茫猿は眠らない

 2008年度末を迎えて、鑑定業界も選挙の時期となっている。 聞けば全国鑑定士の過半に近い数を占める東京会の会長選も決着がつき、現会長の再任が内定したとのことである。 選挙結果は圧勝と聞くが、有効投票率は50%を下回ったとのことである。 棄権者の無関心さがとても気になるところである。 棄権者の真意が奈辺にあるにせよ、なにも無いにせよ、消極的肯定であれ否定であれ、無関心と言わざるをえないところに業界の危機が読みとれるのである。


 茫猿の地元岐阜県士協会も次期2009・2010年度新役員が内定しました。 百年に一度の逆風と取り沙汰されるなかでの舵取りはご苦労の多いことであろうとお察しするのである。内定した岐阜会の新陣容は、この難局を乗り切るにふさわしい清新かつ気鋭の方々であり、多くの期待を致すところです。
 さて、昨日のNSDI-PT委員会にて、REA-MAP・β版の全国公開と次期事業計画並びに予算案が承認されました。 仮称REA-MAP《地理情報と事例資料の融合・事例情報に緯度経度情報の付加》は、近日中にREA-INFOを通じて、全国会員にそのURL、ID、PWが案内される予定です。
 ところで、鑑定業界は先に申したとおり選挙の季節に入っております。全国の士協会では次期役員が続々と内定してゆく中、鑑定協会の次期役員候補者も水面下でその名前が取り沙汰されています。 毎度のことであるが、この季節、鑑定業界はしばらくの休憩に入ります。 09/03~09/06のあいだは、為す術無く時を過ごします。
 しかし、この逆風を思えば四ヶ月間とはいえ、無為に過ごすことはあまりにも惜しまれますし、許されないこととも考えます。 承認された事業計画無く、事業予算無しといえども出来得ることはあろうと考えます。次期が始まる2009年7月までのこの4ヶ月間に及ぶはざまを埋める仕事もあると考えるのです。
 その詳細は、02/27開催の山口会セミナー、03/06開催予定の塾『鄙からの発信』をはじめ、このサイトにても追い々にご案内致してまいりますが、今申し上げられる概要は、取引事例悉皆調査(不動産センサス)、地価公示・地価調査、地理情報、そしてREA-NETの融合であり、効果的活用であり、 それは同時に更地評価主体から複合不動産評価への変貌を目指すことにあろうと考えます。 さらに、それらを基盤として、鑑定士が社会へ情報発信を行うことが、自らのプレゼンスを向上させてゆくことにつながるものと考えます。
 鑑定協会・神戸会長は、常々「宝の山にいながら眠ることなかれ。」と申されます。
また、「逆風下であればこそ、チャンスなのだ。」とも申されます。
小生も同じ思いです。 宝の山の上に只ただ座すことなく、 アゲインストの風なればこそ、上昇気流に転じてゆく気概や智慧こそが大切と思います。
 先に申しましたように私はあとしばらく、 悉皆調査、ネットワーク、地理情報の行く末に関わってゆこうと決めております。 この四ヶ月間も眠ることなく休むことなく、可能な限り許される活動を続けてゆこうと思います。 新年度が動き出す09/07に直ちにスタートが切れるように、準備運動や助走活動を続けてゆきます。 09/07以降に茫猿が関わり続けることを許されるか否かは判りません。 判り得ようもございません。 しかし、今握っているバトンを落とすことなく確実に次期走者に渡してゆきたいと思っています。 あとしばらく、『鄙からの発信』読者各位のご支援をお願いするものです。
 茫猿は明日、緑寿の誕生日を迎えます。 隠居すべき時期はとうに過ぎていると自覚していますが、今しばらくは眠ることなく発信し活動を続けてゆきます。 過去を振り返ることに何ほどの意味もございませんが、なぜ茫猿が眠るまいと考えるかをご理解頂くためには些かの懐旧もお許し下さい。 今日は昨日の展開であり、明日を反映するものであろうからこそのことです。
《1999.04.01》 日本不動産鑑定協会・会長選挙立候補
立候補のマニュフェスト  「鑑定評価のパラダイム転換」
・土地センサスの実施:悉皆調査、土地情報収集体制の充実
・コンピュータネットワークの構築
・地図システム導入
・連合会体制の在り方
いずれも、士協会事業として行うことをめざし、鑑定協会はこれを支援する。
《1999.07.01》 鑑定協会資料委員会に属し、資料のデジタル化配布を提案する
《2000.05.24》 一般統計資料・CD-ROM版配布実施
《2001.07.01》 この頃は、網膜剥離後遺症もあり、岐阜会WAN事業推進に関わる
《2002.01.01》 この頃より、サイト『鄙からの発信』のブログ化を行う
《2004.04.16》 岐阜会25周年:ブロードバンド化NW開始
《2004.09.02》 鑑政連委員会にて在京、新スキーム打合会 陪席
《2004.09.13》 鑑定協会の岐阜会視察(所管課同行)
《2004.10.05》 霞ヶ関筋と懇談、一次データ開示とネットワーク構築提案
《2005.04.01》 「個人情報保護法全面施行」
《2005.07.01》 東京区部他主要都市並びに岐阜県にて新スキーム試行開始
《2006.06.01》 REA-NET構築開始(新スキーム委第二WG)
《2006.07.01》 新スキーム試行、札幌・仙台・福岡等政令指定都市に拡大
《2007.07.01》 新スキーム全国施行
《2007.11.01》 REA-NET 試行開始
《2007.08.02》 企画委第一回、公益法人改革・連合会化審議
《2008.06.17》 鑑定協会総会・NSDI-PT提案
《2008.07.22》 NSDI-PT 地理空間情報活用検討小委員会設置
《2008.11.21》 鑑定評価シンポジウム・NSDI-PTプロトタイプ・デモ
《2008.12.01》 「公益法人改革、士協会が民法特例法人に移行する。」
《2009.01.15》 地価公示・REA-NETオンライン納付
《2009.02.21》 NSDI-PT・β版全国開示、茫猿緑寿
 改めてお断りするまでもないことですが、多くの果実は茫猿の微力が関わるものなどでは決してございません。 時代の変化、協会役員並びに会員各位のご尽力とご理解、関係諸機関、友好諸団体のご支援の結果です。 たった一つ申し上げられることは、それらの多くになにがしかでも関わり続けられた『茫猿の幸せ』です。 十年前に提案したことの多くが、取り巻く環境変化が為させたこととはいえ果実を得、それを目の当たりにできる幸せということです。 合掌以外の何物でもございません。

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