迂闊なことであった、知らなかったことであった。
消費税が一部の事業者《小規模非課税業者・課税売上一千万円以下》にとっては益税であるということは知っていた。 現役の頃に、不動産鑑定評価報酬《売上》が年間一千万円以下であれば消費税納付を免除されることから、受取消費税額が益税と化すことは知っていた。 しかしながら、そんな零細事業者の話などでなく、名だたる大企業に消費税益税化が存在しているということは、迂闊にも知らなかった。《記憶に残していなかった。》
トヨタ自動車(株)、本田技研工業(株)、ソニー(株)、日産自動車(株)、キャノン(株)などなど、名だたる大企業に対して毎年々々、多額の消費税還付金が交付されていることは知らなかった。
経団連が消費税増税を声高に主張する背景には、数千億円という多額の消費税益税化現象が存在していたのである。 大きな輸出売上額を持つ企業にとって、5%から8%への増税はそのまま還付額増額につながる訳であり、増税に賛成しない理由が存在しないともいえる。
今や輸出企業にとってはアベノミクスによる20%とも30%ともいえる円安利益が生じているのであり、それに加えて2014.04からは消費税増額による還付益が生じようとしているのである。 しかも悔しいことに、この還付益にもドル建て輸出であれば円安効果による相乗効果が発生するのである。
そんな輸出大企業に、安倍政権は法人税減税や復興特別課税前倒し廃止などというさらなる支援策を行おうとしているのである。 またまた悔しいことに景気対策という美名まで付けての対策なのである。 このようなカラクリを明らかにしようとしないマスコミの怠慢、いいや財界との癒着は極まっているといえるのではなかろうか。 そこには政官財マスコミ四者の野合・癒着が存在し、根深い愚民視感覚が存在していると考えざるを得ないのである。 太る者が益々太り、痩せる者は益々衰えるという現象、ネオリベラリズムが日本国民の階層二分化を助長し拡大している現象を嘆くのである。
(注)輸出企業への消費税還付金・輸出戻し税に関わる事柄は、税率増額イコール益税化という単純な話ではない。 輸出額には仕入れに関わる消費税額を転嫁できないから、その差額を戻すという結構複雑な仕組みである。 「輸出における消費税」
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