鑑定制度抜本改革

【茫猿遠吠・・不動産鑑定士制度抜本改革・・03.08.07】
 03.08.08付、日経新聞朝刊によれば、
「国交省は、不動産鑑定士制度の抜本改革を検討中」とある。
一部では制度改正準備が進みつつあると囁かれていたが、どうやら現実のものとなりそうだ。
※この件の詳細は下記国交省サイトをご参照下さい。
国土交通省
国土審議会土地政策分科会不動産鑑定評価部会
中間とりまとめ(今後の不動産鑑定評価のあり方について)(PDF形式)
http://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/fukan/tyuukan.pdf


・資格取得期間の短縮、資格者数増加、業容拡大等を意図するものであろうが、
・資格取得期間短縮を云っても、修習期間は2年程度が予定されるようだし、
・資格者数の増加が何をもたらすかは、軽々に予測できないし、
・業容拡大は市場が決めることであり、鑑定士が応えられるか否かは別のこと、
 この問題に日本不動産鑑定協会は、いかに関わったのか、
 はたまた関わろうとするのか、何も見えないし聞こえてこない。
 制度改革の真意は、鑑定士数を増やせば、地価公示・地価調査等各種の既存独占業務に参加希望資格者数が増えることとなり競争を促すであろうし、結果として市場による淘汰を期待することにあるのではなかろうか。
 つまり業務量に見合う資格者数であれば、競争が起こりにくく鑑定市場は安泰であろうが、業務量に比して資格者数が増えれば、自ずと競争が引き起こされる訳であり、市場の淘汰に任せることにより鑑定士の自助努力とか向上努力とか或いはコスト引き下げ努力などを促す力となり得よう。
 不動産鑑定士資格というものが、受託業務量がある程度保証されている資格である現状からは、鑑定士の向上心とか市場淘汰というものが生まれにくいのは一面の事実であろう。 とすれば、資格者数を増やすことにより、資格取得は不動産鑑定市場への入場券を得たことに過ぎず、不動産鑑定士業務の獲得はその後の研鑽如何にかかるものであるという新しい状況を期待するものであろうか。
 なお、内容的には千差万別であるにしても「いわゆる簡易評価」であるものとか、コンサルティングなどとか云うものは、既に市場に普及しているものであり、法改正はこの実態を追認するものでしかなかろう。 同時にいたずらに法で囲い込むことが、業務をさらに育てるものとなるのか否か、これも大きな疑問である。
 記事の末尾に、「ただ鑑定士の質を維持するために、合格後の修習は拡充する」とある。この合格後の修習は資格取得までのことを指す様に理解できるが、今や資格取得後の定期研修や定期考査が必要なのではなかろうか。

※日経記事より引用
 国土交通省は7日、不動産取引を活性化するため、不動産鑑定士制度の抜本改革に踏み切る方針を決めた。 鑑定士の業務範囲について、不動産の証券化など関連ビジネスのコンサルティングや簡易な資産評価を加え、顧客の要望に応えやすい環境を整える。
 抜本改革は1964年の制度創設以来初めてで、取得に必要な期間も半分の2年に短縮、資格取得者の増加も促す。 国交省は2004年の通常国会で不動産鑑定評価法を改正し、法整備を急ぐ。業務範囲の拡大は2005年、試験制度の簡素化は2006年の実施を目指す見通し。
 不動産鑑定士試験・・2年の修習期間・・終了考査・・不動産鑑定士
というスケジュールになるようだ。 簡単な資産評価やコンサルティングも業務とし、不動産鑑定士の増加も図るとのことである。

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