薄墨櫻090403

土日は混雑して大変だろうから平日(金曜日)ならばと思い立って、久しぶりに薄墨櫻に会いに行く。 岐阜市中心部から薄墨櫻のある本巣市根尾板所まで約37キロ、普段なら一時間程度の距離だけれど、さすがに地元紙朝刊が八分咲と伝えただけに残り5キロからは渋滞ノロノロ運転である。それでも岐阜を発ってから約二時間で櫻とご対面である。 本稿は樹齢約1500年に敬意を表して櫻と表記する。


先ずは薄墨櫻全景である。西側の杉林を背景に、やや西に傾いた陽射しを受けている。花の感じは七、八分といったところか。近くで見るよりも緑を背に遠目に眺めた方が良い櫻である。

何よりも威容を誇る樹齢1500年の幹周りである。
《 こぶにみる せんざい(千歳)のいのち  花の里 》
《 花守の 心とどめむ こぶ桜 》

同行したムラさんの記念撮影、彼のいわく「添え木で守られ、手厚い介護を受けて、それでも村の観光のために咲かされている櫻に哀れを誘われる。」 確かに今や超媼櫻である、人里離れた山のなかで静かな余生を過ごさせてやりたいとも思わされる。

続々と訪れる観光客で、七分程度うまった駐車場から櫻に至る坂道は臨時売店と人の波である。 明日は歩行者天国並の人出だろうと思われる。 これもムラさんいわく、薄墨桜は早朝に来て朝日に輝く姿が一番良いそうである。 一帯は東の根尾川に向かって開けている地勢だから、さもありなんと思われる。

薄墨櫻の近くから、まだ白雪をいただく能郷白山が間近く見える。
《 根尾谷は 桜と雪と 人の波 》

薄墨櫻に至るには、車以外に三セク樽見鉄道という手段がある。 今日はともかく明日ならば樽見鉄道であろう。その途中に日当(ヒナタ)という駅がある。 根尾川橋梁とトンネルのあいだに位置する無人駅だが、フォームどころか線路に被さるここの桜もなかなかのものである。 帰り道では、櫻を目指す車列がこのあたりまで延びていたが、「あの人たちは夜桜見物になるだろう?」とは、これもムラさんのご託宣である。
薄墨櫻は根尾川沿いを逆上った山あいにあるから、ルートが限られている以上に駐車場が限られる。だから土日は公共交通機関、(といっても樽見鉄道に限られるけれど)、鉄道利用が賢い選択なのである。何よりも花見酒を楽しめる。

日当駅から国道157号を岐阜方面へ5分ほど行ったところに「新山家料理の店:山びこ」がある。もう二時近くなっていたこの日の昼食はここでいただく。鮎釣り師として長良川や根尾川などの川沿いの穴場に詳しいムラさんお勧めのお店である。
古民家を改築したお店でいただく山菜の天ぷら、ウナギの塩焼き、イワナの薫製、泥鰌の唐揚げなどいずれも美味しかったが、特に明らかに山採りと判る山菜の天ぷらが絶品だった。ウナギも皮が固く、肉にかすかに川臭さを感じさせるから天然物かもしれないと思わせるものだった。ご飯に付いてきた地味噌の汁、切り干し大根の漬け物もお代わりがほしいくらいである。(ムラさんにはビールを勧めたが、ドライバーの堂守は当然にコップに注いだお茶酒、つまり長屋の花見酒である。山家料理を自称するだけにザクッとした盛りつけなのだが、とても旨い昼食だった。)
食事のあとは根尾をでて、揖斐川町谷汲・木曽屋に向かう。植樹祭の跡地を公園にした天皇林の桜を見る。樹齢三十年くらいか、樹勢は今が盛りと見える。 谷汲には華厳寺という桜の名所があるが、有料駐車場を敬遠して割愛した。 帰途、揖斐粕川沿いの山あいに咲く桜を眺めながら車を進めたのであるが、まだ桜が咲き初めだったことと夕暮れが近くなり東垂れ地勢が多いから写真はない。 薄墨櫻を含めて早朝に再訪したいエリアである。

鄙からの発信・定番の蓋である。 薄墨櫻の絵柄と合併前の旧村名NEOが見える。

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