越年する同床異夢

2012.12.28 世間では、今日は御用納めの日です。明日からしばらくは年末年始の休暇に入ります。 『鄙からの発信』は、今年も由無しごとを綴り続け号を重ねて、本号は2394号記事です。来年はサイト開設以来十五年目に入ります。来年中には2500号記念記事をアップできるでしょう。
よくもまあ、駄文を垂れ流してきたものよと、内心忸怩たるものもございますが、ここまで続けてきたのですから、もうしばらくは続けてゆきたいと思っています。

この一年のあいだ、鑑定業界では「民間分野への業務拡大」や、「RICSとの業務提携」に代表されるグローバル化が話題となり、鑑定評価の裾野の拡大充実が図られてきました。 それらは大事なことであり素晴らしいことでもありますが、同時に「事例資料利活用問題」は昨年からの混迷が続き、今年も新制度創設には至らず、年越しを迎えました。 鑑定協会から公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会へと大きく衣替えした日鑑連は、内部求心力の力強さを見出せないままに一年が過ぎようとしているように見えます。

一年の最後をこの種の記事で終わるのは釈然としないのですが、でも大事なことであるにもかかわらず、コンセンサスが得られていないように見受けられることについて、ふれておきたいと思います。 それは12/04理事会に於いて承認された新スキーム第二次改善案に記される「REA-NET」についてです。

一、新スキーム第二次案の解釈とREA-NET現行契約
第二次改善案第一項では以下のように定めています。
「1.情報の安全管理を徹底するため、25年6月末までにREA-NETを全士協会に導入する。
なお、未導入の士協会については連合会が代行する。」

REA-NETなるものの解釈 その1.
ここで云うREA-NETとは、現行三者契約に基づくREA-NETであるのか?
※現在20を越える士協会が導入し契約している現行REA-NET運用管理契約は、連合会と士協会と管理業者から構成される三者契約である。

解釈 その2.
それとも、連合会の主導権による導入を宣明する以上は、現行の三者契約は破棄され、連合会と新しい管理業者との二者契約による更新済みREA-NETの導入を図るのか?

現行のREA-NET三者契約には、以下の問題点を指摘できます。
1.データを直接に受託者(ITS)へ提供する士協会の権限(契約第7条)
2.REA-NET参加可否の判断に関わる士協会の権限(契約第10条)
3.自士協会に属する会員の登録料支払い義務(契約第18条)
4.データ利用料(閲覧料)を賦課する士協会の権限(契約第21条)

※三者契約上で、REA-NETの運営主体は連合会であるとするものの、
参加可否の判断、会員登録料の支払、データ提供権限、閲覧料賦課権限は
士協会に帰属すると定める契約であり、第二次改善案本来の趣旨にはそぐわないものである。 さらにサーバやシステムの更新時期も過ぎている点が指摘できます。

それでも、(A)安全管理の早期貫徹を優先して、現行三者契約を続行して全国導入を図るか。 それとも、(B)三者契約を破棄して、新契約のもとで更新済みREA-NETの全国導入を図るのか。 その場合に、(C)既往の契約による士協会については、どう対応するのか。 という問題点が存在する。 このA~C三項の整理が必要であろう。 連合会が現行契約の破棄を決定し、然る後に新規二者契約を締結して、改めて全士協会に導入を要請すれば事足りるとも云えるが、穏やかな手段ではなかろう。

二、取引事例資料をREA-NETへ提供する件について
連合会が事例資料(二枚目を含む四次データ)の提供を士協会に求める権限は、明白なモノとはされていない。 地価調査委員会発2011.08.23付けの地価公示運用指針第8章1の3にて、「分科会を超えた事例交換は、稀少事例の交換を除き禁止する。」と定めていることに照らしても疑義が残るのである。

具体的には承知しないが、連合会が管理する「地価公示ネットワークシステム」より、四次データをREA-NETへ複写移管するとしても、同様の疑念は残るのである。 また、公示ネットワークシステムより、四次データ二枚目の複写移管が可能であるかは承知しない。 であれば、二枚目を含む四次データのREA-NET提供は、士協会の自主性に委ねる他はないこととなる。

1.安全管理の観点から、閲覧記録が詳細に残せる(LOG管理)以外の閲覧管理は停止。
(注)アナログ的管理の停止は、自会員であると否とを問わないものである。
2.オンライン・デジタル閲覧管理手法として、連合会はREA-NETを無償提供する。
3.よって、REA-NETにデータの提供を求めるものである。
データ提供が無ければ、自士協会会員の閲覧・共同利活用手段も閉ざされることとなる。
(注)REA-NETの維持管理費用は、別途定められる新スキーム負担金に含まれるものであり、閲覧料(実費)として徴収されるものである。

さらに云えば、四次データの閲覧管理は以上に記すようになるが、三次データについては、連合会が公示ネットワークシステムより複写移管して、REA-NETにてオンライン提供するものとなるのであろう。

三、サーバの更新並びに運用管理業者選定の件
利用開始以来五年を過ぎて更新時期がきているサーバ更新等については、日鑑連事務局に設置されているISPT(情報システム推進チーム)によって検討が進められており、その結論待ちであり、来春には更新業務が始まるであろうし、サーバ更新と並行して機能改善も図られることであろう。また、REA-NET運用管理業者の選定に関しても、前記ISPT並びに業者選定委員会が検討を進めており、その結論を得て業者選定が始まるであろう。

以上、REA-NET全国導入に関して、とても重要であろうと考えられることが、未整理のままであり、即ち、REA-NETそのものについて玉虫色の解釈が行われているままでは、全国展開を図ることは困難なことであろうと思われます。 業務執行理事会或いは新スキーム改善委員会において、この整理を行わなければ、次の段階へは進めないであろうと考えながら、年を越す茫猿なのである。  昼前から降り出した雨は午後になって雪に変わった。眼前はモノトーンの冬景色である。

 

関連の記事

カテゴリー: REA-NET構築, 茫猿の吠える日々 パーマリンク

越年する同床異夢 への1件のフィードバック

  1. 福田勝法 のコメント:

    いつも、的確な問題点のご指摘有難うございます。”内部求心力の力強さを見出せないままに一年が過ぎようとしているように見えます”と発信されておられるとおり、事の本質は、鑑定評価制度発足からの問題が、組織を形式的に?改変しても何ら解決されていないことにあると思います。

    12/4理事会で「新スキーム改善特別委員会」が提出した文書(確定発行番号、日付空欄)「平成25年の取引事例の収集について」には、”新スキーム情報閲覧事例の管理責任は連合会が負うことになりました”と記載しているにも係わらず、”(1)収集した取引事例は必ず連合会に提出して下さい”と各県士協会等が独自に収集管理している事例も一括りにしたような記載になっています。

    佐賀県士協会でも新スキーム情報だけでは、事例が不足し、独自に収集した事例も管理しております。このような状況は他県でも同様であると考えます。情報の安全管理を徹底すべきことは、十二分に承知しておりますが、各県士協会も独立した社団です。このままでは、独自に事例収集を行うモチベーションさえ、削がれかねない状況になるのではと危惧しております。”REA-NETなるものの解釈”でもお触れになられているように、ここに来て、対国交省への対応を優先するあまり、拙速ではないかと感じております。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です