだと云うこと、リスクを取ろうとしない行動に未来などないと云うことに気づき行動を開始するセンス、センサー、スピリットが問われていると申し上げるのです。
とまあ、こんな原稿を書いている時に、鑑定協会から2010年10月20日発行のメルマガが配信されてきました。 そこには「不動産鑑定業将来ビジョン研究会」の設置に伴う会員からの意見募集についてとありました。 該当のサイトページを閲覧すると、意見募集のテーマは次の三項目が提示してありました。
【3つの主なテーマ】
①産業組織改革・新ニーズの発掘 (Aチーム担当)
② アジアン・デファクト・スタンダード (Bチーム担当)
(日本の不動産鑑定制度のアジアへの展開等)
③ 依頼者プレッシャー対策 (Cチーム担当)
①産業組織改革・新ニーズの発掘
新ニーズの発掘は理解できます、永遠のテーマであり常に新しいテーマでもあります。 冷ややかに言えば、容易に存在が得られるものでもなく、簡単に見つかれば誰も苦労はしないと云えましょう。 産業組織改革というテーマは意味不明です。鑑定業自らの産業としての組織改革というのでしょうか、産業と云うほどのものでもなかろうと思いますが、何を指すのか理解できません。
② アジアン・デファクト・スタンダード
日本の不動産鑑定制度のアジアへの展開等については、先月のことになりますが、某筋から「鑑定制度の輸出等」と題するテーマで意見交換会開催のご案内をいただきました。 生憎と先約と重なりましたので、出席は叶いませんでしたが、このビジョン策定という背景もあってのことだったのでしょう。
③ 依頼者プレッシャー対策
このテーマについては、先般来、茫猿が提唱している「Client Influence Problem」のことであり、「Rea Review」提案につながるものでしょう。 せっかく意見を求めているのですから、改めて提案してみようと考えています。
得てしてビジョン作成などというものは『お題目を唱えてお茶を濁す』に終始することが多いから、多くは期待できませんが、それとても関わるチームリーダーの姿勢一つで如何様にも変わるものといえます。 不退転の決意とか、万難を排してとか申しますが、そのような大言壮語や虚仮威しはどうでもよくて、多勢に無勢などと簡単に諦めない粘り強い姿勢こそが求められるのでしょうが、はてさて如何なりますことやら。
もう一度申し上げますが、リーダーや役員諸氏を責めていても何も解決しませんし、何も得られません。 不動産鑑定士である会員ひとりひとりが、真剣に自らの将来を考え、自らの将来は業界のこれからの有り様如何に懸かっているのだと強く認識することから、一歩が始まります。 小さな一歩であっても、一人二人と理解者や支持者を増やしてゆくことからしか、大きな一歩は得られないと考えます。
「負け続けることに意味がある」と申された久野収氏を思い出しますし、「負け戦にかける」と言われ続けている福井達雨氏を思います。
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