【茫猿遠吠:真の民意は何処に:05.09.20】
民主党の新しい代表が前原さんに決定した後で、こんなことを云うのは遅かりしであり気が引けるが「早まったのでは岡田さん」という心境です。岡田さんは政権交代ができなかったら代表の座を降りると公言していたのだから、やむを得ないことであるが、選挙結果は獲得議席数に見るほどは一方的ではない。岡田さんは十二分に善戦したのであり、彼一人に敗戦の責を負わせるのは少しばかり酷というものである。前原氏の登場に不安を感じている者としては、繰り言と判っていても岡田氏早まったりと云わざるを得ない。
※獲得議席数 自民・公明両党 327議席 68.1%
民主・共産・社民他 153議席 31.8%
ところが、比例区票数を見ると
※比例区獲得投票数では 自民・公明 34,925,418票【51.47%】
民主その他 32,935,653票【48.53%】
自公民営化賛成派と民主・共産・社民の民営化反対派は僅差で拮抗しているのである。獲得議席数で24:1とボロ負けの東京選挙区でも比例票数では53対47なのである。また、9/15の日刊ゲンダイその他の記事によれば小選挙区において同じく反対派の獲得票数は3,419万票であり、賛成派の票数3,389万票を30万票ながら上回っていたというのである。
つまり、小泉総理が勝ち誇るように「国会で暴論と云われた郵政民営化は、国民の圧倒的多数の賛意を得た。」訳ではないのである。小選挙区並立比例代表制という選挙制度のもたらした地滑り的勝利なのであり、小泉総理流に云えば国民投票的な意味で民意は反対もしくは拮抗した賛成票しか与えていないのである。
もちろんのこと、米国の大統領選挙と同様に獲得票数と獲得選挙人数は大きく食い違うこともあるのであり、時には獲得票数で勝っても選挙人数で負ける場合もあり、その制度下で黒白を争う以上ルールはルールである。
何が云いたいのかといえば、小泉総理の在り様に疑義を持ち続ける者として、今回の選挙結果はひたすらに沈み込んでいればよいというものではないのである。
・一つは日本の民意の真っ当さを信じてもよいのだと云うこと。
・もう一つは、僅かな差で逆もあり得ると云うことである。
ひょっとすると、小泉・前原改憲連合がひた走る可能性もあり得るわけなので、尊敬する久野収流に云えば負け戦から始めることも大事だと思うのです。
久野収先生の信条や箴言は幾つか有ります。
「来る日来る日を今日限りとして生き尽くせ」「神は細部に宿る」「少しでも理想に向かうことが我々の勝利であり、どんな敗北の中からも民主主義完成の契機がある。どんなに敗北を重ねても負けない自分がここにいる。それが人間の勝利であり、それ以外の勝利を考えるようになると組織や運動はもちろん人間の堕落が始まる。」
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