バブルではないのか

 しばらく更新がなかった堀田勝巳氏が「バブルではないと言いつのる人々」と題する記事を昨年末にアップしている。ジャーナリズムに蔓延する闇雲に収益還元法を礼賛する粗雑な論調や、異常ともいえる高額賃料を吟味することなく鵜呑みにする危険性などを指摘している。


 複合不動産(賃貸)市場は限られた市場である。単体的には値嵩物件であるのに、市場が成立する地域が極々限定される上に市場全体として物件数が少なくプレーヤーも限定されるから透明度が低い市場である。その限定的ともいえる市場を前提にして賃貸条件の吟味が十分でない収益価格や、低金利&高賃料の持続を前提とする楽観的収益価格は危険極まりないものがあると云える。
不動産鑑定評価において、土地残余法収益価格が内在させる問題点(収益想定の曖昧さ&収益配分の曖昧さ)、複合不動産評価の問題点(収益想定は云うに及ばず、比準価格試算の手順手法に関わる曖昧さ)が未解決と云える。その上に、収益価格そのものが数値の組み合わせであることから一見して緻密にみえるが、その実「合成の誤謬」とも云える不透明さを内在させている。だからこそ価格の決定に至る過程で、三価格の併用や慎重な吟味が求められるのである。

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