読者投稿編 その2

【茫猿遠吠・・投稿編 その2・・02.06.15】
『読者投稿 その4・・近畿地方 N.H氏』
 収益価格直接法想定建物の研修会をやっても、会員が自分で想定図を書く自信
まではなかなかつかないので、やむをえないのですが、こういう声を受けて馴れ
ない手を動かし、徐々に建物評価に習熟していってほしいと願っています。
しかし、ゆっくりは出来ないと思います。
 建物価値評価は都市再生や建物再生には欠かせない分野となってきています。
また、地価下落リスクが高い経済状況では、土地の価値に偏重した鑑定評価は問
題になってくるかもしれないです。
 同じことですが、銀行の融資基準も土地偏重ではまともな融資が出来ないなど
で、融資基準の見なおしも必要になると思います。
そこが動けば、担保評価書は従来とはかなり変わってくるかもしれません。
「建物の競争力をどう見て、担保価値をいくらとしたか」、という「最有効使用
とその価値に関わる判断」が問われましょうから。
 土地だけに集中していた鑑定評価も重大な岐路に入っていると思います。
『読者投稿 その5・・近畿地方 H.K氏』
 NPO法人ですから団体自体は営利を目的としないのですが、実際の構成員は基本
的に建築士さんでしょう。
 ご承知のとおり、鑑定法55条3号の規定によって、
「建築士法による建築士事務所の業務として、建物につき鑑定するとき」は、
鑑定法の適用除外となっています。
 そこを巧みに衝いているわけですが、
同協会のHPを見ると、文言上は法に触れないようにしてはいるものの、
「建物」「建物」と強調しながら、DCFなどを用いて「不動産の評価」をすることを
目的としており、もしそれを現実に実行すれば、法律に抵触する場合も生じるの
ではないでしょうか。
 しかし、 NPO法人ですから、主目的は営利活動ではないというタテマエを前面
に出し、建築士事務所の業務に付随する形で、「無償で」土地残余法等の評価を
するならば、法網の外となる場合もできてしまいそうです。
 問題はいわゆる公的評価に於いて、我々不動産鑑定士の行う土地残余法試算過
程に、指摘されるような杜撰さがあるか否かということだと考えます。
どうやら、建物のことをろくに知りもしないくせに、建物評価をするな、と言い
たいようです。
そうして、公的評価の問題点を指摘した上で、納税者に声を上げるように仕向け
ようとしています。(つまりは、節税コンサルタントを意識しているのでは?)
 さて私は、今後鑑定士の活躍分野は、まさに彼等も指摘するこの収益分析と利
回り査定にあると考えています。
新基準でも収益還元法における利回り査定の部分には紙面を割いているようです。
 特に利回りの科学的決定方法の確立と、そのためのデータ整備が急務であり、
反対にそこが整えば、誰をも恐れることはないと考えています。
(一方で、それについて来れない鑑定士にはご退散願うしかないのですが!)
 件のNPO法人の主張は、不動産評価では建物の比重が大きくなっているから、
建物に知悉していることが的確な評価の条件だというもので、
それは決して間違いではありませんが、
 物的存在としての建物がクローズアップされるのは、収益還元法の中の一部で
ある土地残余法であり、土地残余法は更地評価の手法でありますから、欧米型の
複合不動産主体の市場に移り変わる昨今にあっては、主要テーマとはなりえませ
ん。
 地価公示の建物想定の問題も、仮に地価公示が「標準画地評価」に変われば、
ほとんど解消されます。
我々がなすべきことは、建物に関する知識向上も大切ですが、それ以上に、
我々にしかできない収益分析と利回り査定の技術向上です。
私はそこを強調したいと思います。
『読者投稿 その6・・中部地方 M.H氏』
「ニーズは中央(都会)にあり、土地は地方にあり」が、
GISによって「ニーズも土地(情報)も中央に」となったとことでしょう。
GISの秘めている可能性として早くから想像していたことが、
現実のものとして「中央」主導で実現したということです。
 自然法則に反して、お金と情報は下から上へ流れ(集まり)ます。
不況故に、全てに「大政翼賛会」的思考と展開がなされています。
「不動研」は中央包囲型であり、「三友」は下刈り型で、
どちらにも展開できない中間層が圧迫されるという戦略構図でしょう。
今後の状況展開次第では、中間層は不整合の言い訳に追われることになりそうで、
4・5年はある種の全体主義が跋扈するでしょう。
 日本はもっと「都市国家」を発展させたイタリアの「町つくり」に学ぶべきと
考えます。「中央依存」が相変わらずの大勢なのですが、そこから転換しないと
本当の再生は始まらないと考えております。
 その一方で、サッカーに浮かれながらFIFAの胡散臭さが話題とならない不
思議。ゲームの面白さは息子二人に付き合って充分理解しているつもりですが、
踊らされている不快感が拭えない。歴史は一歩、一歩ですな。
そう言えば、債務者に「慌てる必要はない。叱られそうになるまではゆっくりで
良い。」と慰めていたのだった!
・・・・・・・本稿終わり・・・・・・・

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