NSDI-PT:11/21in岐阜を前に

 既報の通り、11/21は「鑑定評価シンポジウムin岐阜」の日である。 その前日はNSDI-PT拡大委員会(地理空間情報活用検討小委員会)が同じく岐阜市において開催される。 シンポジウム関連は茫猿の所掌するところではないが、20日の拡大委員会並びに翌日のNSDI-PT構築プロトタイプモデル・プレゼンは関与事項である。 連日何やかやと細々(コマゴマ)した調整やら質問やらが寄せられてくる。 そこで、この機会にプロジェクトの概要を振り返ってみる。


 プロトタイプモデルβ版の構築も依頼したSIの手で順調に進んでいるようである。数日中には、概要資料が送られてくることであろう。 あとは20日21日の両日、全国から岐阜にお越しになる皆様にNSDI-PTについて理解を深めて頂き、銘酒肥後椿を酌み交わして懇親の実を挙げるだけである。 さらに12月以降が視野に入りつつある。 今回のモデル構築は委員会名称にも表されているごとく「地理空間情報活用検討」を行うものであり、次年度以降に如何様に事業化するのか、実用化モデルをどのように構築するのか、その事業方針と組織は、関係各方面との調整は、予算額はなどと課題山積の状況にある。 願わくば、全国から参集される諸氏に理解が得られ、次年度の本格事業化について前向きの意見を得たいものである。 
「NSDI-PTの経緯」
 ・地理空間情報活用推進基本法の制定 (07/05/30法律第63号)
 同基本法は地理空間情報の活用推進を図る基本法であることから、全20条からなるコンパクトな法律であるが、そこに示されてあることは驚きに近いのである。同法はNSDI法ともいう。(NSDI:National Spatial Data Infrastructure:国土空間データ基盤整備の略語である。インターネット網が通信インフラであるならば、NSDIは、国土情報コンテンツのインフラなのである。 同法は、取引価格情報開示制度の充実を図り、地理情報の活用推進を図ろうとする鑑定業界にとって、強力な支援法であるといえよう。
同基本法 第十八条 (基盤地図情報等の円滑な流通等)
 国及び地方公共団体は、基盤地図情報等が社会全体において利用されることが地理空間情報の高度な活用に資することにかんがみ、基盤地図情報の積極的な提供、統計情報、測量に係る画像情報等の電磁的方式による整備及びその提供その他の地理空間情報の円滑な流通に必要な施策を講ずるものとする。
2  国は、その保有する基盤地図情報等を原則としてインターネットを利用して無償で提供するものとする。
・地理空間情報活用検討小委員会 設置 (08/07/22)
 6/19開催の総会における質問、並びにNSDI-PT設置に係わる提案書などの働きかけが功を奏したのか、役員諸氏のご理解並びに理事会の承認を得られて、情報安全活用委員会内・小委員会として、NSDI-PT設置が認められ第一回委員会が開催された。
・プロトタイプモデル構築仕様書の決定と構築SIの募集開始 (08/09/24)
 小委員会は今年度事業概要を検討した結果、プロトタイプモデルの構築を承認し、その仕様書案を策定して、情報安全活用委員会に提案した結果、上部委員会並びに理事会の承認が得られて、当日より構築SI(System Integrator)の募集を開始した。
 SI募集は約十社に案内を差し上げたが、うち三社からの企画見積書の応募があり、小委員会で審議の結果、「システム科学研究所(株)」が採用され、十月中旬に採用内定通知が示された。
・プロトタイプモデルβ版のプレゼンテーション  (08/11/21)
 内定したSIとは、さらに詳細な調整・打合せを行いながらモデル構築を進めているものであり、11/21には岐阜駅前じゅうろくプラザにてβ版モデルのデモ展示を行う予定である。
「NSDI-PTの事業目標」
 今回のモデル構築は、収集取引事例に地理情報(所在地の緯度経度情報)を付加することにより、事例の所在や分布をデジタルマップ上にて一覧できるようにすることを目的としている。 しかし、NSDI-PTの事業目標はそれに止まるものではない。
 NSDI-PTの事業目標は、国民の共有財産と云えるであろう「取引価格情報(一次データ~三次データ)」について鑑定協会主導のもとに、それらの不動産情報を国民生活に密着した利便性の高い形態で提供してゆく事業の構築を目指すことにある。 当然に鑑定協会による情報提供はウエブサイトを通じて行われるが、最近のインターネットの技術進歩や利用の拡がりを享受した提供となるべきものであり、「情報の双方向性」や、「不動産鑑定士のネット・レビュー」なども視野に入れておかねばならないのである。 いわば鑑定士が提供する「不動産のポータルサイト」を目指すと言ってもよいのであろう。 同時にそのサイトを充実してゆくことが、社会における鑑定士のプレゼンスをさらに拡大し強固にしてゆくであろうと予測するのである。
 それらの事業目標達成のためには、取引価格情報に地理情報を付加することが必須であり、同時にそれは鑑定士の事例作成業務の効率化や簡便化をもたらすものであろうと考えられるのである。 それは取引事例の所在位置図や地形図の作成を自動化したり、レイヤー(地図ソフトが扱う画像を載せる仮想的なシート)として、都計用途区域図や学区図を保持することにより、駅距離や主要施設距離は言うに及ばず、用途地域や学区などの属性情報取得も自動化することを目指すものである。 そして、それらの鑑定評価のインフラ整備は評価作業や評価行程までにも大きな影響をもたらすであろうと予測するのである。
 少し想像してみて下さい。 モニターに表示される地図上に評価対象地点をプロットすれば、評価対象地の属性情報が得られ、衛星画像やGoogleストリートビューからは周辺状況が確認でき、さらに周辺の公示地や調査地に加えて、事例地も属性情報を伴って表示されるという状況を思い浮かべて下さい。 そこでは数件の事例を取捨選択して比準価格を求めるという評価行程と並行して、多数データを基礎とする価格帯というべきものや、取引件数や地価水準の推移傾向といったデータもビジュアルに表示することが可能になるであろう。
 そういった意味からは、11/21は出発点についただけと云うのが真実であろう。 先は長いし、所掌組織や予算など、先に述べたとおりに課題山積状況にある。 いずれにしても、会員の多くに事業内容を理解して頂き、NSDI-PTはREA-NETと並ぶ鑑定評価のインフラ構築事業として、その必要性を認めて頂くことこそが先決課題なのであろうと考えている。

追伸
 昨日現在での会員エントリー数は235名とのことである。 実行委員会が目標とする250名に到達するまであと一息である。 NSDI-PTプレゼンは事前申込み不要であるし、大きな声では言えないものの「昼食が準備されていないことを我慢すれば、シンポジウムの当日エントリーだって可能であろう。」と茫猿は考えている。 これも大きな声では言えないが、お仕着せの弁当なんかよりも会場付近には『岐阜名物の味噌カツ・レストラン』や『旨い蕎麦屋』だって存在しているのである。 参加費のうち、弁当分金額を放棄すれば、当日エントリーも可能と、小声で付け加えておく。 (研修単位取得については、難しいことを言われるかもしれませんがね !!)

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