事件とWeb Site

 一連の事件をWeb Siteから見た場合に、どんなものが見えてくるかを
語りましょう。事件の内容は別として、Web Siteからは色々なものが見え
た20日間でした。
 まず、『鄙からの発信』に関して、以下の数字が記録されております。
「朝日新聞に異議あり」の記事は、その後もアクセス数が増えており、
本日現在では、383件に達しました。鄙のWeb Siteとしては空前の記
録を達成しました。(他にメールニュース発行数が400余件あります。)
<鄙からの発信 閲覧数>***************************
 10月08日~ 10月14日
 ☆正常ページリクエスト: 1,340件
 ★1日の平均正常ページリクエスト : 191件
 10月 15日~10月 21日
 ☆正常ページリクエスト : 4,787件
 ★1日の平均正常ページリクエスト : 688件
***************************************************
 このうち、「正常ページリクエスト」とは、「morishima.com」の中
にあるホーム ページが、延べ何ページ閲覧されたかを示しております。
 閲覧者の人数ではありませんが、利用度合いの大まかな推計が出来る
と思います。 「鄙からの発信」は、報道後の1週間で、通常の3倍の
ページ数が発信され、推計 700人~1200人程度が閲覧したことになりま
す。
 同様に、私の手元には「岐阜県不動産鑑定士協会」のホームページの
閲覧数データ がございます。
<鑑定士協会 閲覧数>*****************************
 10月 08日~10月 14日
 ☆正常ページリクエスト: 382件
 ★1日の平均正常ページリクエスト: 58件
 10月 15日~10月 21日
 ☆正常ページリクエスト: 1,769件
 ★1日の平均正常ページリクエスト: 256件
***************************************************
 協会公式サイトは、実に通常の4.5倍の閲覧が行われたことになりま
す。これは約 250人~500人程度の閲覧と推計されます。
 この数字に表れる問題は、2点あります。
・一個人のサイトよりも、問題当事者の公式サイトの閲覧者数がはる
 かに少ないこと。
・また、その士協会公式サイトを閲覧した数百名もの人間に対し、
 何ら有効な情報提供を、なしえなかったこと。
両方とも問題の根元は明らかです。
 「情報の迅速な提供を求めてやってきた人間に、何らリアクションを
返さなかった」
 士協会の皆様に対しては大変無礼な云い様で恐縮ですが、換言すれば
「情報化社会において、情報開示という有効なリスクマネジメントを行
えなかった不見識」と云えるのではと考えます。
 ではなぜ、情報開示が事後のリスクマネジメントに置いて重要なので
しょうか。 これはひとえに「ブランドマーケティング戦略」の遂行に
おいて、顧客あるいは社会一般に対し、そのブランドイメージを損なう
ことを少しでもくい止める必要があるからです。
 ちょうど少し前に、「フォード車とファイアストン製タイヤのリコー
ル」事件がご ざいました。
 リコールの原因は双方にあったにも関わらず、当初はひたすらファイ
アストン社の イメージのみが悪化しました。これは「情報公開」をい
かに適切に行うかという判断が、両者に置いて際だった差違があったか
らに他なりません。
 おかげで、情報公開をしなかったファイアストン社は、必要以上のブ
ランドイメージ低下を招いてしまう結果となりました。今後、特に社会
一般に対しては、後から同社がいくら反論を行おうとも、傷ついたブラ
ンドの復活は大変に困難なのです。なぜならば、事件がホットな時期に
提供された情報量の差が、極めてはっきりと社会にインプットされてし
まったからです。
 岐阜県士協会が潔白であるのか、あるいはそうでないのか、どちらに
せよ、自らの真摯な意見表明と関連情報を広く社会に公開することによ
ってしか、ブランドは回復しないのでしょう。ましてや市民社会に立脚
し、公益を第一とする専門家集団であるならば、理念的にも実質利益の
面からも、なおさら必要であったと考えます。
