奇妙な話

【茫猿遠吠:奇妙な話:05.02.28】
 このところ、奇妙な話が多い。
 例えば「首都直下型地震被害は最大112兆円」という記事である。
 政府の中央防災会議(会長・小泉純一郎首相)の専門調査会は25日、首都圏で直下型地震が起きると、経済的な損害は場合により112兆円に上るとの想定を公表した。東南海・南海地震の損害額57兆円のほぼ倍で、82兆円の政府予算を大幅に上回る額になった。
 阪神淡路大震災では、発生時間が午前六時という点に救われたから、死傷者や火災件数があれだけで済んだので、午後6時だったら、どうなっていただろうか。また神戸の町が東西に長いことも幸いしたであろう。
 首都直下地震が、最悪の季節の最悪の時間帯に発生すればどうなるであろうかは、少し想像力を働かせば理解できることである。明日発生しても不思議ではない首都直下型地震に備える最も佳い対策は、首都機能の分散であり、バックアップではなかろうか。
しかし、一向に機能分散もバックアップ整備も進まないどころか、
一極集中を増すばかりである。
 鑑定協会では、こんな意見が聞かれる。
新しい制度の導入に際しては、インターネット接続が必須だが、それに対応できない会員が少なくないから、困ったことだとか。導入は時期尚早だという意見である。(新しい制度:事例新スキーム)
 でもこういった類の意見は「本末転倒」である。
オンラインネットワークを利用する新制度の導入に際して、各会員がネット環境を整えることは必要なのだが、実は新制度の導入があろうとなかろうとネット環境が必須なのである。
 個人情報保護法の4月施行を目前にして、社内から紙資料の追放、携帯PCやFD、MO、CD等の携帯メデイアを追放する動きが急である。
全てのデータを中央サーバに保存管理して、アクセスする端末にはHDさえ持たせない。つまり、端末はデータを閲覧、時に加工は使用するが、データの保存は一切行わない。というより出来なくしてしまう。
 情報漏洩に対処するには、社員個人の端末には一切の情報を保存させない。
無いものは漏洩のしようもないのである。悪意確信犯は論外にしても、盗難、置き忘れ、不注意漏洩などの事故は必然的に起きると考えるのが妥当なのであり、それを防ぐには従来型の管理システムは破棄することが最大の対策なのであり、リスクマネージメントの王道なのである。
 鑑定協会が新規導入を計画するシステムも同様であって、新システムのために何かを考えようとするから、様々なハードルが浮かび上がってくるのである。
個人情報保護法が施行される。その対策として、コンプライアンス体制の整備、ガイドライン遵守意識の向上、具体的な安全管理対策という順に考えれば、セキュアなネットワーク構築が優先され、そのネットワーク上で何を行うかという検討になってゆくのである。
 ネットワーク構築に参加できない会員のスキル向上に支援の手を差し伸べることは重要であるが、この件は外部の様々な教育機関や事業者が存在しているから、それらを紹介すればことが足りるのである。
 いってみれば、電話を持たない会員、ファクシミリを持たない会員、パソコンを持たない会員を、どう支援しようかという問題と基本的に同じことなのである。しかも不動産鑑定士は専門職業家であり、不動産関連情報を収集・加工・分析処理することを生業(ナリワイ)とするのである。
 鑑定協会など他者に指摘される前に、自ら個人情報保護法対策を実施しようとするのが当然であり、今に至っても何ら有効な対策を講じていないとすれば、情報処理加工業者としてその存在が問われても致し方ないであろう。
 こう云った類の話をすれば、「俺は聞いていない」という人々も結構多い。
決して聞かされていないのではなく、聞こうとしないのである。
馬を水辺に連れてはゆけるが、水を飲ませることはできないのである。
 何も茫猿の Web Site のことを云っているのではない。
鑑定協会の Web Site に限らず、世間一般に昨秋以来この手の情報は溢れているけれど、一向に関心を示してこなかっただけである。
 NHKの朝の連ドラ流に云えば、「わたしは、言う」。
『甘えるのも大概にせえーと。』
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
 杉花粉と共に、スパムメールならぬスパムファクシミリが飛び始めている。
二年に一度の鑑定協会選挙にからんで、現会長を糾弾する怪文書である。
内容の真偽を云う以前に、あれは怪文書である。スパムファクシミリである。
 なぜなら、送り主は「カッテに! シャベリ場」と自称しているが、
その住所もファクシミリ番号も実名も何も記載していない。
発信人不詳の文書は怪文書と云うのである。
 自らは覆面した上で、多くの鑑定協会役員の実名を挙げて攻撃するのは、「卑怯者」というのである。
怪文書の真偽、主張の当否を云う前に、その姿勢の怪しさ危うさを
茫猿は指摘しておく。
 もう一つ、発信者を明記した郵書ならともかく、
無名のファクシミリは受信者の用紙代と電気代を勝手に費消するものであることに、気付いていない時代錯誤を指摘しておく。
 鑑定協会役員選挙に関しては、いずれ記事にすることもあろうが、
今の時点としては、次の過去記事LOGを掲げておく。
・役員候補各位に伺う(2003.3.23)
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1048706533
・鑑定協会は今・その1(1999.3.11)
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=985097839
・鑑定協会は今・その2(1999.3.11)
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=985097872

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