09’NSDI-PT提案

 今年度の地理情報活用検討小委員会構成等は近々公表されるだろうと思われますが、その前に09年度のNSDI事業について、提案書を関係者にお届けしました。 NSDI-PTは08/06/21付けにて鑑定協会に「NSDI・PT設置提案」を行ったことから端を発していますが、その後β版モデルを構築し会員に開示する辺りから方向性を見失っていたように思います。改めて初期の目標を再認識すべきであろうと考えたものです。 この一連の経緯は「情報は皆のために」や「地理情報システム学会」をご覧いただきたいと存じます。


《09年度NSDI-PT 事業提案》 (09/06/29)
「鑑定士の社会的プレゼンスの向上と充実」
 取引価格情報(三次データ)について、それら不動産情報を国民生活に密着した利便性の高い姿で提供してゆくことに関して、地価評価の実証実験を行う。 そして、不動産取引に係わる地理空間情報(NSDI)を、インターネットを通じて社会に還元してゆく事業の構築を目指す。
a.地理空間情報が地価評価にもたらす効果の実証実験(有意性の多寡)
b.有益な地価情報に関わる社会的ニーズの存在調査 (需要の有無)
3.社会の需要に応える情報提供方法の調査検証 (実現性の可否)
「具体的事業目標」
a.三次データの地理座標値を取得する。 
市販ジオコーダーで地理座標値を取得する実験を行い、その精度を確認する。
b.取得した座標データを用いて、地価分析の実証実験を行う。
 地図上に事例分布図を描くだけでなく、広汎な地価分析に寄与できる有効なツールとなり得るかを検討する。 事例データの価格帯毎、種別毎、類型毎、取引時期毎に、その分布状況を地図上に描くことは直ぐにでも可能であろう。
 ルート検索システム、都計用途図レイヤー、学区図レイヤー、ハザードマップレイヤー、標準地設定区分図レイヤー等を用いて、事例データに付属する幾つかの属性データを取得してマクロ的地価分析の実証実験を行う。(各レイヤーについては、一部を除き既存データを利用する。)
 以上、座標値取得と座標値を用いた地価分析の二点に目標を絞り込んで、実証実験を進めるべきであろうと考えます。 それはとりもなおさず、NSDI-PTに関わる当初提案に、立ち返ることであります。
「その他の付随的検討事項」
a.実証実験対象エリアの検討(大都市圏域重視)
b.アライアンス相手先の検討。
c.実験システムの検討(市販システム重視)
 言い訳めくが経緯はこういうことである。 NSDI-PT設置を提案し地理情報に関する会員の理解を深め、地理座標値(緯度経度情報)を三次データに付加取得するためには、会員の協力と理解が不可欠と考えたことに誤りの端緒がありました。 いわゆる新スキーム事例調査業務の過程で座標値取得過程を追加して頂きたい、その為の取っ掛かりとして事例カード二枚目デジタル作成を考えたことが、更に混迷を深めたように考えます。
 またジオコーダーでの座標値取得は都市部はともかくとして、地方圏域では誤差が大きいとみたことも混迷を増幅しました。 他にも”大した作業ではない”と考えましたが、それでなくとも不満の多い新スキーム事例調査に、新しい作業を追加し、折角慣れた作業工程を変更することについての抵抗感、糊と鋏での作業が一番楽であり二枚目デジタル化などに興味も関心も持てないことなども見誤りました。
 NSDI-PTの副産物というか、座標値取得の方便にしか過ぎない事例カードデジタル化などに拘泥することで、地理情報の本質を見失ってはならないと考えたのです。
 それには、『Z士協会・T.M氏からのお電話』 《茫猿氏は、地価公示事例カード二枚目のデジタル化作製を提唱しているようですが、それでなくとも新スキーム事例調査など過重な負担に苦労している公示評価員に、新たな負担を強いようとするのですか。 そのような考え方は決して受け入れられません。》 とのご指摘が、方法論のあやまちを気付かせる決定打でした。 
 また地理情報学会や土地総研の資料からも、今為すべきであろうことを気付かされました。 その結果が、前掲の「09’NSDI-PT提案」です。
 つまりは、一次及び三次データが座標値を持つことの意味のみを考えるべきであり、提案は粗案に過ぎませんが、その意とする処は、その余のことに言及する必要はなかろうと云うことです。

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