行く歳と来る歳

【只管打座・・行く歳と来る歳・・02.12.25】
 2003年度の国家予算案が発表されました。
一般会計総額 82,000,000,000,000円(82兆円)という額は大きすぎて、
想像もつきません。しばらく前に流行った「世界人口が百人だったら」
にならって、理解しやすい単位に置き換えて考えてみました。以下は日
本人口が1億とすれば、ほぼ一人当たりという計算にもなります。
・家計の食費・衣料費・住居費・医療費・光熱費その他 48万円
・住宅ローン・消費者金融の返済額というより利払い費 17万円
・息子や娘への仕送り、パラサイトシングルへの援助費 17万円
・以上の支出合計額が 82万円(※仕送りとは地方交付税額)
・これに対して収入は
・増えない給与・減額された賞与を合わせても 45万円
・足りないから銀行やサラ金からの借り入れで 37万円 合計82万円
というようなことでしょうか。
 一般家計費48万円は切りつめたり、伸ばしたりする余地がまだまだ有
りそうですが、老齢の両親の医療介護費や自分たちの食費を節約する余
地は少ないぞというのが既得権派の言い分なのでしょう。
利払い費17万円は、切りつめられません。
利払いを怠ったら破産宣告に直結してしまいます。
 息子・娘達への仕送りは多少減らせそうですが、むやみに減らせば、
彼等の学業生活がアルバイトに追われて成り立たなくなるでしょう。
 自分と子供たちのローン残高は700万円になろうとしています。
この借金残高は色々な計算方法があって国・地方の公社公団等を併せる
とゆうに1000万円を超えているという試算もあるようです。
それでも、家を増築し家具を買い替えたい(新幹線や高速道路を新設)と
いう家族の期待に応えなければならないのでしょうか。
 別に個人資産が1400万円あるからという話が語られますが、このお金
の実態は、いつでも払い出し可能な銀行預金という訳ではなくて、金遣
いの荒い親戚(財政投融資)に貸し付けているのであって、利払いすらも
おぼつかない状況が道路公団をはじめとして見えてきました。
まさに、何処へ行くのか日本、という状況でしょう。
 さて、今年もあとわずか、暦の区切りが人生の全てを区切るわけなど
有るはずもないのですが、世間が区切る以上、世間に過ごす我々として
も、それらの区切りを無視しての日常が成り立つわけもなく、新しい歳
が少しは希望の曙光が見える歳であるように期待したいと思います。
 特に否応なく還暦という大きな区切りを意識せざるを得ない、茫猿の
加齢を考えれば、希望のみ大きくて足許のおぼつかなかった青春の頃は
記憶も遠くなり、一つ一つの手応えに沸き立つ想いの朱夏は懐かしい彼
方です。落ち葉踏みしめる乾いた音のみ耳に響く白秋すらも足早に通
り過ぎてゆこうとしています。
 残されているであろう、玄冬という歳月をこそ如何に迎えようか、如
何に楽しもうかと、想い巡らす歳末です。
 
 玄冬は厳冬にも玄妙にも通じます。だからこそ、さわやかに玄冬を迎
え、美しく過ごす玄冬でありたいと、切実に願っていますが、それとて
も息子達に云わせれば、「逃げおおせた親爺達世代の気楽さが言わせる
事よ」と、白い眼で見られています。
 朝の来ない夜はない。夜明け前が一番暗い。そう思わずにはいられま
せん。希望という曙光を失うことこそ全てを失うことに他ならない。
前に進む希望と勇気さえ失わなければ、人は常に青春のただ中にいるの
だとうたったのは、サミュエル・ウルマンだったか、ゲーテだったか。
「糠に釘」であろうと「馬耳東風」であろうと「柳に風」であろうと、
来る歳も茫猿は市井の片隅から吠え続けてまいります。
 『鄙からの発信』も2003年は五年目の春を迎えます。
この四年間の読者諸兄姉のご声援に篤くお礼申し上げますと共に、
読者各位ご尊家と貴兄姉に美しい佳き歳が来ることを、
お祈り申し上げまして、年越しのご挨拶と致します。
 Gratitude m(_ _)m  
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・・・・
 お歳暮代わりに、都々逸を幾つかどうぞ。
・貧乏をすれど、この家に風情あり、質の流れに、借金の山
・九尺二間に、過ぎたるものは、紅のついたる、火吹き竹
・いつも圏外、怒ってメール、あなたいったい、何してる
・都々逸下手でも、遣りくりゃ上手、今朝も七ツ屋で、誉められた
・世の中は、酒と女が仇なら、どうか仇に、めぐりあいたい
 ※七ツ屋とは「しちや・質屋」

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