茫猿の反省・2

【茫猿遠吠・・茫猿の反省-2・・01.07.25】
 先号「茫猿も反省する」を受けて、次のような示唆に富むご意見を
二通頂きました。有り難く、転載させていただきます。
意見その1、引用開始
「個別単独契約の危険性及び複数委嘱の必要性」
 昨日、当地方の某自治体と固評標宅契約折衝を行っている方から、所
管課への同行を依頼されましたので、訪問してきました。
 訪問説得の結果、自治体側の方針は個別単独契約から個別包括取纏契
約 (複数委嘱状発行)へ180度の方向変換をしたものと、確信してい
ます。
 私は、固評標宅鑑定評価業務において、市町村の行政マンに対し、複
数委嘱の必要性を説くことは不動産鑑定士としての責務であると認識し
ています。同時に鑑定士側が、個別包括取纏契約についての共通認識を
持つことが重要だと考えています。
 自治体側が個別包括取纏契約を採用するように説得するに際してのポ
イントは「相手の立場(自治体=委嘱者)を真剣に考えよう」と云うこと
です。
 評価報酬の低廉化という理由のみで、士協会包括取纏契約(複数委嘱
状)から個別単独随意契約(単独委嘱)に変更を決断することに、潜む
危険性を説明することが重要だと考えます。
 行政マンに限らず、誰しもが契約を締結する際には、その契約態様に
リスクがないかを考えると同時に、契約担当者の責任が回避出来得る契
約態様であるか否かを第一に考えるものです。
複数委嘱のポイント・その1
 長期間にわたる業務であること故に、業務遂行期間中の死亡、病気、
事故のリスクが回避できるか、担保されているか、否か。
ポイント・その2
 業務終了後に発生が予測される、行政不服審査等の危険性に対する
フォローが充実しているか否か。(一人より複数が心強い)
ポイント・その3
 地価情報はじめとして、複数担当であることにより、多元的・多面的
な知識をもとにして評価が構築できる。また、周辺隣接市町村情報も必
然的に多くなるし、隣接市町村間の価格均衡検討にも万全を期すことが
出来る。等々、三人寄れば文殊の知恵と云わずも、複数の担当者が意見
を交換しつつ視点を違えて評価作業を行うことの利点は、多くが挙げら
れます。
意見その2・引用開始
 いよいよ固評標宅評価・業務契約締結折衝等が煮詰まってきました。
憂国の詩人:安東柱ではないが、「空に向かいて恥なきを」です。
 鄙からの発信の久野収氏の言葉、勇気付けられます。
「少しでも理想に向かうことが我々の勝利であり、どんな敗北の中から
も民主主義完成の契機がある。どんなに敗北を重ねても負けない自分が
ここにいる。それが人間の勝利であり、それ以外の勝利を考えるように
なると組織や運動はもちろん人間の堕落が始まる。」
 どこまで、自分の自由な意思、好むところにこだわれるかでしょう。
 士と業の分岐点でもあります。
 『鄙からの発信』文中の「より良いものをより安くというのは普遍的
真理である」訳ではありません。
 それは「完全競争の原理」であり、暴力(武力)と同様に今もなお最
も有効な競争手段でもあるけれども、普遍的ではありません。
 労働力も商品でより高くという論理が不抜に存在していますし、
「より良いものをより安く」が集中豪雨的輸出となり摩擦を生みます。
 「良いものをそれなりに」が、グローバル・スタンダードである側面
を見失っては、地球資源の枯渇に直結します。
 「資源有限時代の共存原理」、「人が人らしくあるための経済原理」
を今模索している時代です。
 「より安く」という指向にはリスクが付き物です。
 そして、モノによってはリスクが人類の絶滅にも関わるほどに大きい
のであり、標宅評価も依頼者にとってはリスク(妥当精度と業務完遂等)
との比較考量でもある筈です。
 先日案内のあった「鑑定業賠償責任保険」では、こちらも安価を指向
してリスクを犯す気になりません。
 見えないリスクをどう評価するかが、コンサルタントの真骨頂でしょ
うし、鑑定士の資質とも関わるものである筈です。
 コンサルタント業を企業化した船井幸雄が鑑定業界に居るとは思えま
せんし、現行の固評においてリスク回避は困難でしょう。
 「鑑定士の敵は鑑定士」であり、価格競争に勝利した者は、次回の評
価まで質を問われ続けることになるでしょう。
 「価格競争」に勝利した者は、「価格」と「質」の両面競争を余儀な
くされるのであり、格好の標的となり得るのです。
 「足るを知る」と共に、「足らざるを恐れるなかれ」です。
貧乏より、己を見失うのが怖い。
株ではないが、「休む」も千両です。
 ささやかな仕事に追いつめられている毎日で、「休む」とはなんと甘
美な言葉か!
 サボった悔恨の週末が続いています・・・
以上、引用終了
いつもの蛇足です
「より良いものをより安くというのは普遍的真理である訳です」という
表現は拙かった。舌足らずであった。(茫猿も反省)
 せめて、「より良いものをより安くという、比較多数派的論理」位に
表現しておけばよかった。
でも文末には、このような表現もしているのですが、駄目でしょうか。
(と、なをも未練な茫猿)。
・どの市場でも、参加するかしないかはプレイヤーの自己責任。
・市場の競争条件を規定するほどの力が有るか無いかが問われる。
・「グレシャムの法則」に逃げ込まない。

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