変化の胎動

 8月15日・日経新聞朝刊9面記事によれば
トヨタ自動車と朝日航洋と三友システムアプライザルの三社が共同で、資本金1億8千万円の新会社「タス」を設立し、主に金融機関向けのインターネット不動産価格情報提供サービスを開始するとのことである。


 サービス対象圏域は三大都市圏や札幌・仙台などであり、地図情報システムと地価情報(公示価格や地価調査価格及び相続税路線価、さらには自社鑑定評価先例)をリンクさせて地価情報を会員制で配信するというサービスのようである。表現が適切かどうかはさておき、インターネット版地価情報(時価情報或いは軽便評価)と云えるサービスであろう。評価とGISのリンクが一般的な現実となったことに、感慨をおぼえます。
 折しも、盆休みが近くて経済記事が夏枯れであったから掲載されたのか、朝日新聞8月12日朝刊に、国土庁が不動産鑑定評価基準の改定に着手という記事が載せられていました。
記事曰く、不動産の証券化に対応するための改正であり、(1)賃貸ビルなどの投資用不動産を土地と建物一体の「複合不動産」とみなす。
(2)ビルの投資採算性を評価する際に、欧米と同様、賃料などの現金収支を重視したDCF法を採用する。
(3)ビルが生み出す収益を算定するため、実質賃料などを細かく調べる「物件精査業務」を実施する—-が主な内容である。
 一昨秋のデユーデリ騒ぎ以来の底流がようやくにして、表面化したと云うことですか。評価現場の実態に基準を整合させると云うことでもありましょうか。
 また、8月10日・日経には国土庁発表の賃貸ビル投資利回り調査に関する記事が掲載されていました。何度か「茫猿遠吠」に書いてきました「賃料事例調査や賃料インデックス」事業と直接・間接にリンクする話であろうと推測されます。
 平成9年4月から四半期毎の継続調査が行われている「国土庁・事務所賃料調査」ともリンクする調査事業であろうと推測されます。
※事務所賃料調査は下記のURL参照
http://www.tochi.nla.go.jp/chika/office/office994.html
 猛暑の8月、茫猿の頭も身体も夏休みのあいだに届いた三本の記事は、どのような変化の兆しなのでしょうか。
鑑定評価基準の改定を朝日新聞を通じて知らされたり、賃貸ビル投資利回り調査について蚊帳の外におかれるのはともかくとして、情報伝達の速度が要求されるこの時代に、未だに鑑定協会発の詳細情報が得られないもどかしさ。鑑定協会HPのTOPページ最新情報インフォメーションは「7/31締め切りの書籍販売案内」のままです。【情けなくも悔しくもあり、猛残暑ホトホト身にしむ】
 そして、巨大な地価情報サービス会社が誕生したりと、不動産評価を取り巻く環境が激変する兆しが顕わになってきたと思うのは杞憂でしょうか。
 賃貸ビル情報収集・配信や鑑定情報サービスはインターネット利用を無視しては成り立ち得ないと云うよりは、インターネット時代だからこそ成り立つ新しいeビジネスと云えるのではないでしょか。
 何処へ行くのか鑑定協会と、今更ツブヤイテみても詮無いことであるとしても、IT革命に翻弄される事態だけは避けたいものです。
 そして、この変化に対応する鑑定士等を軽々に色分けすることは控えなければなりませんが、おかれた環境、提供業務についての需要の有無、関連情報の密度などからすれば、都市圏と地方圏という編成軸は増々明らかになってきたように見えます。
 或いは既にiNet化した機関や組織とそれ以外という編成軸も透けて見えるようです。同時に正常価格を中心とする鑑定評価を充実することに活路を求め続けようとする人々(良い意味でConserva valuation派)と、価格概念を越えたところに活路を探そうとする人々(これも良い意味でEvaluation派)という編成軸もあるのではないかと考えます。
 折しも、今春に研修規程が設けられた鑑定協会研修制度が、この8/20からの特別研修を皮切りに開始されます。 研修指導委員会が運営を担当し、一般研修と特別研修からなる研修制度は、会員には受講義務があり、その実施記録及び履修単位等受講記録が公開されることにより、間接的に受講を促す仕組みであり、公的評価等の受託希望者の選別資料等に利用され得るとのではと予想します。
 でも、今の状況に照らして考えれば、ノートPCの携帯も無しで受講する受身専心の講義に、いかほどの意味があるのか疑問です。 とは云うものの茫猿とて、履修単位不足で落第して飯の種を無くす訳にもゆかず、明日から二日間は机に縛られます。とかく、言行一致は成り難いものです。繰り言ばかりの茫猿でした。

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