ダイアモンド・プリンセスの顛末

クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に乗船した神戸大教授・岩田健太郎氏の報告はショッキングなものでした。岩田氏は、船内の感染対策はずさん極まるものとして、政府の隠蔽体質を痛烈に批判したのです。《日刊ゲンダイの惹句より引用》
神戸大教授・岩田健太郎氏、並びに沖縄県立中部病院・厚労省技術参与・高山義浩氏、そして厚労省副大臣橋本岳氏のネット上での発言、及びこの件に関する茫猿のFB書込みを一覧整理して備忘録とする。

横浜港に寄港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で新型コロナウイルスの集団感染が発生確認されたのが2020.02.05、14日間の健康観察期間が19日で終了し、検査結果が陰性だった乗客の下船が開始されたのが02.19である。

一連の経過を報じるBBCニュースサイトはこちらである。

この件について岩田健太郎神戸大学教授がYou Tube動画で、クルーズ船の現状を懸念し告発した。《岩田氏動画》 その後、なぜか動画は削除されたが、岩田氏のブログサイトはそのまま公開され続けている。動画とブログの趣旨に大きな差異は無い。《Twitter英語版は公開継続中であり、なぜか中国語字幕が付いている。中国転写版だろうか?》

2020.02.16 「COVIDと対峙するために日本社会が変わるべきこと
2020.02.17「結果を出すということ(COVID対策)
2020.02.19「The facts of Corona virus in Diamond Princess by Kentaro Iwata

岩田健太郎氏のサイトを読めば、厚労省はじめ安倍内閣の人たちの(クルーズ船集団感染などと云う)”先例など無いのに先例主義”、(先例が無ければWHOも指針すら出せない)”頼るものとて無いのに事大主義”、”その上に無意味な縄張りセクト主義”が全ての根源だと思われる。
マダ遅ク無イ。岩田氏ヲTOPニ据エ、権限モ予算モ潤沢ニ付ケテCOVID対策会議ヲ内閣ニ設置スベキダロウ。ダケド、無理ダローネ。 《2020.02.20 FBへの茫猿投稿》

この動画について、沖縄県立中部病院・厚労省技術参与・高山義浩氏のFBコメントが公開された。このFBのフォローコメントにも注目したい。
2020.02.19《高山義浩氏のFBサイト

このFBを受けてか(?)、岩田氏の告発動画は削除された。しかし、岩田氏の告発ブログは依然として公開されている。動画はいささか刺激が強すぎたと云うことか。岩田氏も高山氏も仰ってることの本質に大差はない。大差あるのは橋本岳厚労副大臣(橋本竜太郎元総理のご子息)のTwitterなのである。

橋本岳厚労副大臣の2020.02.19 Twitter(スクリーンショット)

岩田健太郎氏の動画について、対応(反論とも云う)された、厚労省技術参与の高山義浩氏のFB記事末尾に記されるコメントが秀逸である。だから複写転載する。高山様ご寛恕下さい。
《以下高山氏FBから転載》
そもそも、こんなことは初めての取り組みです。失敗がないわけがありません。それを隠蔽するようなことがあれば、それは協力してくださった乗客の皆さん、仕事を放棄しなかった乗員の方々、自衛隊の隊員さんたち、そして全国から参集してくれた医療従事者の方々を裏切ることになります。

ただ、いま私たちの国は新興感染症に直面しており、このまま封じ込められるか、あるいは全国的な流行に移行していくか、重要な局面にあります。残念ながら、日本人は、危機に直面したときほど、危機そのものを直視せず、誰かを批判することに熱中し、責任論に没頭してしまう傾向があると感じています。不安と疑念が交錯するときだからこそ、一致団結していかなければと思っています。《引用終》

高山氏のFBコメントは「不安と疑念が交錯するときこそ一致団結」と結ばれていますが、このお言葉は異論封殺と紙一重を懸念します。高山氏の述べた見解を一読の上での結びであれば”意”は伝わりますが、「一致団結」だけが一人歩きすれば、マスコミやネット上での勝手に切り取り拡散の怖れも無きにしあらず。

経済的な危機を孕み、今や未体験の災厄と化しつつあるクルーズ船集団感染と新型コロナヴィールス感染拡散であればこそ、「危機を直視した上で、危機を等閑視することなく、一致団結して危機に対処」でありたいと願います。《2020.02.21 FB投稿》

かつて茫猿の若かりし頃に、「経済一流、政治は二流」と揶揄されたと記憶する。一連の発言を並べてみれば今や「現場は一流、経済二流、政治は三流」と嘆かざるを得ない。「私のあずかり知らぬところで船内立ち入り」、「私は承知せず、船舶からご退去」、「検疫中船舶に侵入」などと公言する橋本岳氏は龍太郎元総理のご子息であり、厚生大臣、文部大臣などを歴任した橋本龍伍氏の孫である。

政府対策会議を欠席して後援会の新年会に出席の小泉進次郎環境大臣は純一郎元総理のご子息そして元防衛庁長官の小泉純也氏の孫である。そして政府対策会議を束ねる安倍晋三総理は岸元総理の孫かつ安倍晋太郎元外務大臣のご子息である。皆全て「売家と唐様で書く二代目三代目」なのである。一人だけならまだしも、三人が三人ともに選挙に強い世襲政治家なのである。

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