都市の盛衰

【茫猿遠吠・・都市の盛衰・・02.04.20】
 昨夜の某呑みニュケーション会場で、またまたこんな質問を受けた。
「一体、全体、地価は何処まで下がるの?」
 茫猿、応えて曰く、「判りません。でもはっきり言えることは、若年層が
減少して住宅需要は減少の一途であること。農地と商店用地は後継者不足と
いうか後継者旱(ヒデリ)で投げ売りが始まっていること。ビルの空室率は上
昇するばかりであること。これらは認めますね。」
 質問者より速く、横にいた零細企業経営者が、「その通りだわ、建売の4
軒に1軒は売れないし、マンションも危ないし、シャッター店舗も増えてい
る。」
質問者、「でも、それが地価とどうつながるの?」
某経営者、「オメャーサン、あったり前だろう、土地も家も余るばっかで、
買い手がネーンダワ、ナッ茫猿さん」
質問者「いや、私が聞きたいのは、いつまで下がるのかと云うことよ」
 地価が何処まで下がるのか、それは神のみぞ知る。
日本の不動産政策には目標がないから先が見えない。
例えば、300平方米の敷地に延べ120平方米の住宅が年収の4倍以内(2千万円
程度)で取得できるようにする。といったような具体的政策目標を掲げて邁進
すれば、先が見えてくるのでしょうが。
 さて、そんな折りに
日経ビジネス 4/12号及び Web Site-NB-EXPRESS(一部記事は会員制)に興味深
い記事が掲載された。全国成長都市・衰退都市ランキングである。
 2006年から日本人口は減少に転じる。人口増加&経済成長時代には住宅は
造れば売れた。多少難ありでも売れていった。都市経営も増える人口と税収
増に対応するだけでよかった。
今後は違う、日本全体の人口が減ってゆくのだから、減り行く人口を減らさ
ない工夫や、流出する人口をひき留める工夫が求められる時代となる。
http://nb.nikkeibp.co.jp/top.shtml
 記事から一部引用すれば
「その時、人を引きつける都市と人が離れる都市、 この両者の差はより浮き
彫りとなるだろう。」
「成長都市ランキングの上位に付けた街には、 個性的な政策があり、魅力
的なトップがいた。 衰退都市ランキングの上位に付けた町には、 ひと気の
ない史跡と、自暴自棄の市長がいた。」
 何とも刺激的な文章であるが、記事のランキングとその分析を読めば一つ
一つが肯定できるものであった。なかでも、ニュータウンのオールドタウン
化、かっての企業城下町の衰退、当然と云えば当然のことであるが、数字と
して示されると、半ば慄然とします。
 ちなみに、我が岐阜県では、美濃加茂市が2000年人口約5万人が2030年に
は約7万人に増加すると推計され、増加率全国10位にランクされました。
地元精通者としては嬉しく思うと同時に、その理由も十分納得できました。
因みに県都岐阜市は2000年人口約40万人が2030年には31万人強と推計されて
おり、これも十分に有り得ることと頷けました。
 岐阜市の総合計画立案担当者に云わせれば、2012年に3%増という控えめ
な計画目標を立てているのだそうですが。
 本日の地元新聞には、「岐阜市のオフィス(4階建以上EV付)空室率が過去
最高の 18.5%に達したと報ぜられました。96/12当時の5.5%の三倍に達した
とのことです。周辺の都市では、名古屋市が6.4%、津市が12.7%、四日市市
が16.4%とのことです。
 1996年には164万戸を記録した新設住宅着工戸数は、2001年には117万戸と
なり、2010年には 100万戸を下回ると予想される。なかでも戸建て住宅は
96年 64万戸であったものが、2001年39万戸となり2010年には20万戸強に落ち
込むと推計されている。
 こんな全体状況のなかで地価上昇を夢見るなど、とてもできないのだが、
この供給過剰・資産デフレ状況を、居住環境良化の最大の機会ととらえる施
策がでてこないのが何とも不思議である。
・・・・・・・本稿終わり・・・・・・・

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