日経ネットに載る日本公認会計士協会 会長 関根愛子氏のインタビューを引用して、語句を入れ替えてみた。《公認会計士を不動産鑑定士に入れ替えてみた。》
岐阜県士協会の研究発表「地理空間分析と公的評価」を取りまとめて記事にしようとしていたら、上記のインタビュー記事に出会い、次いで「鄙からの発信」過去記事にも再会した。まだ古びていないと思われるので、鄙からの発信記事も再掲する。
《公認会計士協会会長インタビュー記事のパクリ》
『近年、AIの活用が話題になり、不動産鑑定士の仕事がAIに代替されるとも言われています。しかし、それは不動産鑑定士の本質を捉えた議論ではないと感じています。不動産鑑定士には、高度な知識と深い経験に裏打ちされた職業的専門家としての分析や洞察、判断が求められます。不動産業界人や有効活用を期待する不動産所有者や経営者との議論を含め、これらはまだまだAIが代替できるものではありません。AIによって、膨大化する単純作業から解放されるなら、むしろ歓迎すべきです。積極的に活用することで、不動産鑑定士が本来行うべき創造的かつ魅力的な作業に集中できるようになるでしょう。』《引用終わり》
《鑑定評価のパラダイム転換-Ⅲ 2014年3月7日より引用 》
デジタル化とネット化の進行は、専門知識、経験、判断力など、いわば属人的いいかえれば職人的能力に多くを委ねていた業務態様を大きく変化させ、「標準化でありコモデテイ化」を一層進めてゆくであろう。 この点について、トーマス・フリードマンはその著『フラット化する世界 』で次のように述べている。
「医師、弁護士、建築家、会計士などの知的職業にたずさわるアメリカ人は、人間同士の微妙な触れ合いに精通しなければならない。なぜなら、デジタル化できるものはすべて、もっと賢いか、安いか、あるいはその両方の生産者にアウトソーシングできるからだ。
バリューチェーン(価値連鎖)をデジタル化でき、切り分けることができ、作業をよそで行えるような活動は、いずれよそへ移されます。」
『フラット化する世界 』 フリードマン
日本経済新聞社刊より引用。
今や、他者が作成した鮮度が劣る資料(いわゆる地価公示由来データ)に過度に依存する旧来型の鑑定評価とは決別を余儀なくされるだろう。 そして鮮度の新しい新不動産情報システム由来データ等を基礎として、自らが個々の資料の詳細を調査し、さらには多くのWeb市場データ等をも母集団とした地理情報的解析や時系列分析結果を”背景”とする、鑑定評価に移行してゆくであろう。
それはデジタル化であると同時にデジタル化データを基盤とするアナログ的手法とも云えるものであり、本来あるべき姿の鑑定評価とも云えるものであろう。 基礎資料が透明化され普遍化するということは、個々の鑑定士の分析処理能力がますます問われる時代を迎えることとなるであろう。 同時にデジタル・ツールやネット・ツールを駆使する鑑定士能力の向上と、それらを基礎とする鑑定士個々の解析能力と説明能力《リベラルアーツ》が問われることになろう。 何よりも不動産鑑定評価に情報を提供し、その需要が存在する不動産市場そのものあり方が大きく変化してゆこうとしているのである。
《鑑定評価のパラダイム転換-Ⅲ 2014年3月7日より引用 》
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