暑気払いは緑陰で読書

【只管打座・・暑気払いは緑陰で読書・・04.07.27】
 暑中お見舞い申し上げます。
暑中というよりも、大暑、猛暑、酷暑と云うべきでしょうか。
地球温暖化が騒がれていますが、一年や二年で温暖化が急速に進むわけもなく、今年の猛暑は、三十年或いは百年サイクルの気候循環の所産でしょう。
それが、たまらなく暑く感じるのは、生活習慣の変化や居住環境の変化に影響されるところも大きいのであろうと思います。
 打ち水・縁台・スダレ・蚊帳などという夏を快適にする生活習慣が我々の身の回りから姿を消してしまい、冷房完備・アルミサッシ化・街路公園の舗装完備などという居住環境の変化が、夏の過ごし方を大きく変えているのではないでしょうか。
 生活習慣の変化は夏に慣れ楽しむという心構えを忘れさせてしまいました。
居住環境の変化は、冷房に伴う暖気を戸外に放出し、戸外の冷気を戸内に取り込むという、冷暖気に関するいわば外部不経済内部経済を助長させていると云えると思います。もしかすると、百年か千年毎に巡り来る循環的地球異常気象のなかにあるのかもしれませんが。あるいは、そういったサイクルとヒートアイランド現象の相乗という場合もあり得るでしょう。
 さて、この夏、暑気払いに樹陰で読書に耽るとすれば、お薦めの二冊がございます。
一冊目は、
・書名「在日」 姜 尚中著(カン サンジュン) 講談社刊
 2004年 03月出版 ISBNコード :4062123223  税込価格 :\1575
二冊目は
・書名「野中広務 差別と権力」魚住 昭著 講談社刊
 ISBNコード :4062123444 定価 1800円
 ともに著名なお二人の自著及びルポ(評伝)ですし、新聞各紙の書評でも取り上げられていますから、既にお読みの方も多いかと思います。
姜尚中教授については朝まで生TVでお馴染みであり、その冷静な深い洞察力に共感を覚えた方も多かろうと思います。
 野中広務氏について、氏が竹下氏の側近として頭角を現す頃から、その出自について密やかに流布する話がございました。昨年の自民党総裁選挙における氏の出処進退も記憶に新しいところです。
 茫猿がこの二冊を皆様にお勧めする理由は、両氏が望まないままに置かれてしまった環境とその後の上昇の経緯を覗き見るというような、興味本位的な所以ではありません。両著を手にした最初、ミーハー的興味が全くないと云えば、それは嘘になるでしょう。でも読後感は、全く別のものです。
 日本社会における少数派、差別される側から観た戦後史或いは昭和史を理解するのに格好の書籍と感じるからです。彼等のルサンチマンやハン(恨)を我がこととして理解することはできないでしょう。いいえ、軽々しく理解できるなどと云わない方がよいでしょう。
 でも茫猿はこう考えるのです。両氏の軌跡をたどることによって、日本の戦後史や昭和史を観る目が変わるであろうと思います。もっと踏み込んで云えば、彼等少数派の軌跡から昭和史や戦後史を見直す或いは問い直すことが必要なのだということです。
 不動産鑑定士はもちろん、不動産鑑定士でなくとも、戦後史を正しく、せめて虚心に理解するということは重要なことだと茫猿は考えます。鑑定評価の技術論も大事でしょうが、社会の在り様、不動産の在り様を考える上で、昭和の社会経済史は欠かせないものと考えます。
この両著はそのことに役立つであろうと考えるのです。
 「在日」より次の一文を引用します。
姜尚中氏が紹介する恩師「土門一雄師の言葉」です。
「市民の運動はね、
国家権力と対峙するとき、敗北するに決まっているんです。
でもそれをただ敗北とだけ受け止める必要はないと思います。
負けて、負けて、負け続けて、しかしいつの日か勝てないけれど
負けてもいない。そんなときがくるはずです。」
 かつて、『鄙からの発信』で引用した久野収氏の言葉と相似します。
 久野氏の信条や箴言は幾つか有りますが。
「少しでも理想に向かうことが我々の勝利であり、どんな敗北の中からも民主主義完成の契機がある。どんなに敗北を重ねても負けない自分がここにいる。それが人間の勝利であり、それ以外の勝利を考えるようになると組織や運動はもちろん人間の堕落が始まる。」
 そして、茫猿が敬愛する止揚学園リーダーの福井達雨先生の
「負けいくさにかける」を信条とする生き方にも通じます。
・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
 この猛暑の中、濁流冠水後の後始末に追われている新潟県、福井県の皆様にお見舞いを申し上げます。茫猿としても何かできることはと考えました。
 結果、実に安易な方法ではございますが、士協会としてのお見舞いを両県地元士協会にお届けしようと提案しました。
 幸いに会長の快諾が得られて、ささやかながら義捐金をお届けできることとなりました。何か一つでも、できることから始めよう、そんな思いです。
 毎年々々、八月がくると忘れてはならない数字が、6と9と15です。
・8月6日は、広島の原爆忌
・8月9日は、長崎の原爆忌
・8月15日は敗戦の日(終戦記念日というまやかしには与しません)
 これら8/6,9,15と同じく忘れてならない日は
・6月23日、沖縄慰霊の日
・3月10日、東京大空襲の日 など、幾つかの日があります。
 暑さにうだって、ふと並木を見上げたら、公孫樹(イチョウ)の樹が、はや大きな銀杏(ギンナン)の青い実を鈴なりに付けていました。暑い暑いといいながらも、秋の準備は着々と進んでいます。

 梅原猛氏の「梅原猛の授業 宗教」他も買い求めて、何冊かを枕に、緑陰で読書三昧の至福のときを過ごそうと考えています。便利な時代になりました。
福井達雨氏の著書も久野収氏の著書も書店では買い求めにくい時代ですが、iNetでは簡単に求められます。
もちろん、「在日」 姜 尚中著も、書店で品切れ増刷中の「野中広務 差別と権力」も直ぐに入手できます。
・くろねこブックサービス
http://market.bookservice.co.jp/top/index.html
・アマゾンドットコム
http://www.amazon.co.jp/

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