安倍内閣 四つの検証

その昔、「経済は一流、政治は二流」と長く云われてきたが、今や経済は二流、政治は三流の日本に成り下がってしまった。「モリトモ公文書改竄」が問われている今こそ、この五年間に安倍内閣が何を行ってきたかを検証する必要がある。

安倍内閣が行ってきた幾つかの政治結果について、様々な議論が存在するが、茫猿はなかでもこの四項目について検証し記録せねばならぬと考える。同時に、これらの項目についてマスコミ、識者、コメンテーターなどが、何を語ってきたかも記録されねばならないと考える。

一、解釈改憲
2014.07.01 解釈改憲を閣議決定して、集団的自衛権行使に道を開いた。安倍内閣は集団的自衛権の“限定的”行使に道を開く閣議決定を強行した。戦後七十年の日本の歴史を全否定するに等しい解釈改憲という禁じ手を用いた日として、歴史に記録されるだろう。

憲法解釈の最終責任は内閣にはなく、司法、最終的には最高裁判所にある。立法府や行政府がやることは、最高裁に違憲だと判断されないような法律をつくり、そしてまた解釈し、運用することである。 閣議決定で解釈を変えて、それに基づいて自衛隊法などを改正するということは、下位の法律によって上位の憲法の解釈を変えるという禁じ手である。

もう一点、立憲主義とは、国家の役割は個人の権利や自由の保障にあるとするものである。憲法によって国家権力の行動を厳格に制約するという考えで、日本国憲法の基本原理えある。

二、アベノミクスの功罪
国債の日銀引き受けと年金資金による株式購入の拡大という禁じ手で、株価上昇を演出しただけのアベノミクスである。五年を経過してもデフレは脱却できず、実質賃金は下降し、非正規雇用は増加し、消費者物価は製品容量削減という隠し手で実質値上げが横行している。株価上昇とマイナス金利は国民の二極分化を拡大させている。

三、モリトモ問題
私立小学校設置は都道府県に認可権がある。モリトモ問題の発端は維新・大坂府が2012年に私立学校設立認可基準を緩和して、借入金による小学校設立を認めたことにある。教育勅語を暗唱させる森友学園・瑞穂の國記念小學院の設立を認可しようと設置認可基準を緩和した維新・大阪府、そしてそれを講演や名誉校長就任で後押ししたのが安倍総理夫妻。

加計学園による獣医学部設置問題も、同じような背景が指摘できよう。加計学園は今治市に獣医学部設置を後押しさせることからはじめ、安倍総理に”お友だち”支援後押しをさせた。森友学園では安倍昭恵総理夫人と学園主宰者籠池泰典氏との写真や、総理夫人の学園訪問や講演が話題になっているが、加計学園では学園主宰者加計孝太郎氏との親密交際写真やゴルフが話題になっている。いずれも疑惑無しであるとしても総理たる者「李下に冠を正さず、瓜田に履を納れず」なのである。

最も糾されなければならないのは、「教育勅語を唱和させる教育」を提唱する森友学園に安倍総理と安倍昭恵夫人がシンパシー《共感》を抱き、さらにそのことを公言していたという事実である。戦前教育への回帰にシンパシーを持っていたということである。

四、外交、特に米国との関係
安倍内閣の米国一辺倒外交には大きく問題がある。米国トランプ大統領に追随してきた挙句、トランプ米国大統領に見捨てられた。日本はアルミ・鉄鋼輸入制限で除外されず。ゴルフ接待も大量の兵器購入も大統領には忖度もされなかった。

トランプ大統領は3月初め、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税を課す大統領令に署名した。これに対し他国は激しく反発しており、EUは除外を求めていた。米通商代表部は03/22、翌23日から導入される鉄鋼とアルミニウムの輸入品に対する追加関税について、欧州連合(EU)加盟国と、韓国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンの6カ国と発表する。日本と中国は除外されなかった。

北朝鮮問題についても、米国に追随して経済制裁一辺倒(言外に武力制裁も容認)を持続し、「対話のための対話は行わない」としてきたが、南北朝鮮は首脳会談を決め、米国も米朝首脳会談を決めた。今や日本だけ”蚊帳の外”である。

経済制裁網に参加しても、背後では対話チャンネルを残し維持しておくのが外交というものであろうに、対話チャンネル不在なのである。置き去りにされた「拉致被害者」の嘆きを、安倍総理は如何に聞くのであろうか。

これらの四項目に誰が何と論評したかを、検証し記録しておくことが大事と考える。さらに、公文書改竄問題が騒がれているなかで、和田政宗参議院議員のトンデモ発言《太田理財局長への行き過ぎというよりも侮辱質問》を議事録から削除すると参議院予算委員会は決定した。しかしながら、これは公然たる議事録改竄ではなかろうか。トンデモ発言(質問)と太田局長の答弁を議事録という公文書に残しておくことこそが民主政治の歴史を残すことであろう。発言自由を曲解した誹謗中傷発言という恥部暗部を教訓として議事録に残すことこそが大切なのであろう。

さらに云えば、公文書の改竄は、歴史記録の改竄であり、歴史修正主義である。それが日本社会の劣化を生み出しており、そのことが幾つか現れた大企業の製品検査記録の改竄にもつながっている。

2014.07.01という日付 投稿日: 

安倍総理は朝日新聞を「嘘つき新聞」と国会答弁でも名指し批判をしていたが、朝日新聞は03/02『森友文書 書き換えの疑い』と報じた。その後、03/06になって財務省は原本文書の存在を認めた。朝日を批判してきたいくつかのメデイアはなんと答えるのか。

真っ向批判したのが産経新聞、フォロー記事を掲載したのが毎日新聞なのである。

 

 

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