ベスト16入りの評判様々

W杯ロシア大会、日本はグループHを1勝1分1敗、警告数の差で勝ち上がった。ポーランドとの第3戦、終盤十数分のチンタラチンタラしたパス回しによる時間稼ぎは会場のブーイングを巻き起こした。

これをサムライのリアルというか、サムライの美学に反するとするか評価は別れるだろう。勝ち上がりを優先するリアルといっても「0−1」で終われば、必ず勝ち上がれるものでもない。同時試合進行のセネガル・コロンビア戦でセネガルの逆転勝利や引き分け持ち込みだってあり得る訳で、その意味では十数分間のチキンレースでもあったはずである。この件に関して、ネットには好嫌様々な評価が溢れている。

酒井のファウルから得たポーランドのセットプレーでのゴールシーン。(ライブ見逃しより)

リアルか美学か、どちらに組みするのか、茫猿は判断できない。ベスト16入りは良かったと思うけれど、美しく戦って欲しかったとも思う。韓国がドイツに一矢報いたばかりだから、余計にそう思う。これで西野・サムライ・ジャパンはFIFAランキング三位のベルギー戦を勝てないまでも美しく、果敢に闘って欲しいと願うのみである。西野マジックが花開くのであれば言うことはない。

豚になっても生き抜けと云うのも哲学である。豚になっても生き抜く人を誰も非難できない、生き抜く目的を問う人も居るだろうが、ただ生き抜くだけでもよかろう。太った豚となるか、痩せたソクラテスを選ぶかと訓示した学長もいた。「紅の豚」でマルコは「飛ばねぇ豚はただの豚だ」と嘯くのである。

「W杯 日本の試合は「茶番」と批判」 BBCニュース

「豚になっても生き抜け」 西野 朗の22年 (ワールドカップ グループリーグ 第三戦 日本0-1ポーランド) 清 義明(フリーライター・㈱オン・ザ・コーナー代表取締役)

「日本がアンフェアではない、ルールがアンフェアなのだ!」 木走日記

日本の強みはフェアであること-得たものと失ったもの
阪口直人 前衆・民進/元NPO法人「インターバンド」事務局長

「恥を忍んで勝負に勝つというのは駄目なんだろうか?」
ヤシキケンジ    ライター。構成・アニメ・ドラマ・雑誌・ラジオ等で時々、仕事。

「韓国は美しく敗退、日本は醜くベスト16入り」
菅野 朋子 文春オンライン

「いくらブーイングをされても、勝負するのは“ここ”じゃなかった」
佐藤 俊 文春オンライン

ベスト16の相手はFIFAランク3位のベルギーだが、ベルギー・イングランド戦の結果次第では12位イングランドの可能性もあった。このイングランドについてグループリーグ二位突破を狙った無気力試合批判だってある。W杯は虚実取り混ぜた複雑怪奇な大人の世界なのだし、巨額なマネー渦巻く魑魅魍魎が跋扈する世界なのかも。鄙の茫け猿もどきには及びもつかない世界なのだ。

事情は少し異なるが、1992年8月16日の第74回全国高等学校野球選手権大会2回戦の明徳義塾高校(高知)対星稜高校(石川)戦における、明徳馬淵監督が選択した勝つために「星稜・松井秀喜の5打席連続敬遠ーバットを一度も振らせない。」を思い出した。

これまた事情は異なるが、「民主主義は多数決です。それがルールです。」と云う安倍総理も思い出す。《多数決は民主主義の決裁ルールであるが、大前提に少数派の尊重があることを忘れてはならない。それ無くしては多数派の横暴でしかない。》

西野監督が選択したフェアプレー・ルールだが、このルールの本旨は全力を尽くして闘った結果として、警告点数の多寡を評価しようとするものであろう。アンフェアに或いは無気力に警告点を免れたチームを救うと云う趣旨ではなかろうと考える。

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