浮石沈木(会長談話に想う・その二)

 前号記事「漱石枕流・会長談話に想う」記事で、茫猿は上級役員の責任を問題にした。有る種の連帯責任でもあるとも考えているのである。
その訳は、以下のとおりである。


 (社)日本不動産鑑定協会・副会長の要職にある「平澤春樹」氏のブログサイト「APPRAISAL OPINION」の06.04.12付け記事「JPモルガン信託の不動産信託業務停止問題」と題する記事には、次のような平澤見解が述べられている。
 『今回の事件の中で、私達不動産鑑定士の鑑定書やデューデリジェンス価格調査書等が提出されていたか否か不明であるが、対岸の火事ではなく中立公正な不動産価格の専門家としてキッチリとした集団的理論をもって社会的に対応を明確にしてゆく必要がある。
 あたかも社会的不正に不動産鑑定士が関与している様な印象を与える今回の事件について、内容を調査し対応を社会的にアピールすることが必要であり、その様な地道な対応なくして、不動産鑑定士の社会的信頼は高まらない。』  この段階では平澤氏の述べる見解に異論はない。
 しかし、06.06.16付け証券取引等監視委員会文書「オリックス・アセットマネジメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について」の補足説明文書では、「不十分な鑑定評価」と公文書において明言されているのである。
 この証券取引等監視委員会公文書が突きつけた問題に関して、(社)日本不動産鑑定協会の理事会、常務理事会、正副会長会は今日まで何を評議してきたのかが問われているのである。その評議の結果が「06/29付け会長談話」であるとするならば、とても哀しいのである。
 昨日の雨の日曜日、イマジンとイムジン河に魂を清められた茫猿が、今日は耳を洗いたい思いに囚われているのである。これ程に哀しいことがあろうか。
 勿論、問われるのは平澤氏だけではない。協会副会長職にある稲野辺氏も増田氏も石橋氏も緒方氏も含めて役員の全員は、定款が定める「会長補佐責任や会務執行責任」を全うしたか否かが問われていると自覚して頂きたいのである。
 今からでも遅くはないのであり、鑑定協会役員会は証券取引等監視委員会が指摘する「不十分な鑑定評価」の責任は何処にあるのかを糺して頂きたいのである。即ち、不動産鑑定士や不動産鑑定事務所が負うべき責任なのか、鑑定業務依頼者に帰すべきものなのか、或いは依頼者の提示する不十分な資料に騙されたのか、渦中の鑑定士自身に釈明の機会を用意して差し上げてもよかろうと考えるのだが、如何なものだろうか。

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