ひと雨毎に秋深く

 木の芽起こしの雨という表現がある。一雨毎に暖かくなるとか春の色濃くなるという表現もある。 その伝でいえば、一雨毎に冬が近づいたり秋に戻ったりする今の陽気である。 そんな変わりやすい気候を気にかけながら、明日の塾の準備をする傍らに街角でみかけた晩秋の風情を切り撮ってみる。


 事務所近くの美江寺公園では噴水が今日も上がっている。 陽射しのきつい夏には幼児の遊び場になっていた噴水も、薄曇りの空の下、今では無用というよりも何やら寒々しいのである。 夏炉冬扇というけれど”夏の風除け、冬の噴水”でもある。
   
梅雨前だったか、ほどよく伸びていた酔芙蓉が無惨に刈り取られていた。 切り口も鉈状の刃物でザックリといった感じである。 今小町交差点付近にある数株の芙蓉すべてが刈られていたから、イタズラなどではなく管理者の行為と思われるが、もうしばらくすれば花を付けるのに無惨なと感じたものである。 芙蓉はその後切り株から芽をふき、初冬近くなってようやくに花を咲かせている。 気温が低く陽射しも短いせいだろう、いつもの年よりは花が小ぶりである。 それでも午後ともなれば、酔うたようにほんのり薄紅色に染まっている酔芙蓉。
    
 酔芙蓉のある交差点の少し手前、民家の庭の南天は赤い実をびっしりと成らせている。 初雪のころには野鳥の餌となるのだろう。
    
 交差点を渡って、いつもランチをいただく喫茶店では、夏の日除けに頑張ったスイカズラが枯れ葉になりかけている。 「侘びしいから、除いたら?」と女主人に伝えたら、「マスターが釣り場で腰を痛めて、できないの。 痛みがとれたら早速に片づけるわ。」ということだった。 これも夏炉冬扇か。
    

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