「地価の行く先:04/01:騰がる地価は久しからず」と題したところで、それ程にふざけているわけではない。茫猿は痩せても枯れても不動産鑑定士である。業歴だけは35年を越える老練(モトイ老齢)鑑定士である。
ただ、地価問題を正面から取り上げるのが面映ゆいというか、いささか面倒で面妖なだけである。だから04/01流に思いつくままを書いてみる。
『地価の二極化、いいえ一極&万骨枯れる化』
昨年の地価現象は名古屋駅前と東京都心地域が、年率にして20〜30%の地価上昇をみたということが全てである。年率20%強の上昇はもはや地価高騰といってよかろう。この地価高騰の最も有力な原因はREITに代表される不動産の証券化現象と異常な低金利にあろう。
REITなどの説明は他のサイトに譲るとして、ここに潜む問題点は証券化に相応しい物件がそれほど多くないと云うことである。証券化物件は基本的に賃貸収入を配当原資とするものであるから良好なテナントビルが投資対象として求められるが、その存在には限りがある。またゼロ金利が未来永劫続くものでもない。
その結果、良好なテナントビルや同建築予定地に買いが集中するという昭和末期のバブル現象再来に近い状況があちこちで見られるようである。東京の都心三区に始まった地価高騰は山手線内に波及し、それが溢れて名古屋駅前に及んだというのが真実に近いようである。
名古屋ではもっともらしい背景として、トヨタ自動車の好調、中部空港や愛知万博効果も云われるが、それらも地価の背中を押したであろうが地価高騰の主牽引者は東京で溢れたリスクマネーのようである。
昨年来聞こえてくる眉唾的な話ではこんなのがある。
それは、投資利回りの低下という事柄である。「地価=収益÷利回り」という収益還元法定式からすれば、不動産収益が横這いで投資利回りが低下すれば地価は上昇する。この利回り低下に係わる説明がアヤフヤなのである。
なかには利回り低下にふれずに、収益価格で説明される水準だから適正であるなどと訳の判らない説明も横行するようだ。なかにはテナントが埋まっていないのに予想収益からすればなどと説明する場合もあるようで、クワバラ々々である。
この辺りの詳しい説明は堀田氏のサイトで勉強して下さい。
「過ちを繰り返すな」『2005.03.29堀田氏のサイトより』
こういう記事の後に紹介するとパロデイ記事の紹介にみえるが、出所来歴の正しい提言である。ただし、彼が述べるところを敷衍すれば、大都市の局所的バブルに何やら悲喜劇の臭いが漂うきらいがあり。それに引きずられているかもしれない鑑定評価もまた悲喜劇なのかもしれない危うさを拭いきれないのである。
以上が地価に潜む短期的な問題点であるが、長期的にはもっと多くの問題点を指摘できる。
1.日本の財政赤字及び公債依存度、米国の双子の赤字
日銀の量的緩和措置が終わったことから長期金利の動向が話題になっている。しかし、双子の赤字状況にありイラク戦争継続中の米国は、米国債の下落を防ぐ意味から日本の利上げを望まないであろう。もし日本国総理や日銀総裁が金利上昇を目指せば、彼等は全力をもって叩き潰しにかかるであろう。かの角栄・田中元総理に対したように。 このことが日本経済の先行きにどのような影を落とすだろうか、そして地価は。
2.米価の行く末
米価はまだまだ下がるであろうか、米価が下がれば農地収益価格が下落し、農地取引も停滞するから農地地価は下がる。
下がる農地価格が限界地宅地価格に影響を与えるのは当然のことであり、地方圏の地価下落は都心部の衰退、周辺商業地のシャッター街化、農地価格の下落が限界宅地価格の下落に拍車をかけている。
さらには石油事情の悪化、中国の石油&食糧輸入の増加がどう影響するであろうか。日本を上回る少子高齢化に突入する中国人口動態。
でもしかし、エネルギー問題を考える前に食糧問題である。米価をさらに下げて、農家の意欲をさらに下げることが本当に好ましいことなのであろうか。食料は輸入すればよいと云うコイズミ氏やタケナカ氏に問いただしてみたい。
YAHOOでは
NIFTYでは
楽天・インフォシークでは
ライブドアだって
こんなのもある
「本日は04/01です。」
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