Donald John Trump 氏が米国大統領選挙に勝利した。日米欧のマスコミは大番狂わせと騒いでいる。株式市場や為替市場も番狂わせを受けて乱高下している。しかし、番狂わせと騒いでいるのはエスタブリッシュメント《規制秩序形成層》だけのようである。マスコミもエスタビリッシュメントを形成する一角であれば、当然のごとく騒ぐのであろう。茫猿はTrump氏の勝利をそれほど意外とは考えない。このことに関して「鄙からの発信」は、半年前にこう述べている。
[サツキ咲き出す ( 2016年5月28日)]にて、以下のように述べているのである。
《2016.05.28 Facebook 》
トランプ候補の大統領への道が見えて来るのに連れて、困った候補、変な候補という世評から、本質を評価するものに変わってきた。プロの政治家には無い直裁さが評価されるようになってきたようである。
TPP反対はグローバル資本主義へのアンチテーゼであり、富裕層への増税は格差是正を目指し、日本だけでなく諸外国とのつき合い方に関する主張は紛争解決策の本質を示しているようである。プロの政治家候補《州知事や上院議員を経ている》が持っている、現実との妥協姿勢や既成エスタブリッシュメントとのシガラミを持っていないことが評価されてきたと云えよう。
(注)日本のマスコミは既成エスタブリッシュメントの一角を構成している。だから彼等の伝えるニュースや論評は、既成エスタブリッシュメントからの視点である。もっと端的にいえば、既成エスタビリッシュメントにとって不都合な候補へは”排除”の視点が見え隠れするのである。 庶民が歓迎する候補は、既成エスタブリッシュメントにとっては困った候補、変な候補なのだということを露わにしてきたと云えよう。《ここまで05/28掲載記事》
今さらに訳知り顔をするのではない。Trump氏の勝利は想定外などではなく、大統領選挙出馬当時は泡沫候補扱いされていた彼が予備選挙を勝ち抜き、マスコミやエスタブリッシュメントの予想を裏切って本選挙で勝利した経緯を振り返れば、商業マスコミを鵜呑みすることの愚かさを思うのである。
2016年7月1日には「ビッグデータで選挙予測」にこんな風に書いている。
米国大統領選挙におけるトランプ候補の躍進、英国・国民投票によるEU離脱選択、参議院選挙の争点隠し、東京都知事をめぐる空騒ぎなどなどを見ていると、ポピュリズムの墜ち行く先が見えてくる。衆愚政治を嘆くのではない。情報を操作し庶民大衆を煽り誘導する権力構造の巧妙さを嘆くのである。
とかくヒエラルキーに連なる者はクラッシュを嫌うけれど、失うモノが無い者はクラッシュに活路を見出すのであろう。思い返せば「TRUMP」を訳すると「切り札」なのである。彼がアメリカの切り札になり、グローバル資本主義の行き過ぎを糾し日米安保の見直しを主導する大統領になってほしいと思うのである。
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