 また、インターネットを即座に使用して自ら情報を調べようとする人
間は、同時に 極めて周囲への情報発信能力の高い人間であるとのリサー
チ結果が報告されております。
 つまり、今回の事件に当てはめて考えてみると、
 全国の市民・鑑定協会会員が岐阜県士協会サイトを閲覧
  ↓
 何も情報公開されていないことで、ブランドイメージを悪化させる
  ↓
 その悪化したイメージを、周囲の人間に伝播させる
 という図式が成り立ちます。
 つまり、「リアルタイムで意見を自由に表明できる」インターネット
においてすら、何も対応できない組織は、市民社会に生存するために必
要なブランディングが出来ていない組織であることと同義と云えるので
はないでしょうか。
 今回、外部への情報公開が極めて不完全であったことについて、我々
は改めて真摯に考える必要があると思います。
メーリングリストもない。公式メールニュースもない。
ホームページはあるが、更新されていない。
 連日、iNETやEコマースが新聞やTVで報道されたり、広告され
たりしているのに、絶海の無人島にいるみたいに、四海波静かな状況に
ある。
 他業界のMLやサイトを覗けば、宅建業法の改定やレインズの一般公
開について百花爛漫であるし、法務省の電子証明書についても「百花斉
放」「百家争鳴」である。それに較べて、会員数がはるかに少ないとは
いえ、鑑定協会の在り様は寂しい限りです。
 鑑定業界の社会的生命はもう終わったのでしょうか。
ある読者投稿の引用です。引用開始 ———
 インターネットにおいて、情報提供コストは格段に低下いたしました。
当然予測されるのが、情報送信者のすそ野の拡がりと、それに伴う
「年功序列制」の崩壊です。 年功序列の崩壊は何も賃金や意志決定権
のみならず、何よりも大きいのが「年齢にかかわらず、情報を発信す
る能力」を、誰もが持ち得ることによる自由風土が醸成され ていく点
にあります。
 貴兄の提案している[Arec」が、実現したいと考えることの大き
な コンセプトに、この「自由なる議論」がありのではないでしょうか。
 ただし、自由は制度や仕組みによって形成されるものではありませ
ん。まさに、その自由社会を構成する一人々々が、 その自由を受け止
め、容認するかという点にあります。
 だからこそ、逆に言えば日本では、いつまでたっても自由が根付かな
いのです。インターネットはまさに革命であると私は考えていますが、
その革命性はまさしく「自由という風土」を作るためのエポックメーキ
ングに他ならないからです。
引用終了 ———
 次も、別の読者からの関連投稿です。部分引用します。
引用開始 ———
 岐阜の醜態とまだ終わっていない惨状は、自己の反省を含めて、
貴君 (『鄙からの発信』Web Siteの輪転機君のこと、00.09.01・IT革
命の裏側をご参照下さい。) の指摘する戦術の選択ミスではなく、戦
術の選択すら出来なかった「情に棹さす」甘さに起因しています。
 すなわち、拠って立つ戦略を見失っているからです。
内で、何のために、何を相手に伝えようとするのかが判然としなくては、
外に対して継続的に発信できません。
 護送船団方式が駄目だと言われて、士協会もやがて解体される運命の
護送船団だと、役員や会員の多くが考えているのかも知れません。
 いっそ、不動産鑑定評価は官需しかないと覚悟すれば、新しい護送船
団方式が見えてくるのでしょうが・・・
 なべて、戦略さえしっかりしていれば、個別の戦術の成否は大局にあ
まり影響しないと思います。
引用終了 ———
 さらに、別の読者からの投稿です。
引用開始・部分引用 ———
 さて、本題ですが貴君(前述の輪転機君)のご指摘のとおりですが・・
 どうしても岐阜は「保守王国」という言葉に象徴されるように、
「いろいろなしがらみ」のなかで生活しているということでしょう。
 換言すれば、きわめて当たり前の市民的視点からの発想にすぎないも
のが、そうは受け取られないということではないでしょうか。
いまだ時代錯誤的価値観が大手を振って歩いている現実を、目の当たり
にしているというのが実情です。
引用終了 ———
※本日は、内容の辛辣さと重さに鑑みて、蛇足は無し。

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