夏の季語である麦秋は、五月のものか六月のものか、鄙の堂守としては六月がふさわしいように思える。梅雨前の晴れの日、幼い頃に当時は二毛作の麦を刈り取る手伝いをした記憶がある。
郡上市美並町地内で麦の刈り取り風景を見かけた。東海地方も先日梅雨入りしたから、晴れ間を惜しんでの採り入れである。昔と違い大型コンバインで刈り取っているから、集団営農による転作田であろう。刈り取っている麦は、堂守が幼い頃に手伝った小麦畑とは違い大麦のようだった。稲とは違う麦独特の稔りの匂いをかぐと、数十年前の寒風のなかでの麦踏みや、刈り取りや、芒(のぎ)が汗にからんで痒かったのを思い出した。
近くの水田では田植えの準備が進んでいる。そのなかに羽の色が茶色を帯びた白鷺が餌を探していた。田起こしが済んだ農地は地中の小虫たちが掘り起こされていて鳥達の格好の餌場なのである。茶色と白のマダラ模様の鷺は、多分今年生まれたばかりの羽が生え替わる前の幼鳥なのであろう。隣にいるのは母鳥だろうか。
『鄙からの発信』定番、郡上市内旧美並村の蓋である。「美並村・特環」の文字が見える。
別の朝、水田に超然とたたずむ青鷺を見かけた。
青鷺は警戒心の強い鳥である。近くで写真を撮ろうと車のドアを開けたら飛び立ってしまった。
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