制度見直し-Ⅱ

 鑑定協会が制度見直し案について意見を募集したのに応じて、投稿した意見を掲載したのがこの記事であるが、なにやら長いだけで本意が誤って伝わりかねないと思えるから、その云わんとするところを手短に書き直してみる。


 新しい周辺業際業務に鑑定士が進出することを、茫猿は否定するものではない。大いに行うべしと考えている。鑑定士の知識や経験を多様な業務に展開してゆくことは、自らのためにもなるし、社会にも貢献できることとなるだろうと考えている。
 それでも価格等調査ガイドライン案(不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン)の際限のない拡大については疑念がある。
 いかなる名称であれ「価格等に関わる調査結果」についての書類を、鑑定士が発行するのであれば、最低限守っておかねばならないことがあろうと考える。
一つは、現地踏査が必須であること。
一つは、鑑定士が非公開を求めないと云うことである。
 いかなる場合でも現場を見ずして、価格等意見を表明することは避けたいし、鑑定士というライセンスの社会的存在意義を考えれば、非公開を求める書類を作成交付してはならないと考えるのである。公開非公開は業務依頼者の意向に委ねるべきであろうと考える。
 何よりも、非開示を守りますなどという、頼みにできない約束を求めること自体が専門家としては有り得ないことと考える。
 では、現場踏査を行わず、非公開を前提とする依頼案件にどう応えるのかと云えば、鑑定士という名称肩書きを用いずして発行すればよかろうと云うのである。その条件でも依頼者が諾というのであれば発行されればよかろう。 ただし、その場合でも鑑定士ライセンスを有する者が「鑑定士名称を用いなくとも」、記名押印すれば、その道義的責任はまぬがれ得ないであろうと自覚すべきであろう。

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