『鄙からの発信』掲載の「他山の石か、路傍の石か」などに呼応されたか否かは不明だが、こんな記事をiNetに見掛けた。 《鑑定コラム 739)不当鑑定及び資格剥奪にならなければよいが》が、その記事である。 この記事を読んでから【不動産鑑定評価書:北海道上川郡上川町 その1】【その2】を読み比べてみれば、幾つかのことが見えてくるであろう。
《鑑定コラム 739)不当鑑定及び資格剥奪にならなければよいが》記事中、最も注目したいのは『客室稼働率』と『定員稼働率』の大きな相違についてである。賃貸物件の収益価格とリゾートホテルの営業収益価格の試算手法は相似しているように見えるが、決して相似ではなく、用語定義も基礎データの取り扱いも大きく異なることに留意したいのである。
なお「鑑定コラム」筆者が概略と断っているから、記事の揚げ足を取るものではなく、以下は読者の注意喚起を促す補足である。
売上高の減額修正に直ちに比例して、評価額が減額修正されるものではなかろうと茫猿は考える。
なぜなら、ホテルなどの営業物件収益価格試算においては、売上高から控除する営業等経費について、固定的経費と流動的経費の区分が不可欠であろうと考えるからである。 つまり、売上高の推移に左右されずに支出される固定的経費と、入り込み客数に応じて支出される流動的経費というものがあり、想定売上高の減少は固定的経費率を上昇させて、さらに収益を圧迫するであろうと考えるのである。
鑑定コラム設定例に応じて検討すれば、4.93億円と計上した売上高を1.64億円に減額修正すれば、評価額も33%に修正されるものではなく、固定的経費率の上昇が見込まれるから、純収益のさらなる減額すなわち評価額のさらなる減額修正が導かれるであろうと、茫猿は推定するのであるが如何なものだろうか。
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