塾・鄙からの発信No.10報告

 昨日は、塾『鄙からの発信』開催日でした。
緒方講師には生憎の雨のなか、またお足のお怪我をおして、遠路御来岐いただきました。 雨のせいでしょうか、聴講者数は予想より若干少のうございましたが、それでも会場が和室だったこともあり、マイクが不要なくらい近い距離で親しくお話しを伺うことができ、まさに”謦咳に接する”という表現そのままに、講義を伺うことができました。 
 講義前半は最近の評価制度見直しについて伺いましたが、さすがに、一連の経緯を熟知する立場にお見えになった方のお話しは判りやすく、核心をついていると、塾頭はもちろんのこと、聴講者も異口同音に感謝致しておりました。 以下にいただいたレジュメを掲載します。 また後半は鑑定業界が直面する様々な問題について、質疑応答をまじえながら講師のお考えを伺いました。


《塾『鄙からの発信』 2009年11月13日 PM13:30~pm17:00》
講師 緒方瑞穂様 テーマ:鑑定評価の昨日今日明日
(注) 《》内は茫猿の加筆です。
Ⅰ.制度見直しに至る国側の考え方の流れ       
(1964年基準制定、1969年改定、1990年改定)
1.2002年7月3日「不動産鑑定評価基準」全部改正  事務次官発出(2003年1月1日施行)
  価格概念の整理、市場分析の重視、収益還元法の体系的整理、
  試算価格の調整、物件精査の考え→ 鑑定士の説明責任
《一連の経緯のポイントは、不動産鑑定士の説明責任を充実することにある。》
2.2003年5月「今後の不動産評価のあり方」部会報告
  ニーズの変化に対応する。
①従来からの分野~公的評価、競売・訴訟、公共用地、売買、担保等 更地中心、
小規模業者も参入しやすい。 将来先細りの可能性
②今後の期待~不動産の経済価値判定が必要となる場面が増える。
《多くのひとり鑑定士事務所が、如何にしてアライアンスを拡充し市場のニーズに応えてゆくかが直面する課題である。》
(a)証券化、M&A、企業再生、時価評価等の中には、大量一括広域ニーズがある。
  品質を一定水準に確保すること。
(b)ワンストップ、高度技術が必要な他専門分野との連携
  土壌汚染、企業評価等
(c)コンサル、隣接周辺業務
  利活用関連相談、権利調整等
  b),c)は高度の専門性。複数の鑑定士、業者による組織的分業、集約を図る。
 鑑定士は技術力(専門知識)、業者は総合力(実力、信用等)を高めることで健全で秩序ある競争が期待される。
3.2007年4月2日「各論第3章」事務次官発出(2007年7月1日施行)
  証券化不動産の範囲、収益還元法の標準化、ERの取扱明確化、
  DCF法等項目統一と情報共有→ 業者のコンプライアンスの向上
4.2008年1月25日「海外不動産鑑定評価ガイドライン」事務次官発出
  補助方式・検証方式
5.2008年4月1日「不当な鑑定評価に係る処分基準」部会報告
  鑑定士の懲戒処分→ 手順の不当性、評価額の乖離
  業者の監督処分→関与の内容、信頼性を損ねた程度等
6.2009年3月31日「社会の変化に対応したよりよい鑑定評価に向けて」(部会報告)
  業務の目的と範囲の確定、報告書の記載事項の見直し→ 一部基準に織り込む、
7.2009年8月28日「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」事務次官発出(2010年1月1日施行)
「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン運用上の留意事項」局長通知(2010年1月1日施行)
8.2009年11月  「財務諸表のための価格調査に係るガイドライン」(近く発出予定)
《財務諸表脚注に、賃貸不動産等の時価表示が主眼である。》
Ⅱ.立ち入り検査(モニタリング)について
検査内容
モニタリングの現状は、証券化評価中心であるが、将来的に拡大する方向もあり得る。》
韓国の審査制度
《事前審査が中心であるが、韓国版レビュー制度は、我が国おいても一考の余地有り。》
Ⅲ.今後の鑑定評価の方向性
 IFRS(International Financial Reporting Standards 国際財務報告基準)と、
IVS(International Valuation Standards 国際評価基準)との関連
《IVSについては、鑑定協会会員専用サイトに用語対訳集が掲載されている。》

《国際財務報告基準とは国際会計基準と同義である。 企業の国際化は会計処理においてもグローバル化は避けられないことである。 それは海外進出企業のみに限られることにとどまらず、関連する国内展開中小企業にも波及すること必至である。 であればこそ、2015年導入予定をまじかに控えて、不動産鑑定士の対応準備が求められている。 また、導入に際してはコンバージョン(整合性)、あるいはアダプション(適用)の二種の展開が予想されるが、日本ではコンバージョンが予想される。》

※IVS関連サイト記事
「Japan Real Estate Appraisal in a Global Context (JAREC:pdf)
最新国際評価基準: 紀伊國屋書店BookWeb
 他にも、情報産業としての鑑定評価のあり方、地価公示の将来像、悉皆調査(新スキーム)が直面する課題、鑑定会館建設問題、NSDI-PTへの期待などなど、多くの示唆を伺いましたが、塾での座談ですから掲載は控えます。
 和室での講義は塾らしくて、なごやかな雰囲気のうちに進みました。
 
 塾会場の近く、岐阜駅前広場の、雨にうたれる信長像
 
 同じく、雨にけむる駅前の杜
 

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