2015年の安倍総理

選挙前から予想されていたことであるけれど、第三次安倍内閣発足後の記者会見《12/24》で安倍総理は、アベノミクスという羊皮を脱ぎ捨てたように思える。正確にいえばアベノミクスは耳ざわりのよい羊皮などではなくて、金融の超緩和政策による円安誘導と公共事業の大盤振る舞いというイリュージョンに過ぎないのである。何度も言うけれど、円安を歓迎するというのは、日本が値下がりすることを喜ぶということなのである。 過剰な円高を是正するということとは、似ているようで真逆なのである。

記者会見で総理はアベノミクスの今後について此の様に語っている。

農業やエネルギー、雇用、医療といった分野で大胆な規制改革を断行していきます。改革が後退したり骨抜きになることは決してありません。年明けの通常国会に農業やエネルギー、医療、雇用といった分野、規制改革について関連法案を提出してまいります。残念ながら先の臨時国会で廃案となった国家戦略特区法の改正案も一層大胆なメニューを加え、次期通常国会に提出をする考えであります。
また、日本の企業の競争力を高め、雇用を確保し、国民生活の向上につながっていくという観点から、法人税を成長志向型に変える改革も行っていきます。財源を確保した上で、数年で実効税率を20%台に引き下げることを目指し、来年度から引下げを開始いたします。

同時に憲法改正と安全保障問題についても自民党選挙公約が信任を得たのだという前提で此の様に語っている。

「安全保障問題について」 今回の総選挙では、外交・安全保障政策についても大きな争点となりました。地球儀を俯瞰する外交を進め、国益を確保する。そして、国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜く。その決意に揺らぎはありません。
現在、7月に閣議決定した基本方針《集団的自衛権の行使容認》に基づき、来年の通常国会に向けて、切れ目のない安全保障法制の準備を進めています。《中略》 今後、中谷大臣の下で万全の法案準備を進め、国民の更なる御理解を得る努力を続けながら、来年の通常国会における成立を図ってまいります。

「憲法改正問題について」 憲法改正でありますが、憲法改正については、そもそも自由民主党の結党以来の大きな目標と言ってもいいと思います。自民党を結党した際、しっかりとした経済的な基盤をつくって国民生活を豊かにするということと同時に憲法を改正していく、これが2つの大きな目標であったわけであります。その意味においては、今回の公約においても憲法改正に取り組んでいくことを明記しているところであります。

《中略》 これから憲法改正、これは歴史的なチャレンジと言ってもいいと思います。しかし、それはそう簡単なことではありません。先ず3分の2の多数を衆議院、参議院でそれぞれ構成していく必要があります。その努力を進めていくこと。同時に、大切なことは、発議された後、国民投票を行うわけであって、国民投票において過半数の支持を得なければいけません。ここが正に正念場であり、これこそが憲法改正の一番の大切なポイント、舞台と言ってもいいと思います。つまり、そこで国民的な支持を得なければいけません。どういう条文から国民投票を行うのかどうか、また、その必要性等について、国民的な理解を先ずは深める努力をしていきたいと考えています。

来年の通常国会に、安倍総理は安全保障法制についてどのような法案を提出するのであろうか、戦後レジュームからの脱却を政治テーマとする安倍総理が、憲法改正問題についてどのような政治行動を行おうとするのであろうか。 総理は自民党選挙公約に明記してあるといい、その公約のもとで自民党安倍内閣は信任を得たというのである。 来年以降、四年間の日本統治行為の権限を得た安倍総理が何を行おうとするのか、注目してゆかなければならないのである。

折しも、辺野古推進派の仲井真知事時代には優遇していた沖縄振興予算を、内閣の意に沿わない基地移設反対を掲げる翁長雄志氏の就任で、一割削減するというニュースが報じられている。手のひら返しなどというものではない、お殿様の意趣返しそのものである。

振興予算を増額するから意に添いなさいというのも、札束で横っ面張りであり如何なものかと思われるが、辺野古移転を推進するという内閣の意思は変わっていないのに振興予算だけは削減するということの裏は何だろう。 削減を打ち上げてから、沖縄県知事に復活要求を言わせ、それならば「辺野古移転を認めなさい。」とでも申し渡すつもりだろうか。 今後が注目される安倍内閣である。

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