NHKアーカイブス

 最近の月曜日の朝は寝不足です。この夏の寝苦しい夜のせいもありま
すが、主な原因は日曜日夜11時半から放送される「NHKアーカイブ
ス」のせいです。ご存じの方も多いと思いますが、深夜番組ですからお
見逃しの方もお見えになるかと思い、ご紹介します。
「NHKアーカイブス」という番組は、NHKが保管しているTV放
送初期からの大量の映像記録中から、優れたものを選んで再放送する番
組です。日曜の深夜11時半頃からから月曜にかけて概ね1時間~2時
間放映されています。主に1960年代から1970年代にかけてNHKが放送
した番組を再放送しています。放映内容は、ドラマ、ドキュメンタリ-、
新日本紀行などです。
 再放送される番組の制作年代は、茫猿の青春とも重なりますが、TV
放送が今とは異なり、モノクロ画面が多いこと、或いはカメラワーク、
演出なども全体にゆったりとしており、懐かしの名画を見る気分に浸れ
ます。昔の名画座みたいに画面に降る雨さえも楽しめます。
 最近の番組ではこの二つのドラマが印象に残っています。
・ テレビドラマ「どたんば」(1956年/昭和31年)
炭坑の落盤事故をテーマにして、坑内に閉じこめられた抗夫達の人間模
様と坑外の必死の救援作業をスタジオ内のセットで、生放送するドラマ
でした。今のビデオ収録と編集の伴うドラマと違い、臨場感が溢れる舞
台ドラマのような迫力がありました。
 主演の三国連太郎も若々しく荒々しく、映画「釣り馬鹿日誌」で好々
爺の社長を演じる今の三国連太郎とは二味も三味も違う迫力を感じました。
・テレビドラマドラマ「氷雨」(1959年/昭和34年)
松本清張原作ドラマで、汚職事件で自殺に追い込まれた、西村晃演じる
公団会計課長の妻淡島千景の復讐劇です。モノクロ画面にみる淡島千景、、
佐分利信、西村晃等若い出演者(当たり前のことですが)を懐かしく見ま
した。
 他にも
・ 特集「TOKYO」 (1963年/昭和38年)
・ テレビ指定席「駅」 (1965年/昭和40年)
に、東京オリンピック当時の東京の様子をかいま見ます。
・ 日本の素顔「泥海の町─名古屋市南部の惨状─」
(1959年/昭和34年)
に、伊勢湾台風当時の名古屋の惨状を改めて実感しました。
 カラー番組で、使用するカメラ台数が多く、斬新といえば斬新、別の
云い方をすれば画面展開が速く情報量も多い最近の番組と比較して、総
じてゆったりと流れる映像に古き良き時代が懐古できます。
 ドキュメンタリー番組を見ていても、当時の日本の貧しさを感じます
が、しかし災害報道番組でもなぜか明るさを感じます。
 それは、東京オリンピック以後の戦後復興を成し遂げた日本の自信を
画面のどこかに感じるからでしょう。そして大阪万博につながる高度成
長の希望へ、社会全体に明るさがみなぎっていたからでしょう。
 日曜の夜更かしは翌日にややこたえますが、しかし当時のNHKアナ
ウンサーの伸びやかな語り口に、失われかねない日本語の美しさを味わっ
たり、端役で出演している若き日の大物俳優や今は亡き名優に再会した
り、当時の銀座や新宿の街頭風景や街を走る懐かしの車に出会ったりし
て、楽しいことも多いので、当分は日曜の夜更かしが止められそうにあ
りません。【番組予告は下記のURLからご覧下さい】
アーカイブ archive
 アーカイバーで1つにまとめられたファイル。あるいは、インターネッ
ト上で公開されているファイルの保管庫のこと。(C)日経BP社 1998
「NHKアーカイブス」
アーカイブス【Archives】は英語で【記録(保管)所】の意味で、歴史
的な意味合いを含めて、貴重なテキストや映像などの情報を保存・活用
する機能や場所を示す世界の共通語となっています。番組のタイトルは
このからアーカイブスとられています。
NHKが保有する膨大な番組ソフトの中から、主に1950年代から1
980年代はじめまでに制作された、ドラマとドキュメンタリーを中心
に放送されています。今後のラインアップも予告されています。
 URL http://www.nhk.or.jp/archives/index.htm

関連の記事


カテゴリー: 只管打座の日々 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください