止揚X’mas 2012-Ⅲ

止揚学園のクリスマス会では、福井先生が色々なお話しをなさいました。 ミサでのお話し、劇の幕間において、祝餐において、様々なお話しがありました。 その総てを正確には記憶していませんので、お話しを辿ることは止めますが、学園に一日お邪魔していて茫猿が感じたこと考えたことを記しておきます。

止揚学園は来年2013年の秋に創設五十周年記念行事を迎えます。 学園創設当時の苦労を思い出しながら、福井先生はこのように述懐されます。 『学園の創設当時は認可施設ではなかったから、その日の食事にも苦労したものです。 料理屋さんの残り物をいただいて食事にしたこともあります。 肉の見えないカレーライスがたまのご馳走でした。 でも、その頃は楽しかった。今の学園は経営も安定し建物も立派になったが、楽しくない。 なにか福祉ではないことに毎日追われているような気がします。』 先生の述懐は、茫猿の頼りない記憶です。正しくは、少し違うお話しだったかもしれません。

介護保険とか障害者自立支援法とか、制度は整えられ一見すれば弱者保護は前進したように見えますが、その背後では効率化や規制も進んでいるのです。 補助金の助成を求める為には多くの書類を整える必要があり、その後も報告や監査が待っています。公的支援や助成は事務の繁雑化も伴っているのです。現場を離れた管理業務に忙殺される日々ともいえます。 そんな管理業務に追われる日々は、楽しくないと言われるのです。

効率化は食事にも及びます。厨房の機械化やアウトソーシングも求められます。 止揚学園では一時、厨房の機械化を図ったことがあるそうです。 野菜の洗浄からカットにいたるまで機械化を図ったところ、しばらくしたら園生の生活態度に落ち着きが無くなってしまったそうです。 この不安定さは機械化を止めて、もとの手作り、手作業に戻したら治まったそうです。 重い知能障害を持つ園生ですが、心はピュアで鋭いものを持っています。 我々には感覚出来ない調理の機械化や効率化ですが、彼らは鋭敏に覚るのでしょう。 そして、それは我々にも少しずつ影響を及ぼしているのであり、子供達の成長にも影響しているのであろうと思われます。

こうも言われます。『福祉と経営は並び立たない。 弱い者と同じ立場、同じ目線で考え行動してゆくのが福祉だと思います。 止揚学園は皆が仲間なのです。お世話してあげる立場も、お世話される立場もないのです。 日々、園生の仲間から教えられているのです。』 この言葉は116号を数える冊子:止揚の連載「負けいくさにかける」のテーマとつながるものだろうと思います。

社会福祉と企業経営、利益とか効率化よりも共生とか仲間意識を大事にする姿勢と利益・効率至上主義は相容れないものだと思います。 それなのに、社会福祉の現場に企業経営の考え方が導入されつつある現状は、一度立ち止まって考え直す時なのであろうと思われます。

初めて福井先生にお会いした時、先生は麦わら帽子姿でグランドの隅で草取りをされていました。握手して頂いた先生の手は大きく力強かった記憶が今も残っています。 先生はまだ五十代だったと記憶します。それから二十数年、先生は八十を超え私も七十目前です。古い馴染みをいいことに、大先輩にタメ口をきく私ですが、先生の健康をいつも心配しています。以前に比べて身体の不調を口にされることが多くなりました。 私が初めてお身体の不調を伺ったのは、2009年の五月に近江八幡で開かれた止揚展の会場でのことだったと思います。

先生にいつまでもお元気でいて欲しいと願います。 昨日もお暇(おいとま)を申し上げましたら「僕は120まで生きるからね」と握手しながら言われました。 でも、120まで生き抜く為には、もう少し仕事をセーブして体調管理に努めていただきたいと思います。いつお会いしても元気で力強い先生でいて欲しいと願います。 その為には、講演旅行も少し控え、学園行事も出ずっぱりで頑張ることを控えて、学園に増えた若いスタッフに任せることを増やしてほしいと思います。

口では、「この学園の職員は人使いが荒いのだよ。何かというと僕を使い倒すのだよ。」とボヤキが出るのですが、忙しいことを楽しそうにボヤカレル先生なのです。 だから心配なのです。部外者がとやかく申し上げることではないと承知していますが、笑顔で見守っているだけで皆が(私も)安心できる先生の存在を大切にしていただきたいと思います。
そんななかにも若い力が育っている学園です。福井サンタお爺さんの介添えをする若サンタはまだ在籍数年のスタッフですし、歌詞カードを掲げている二人は来春から学園スタッフに加わる新卒者です。 来年も明るく楽しい元気溢れる止揚学園であることを願いながら、スタッフに送られて学園を後にしました。 学園の皆さん!! 楽しい一日を有り難う!!

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