只管打座としては、しばらくのご無沙汰でした。
今回は、少しばかり茫猿のボヤキにお付き合い下さい。
先日、以下の投稿を頂きました
最近の『鄙からの発信』は、表現が少々自虐的に過ぎると思います。と申しても、国粋主義的代議士が他者の攻撃に使う「自虐史観」みたいな意味ではありません。 鑑定士の仲間内だけで、「こんなに情けないならば、鑑定士なんて滅びればいいんだ」みたいに話すのはいいですが、「発信」は鑑定士以外の一般の読者もいるわけですから、もっと毅然とした態度を取りつづける必要があると思います。
鑑定士に奮起して欲しいという思いはよくわかるのですが。
奮起しろといっても奮起しない鑑定士などは放っておいて、意欲のある人間だけで先に行けばいいと私は思っています。【投稿終わり】
前記、投稿に限らず、我が子息や古い友人からも、少しおかしいとか、疲れているのでは、と云われます。あと5歳若ければ、眼の健康状態がもう少しよければと思うことが多いのです。
自分の無力さを思い知ることがもたらす虚無感。
以前に紹介した「Evaluation」に掲載された鑑定業界動向分析記事の紙背に読みとれる業界の系列化、業容の多様化、分散化などがもたらす、鑑定協会が求心力を失いつつある状況を知れば知るほど感じる脱力感。
目先の固評鑑定、競売評価、不良債権処理や時価会計に伴う業務量の拡大。今、鑑定士は史上空前の繁忙の中にいるのかもしれないし、最後の輝きの中にいるのかもしれない。
そしてその輝きの色は明るい黄金色ではなく、暗い赤黒色なのかもしれないと思い始めています。そんな思いが自虐的述懐につながるのでしょう。それでも、座して死を待つには忍びないと、茫猿は今でも思っています。
我が鑑定業界に限ったことではないのでしょうが、瀋陽領事館的なことがあまりにも多すぎます。そんな中で、ワールドカップという目くらましに騙されている内に、大袈裟な物言いではなく、着々と国家総動員体制が進められつつあります。
城山三郎氏が、大正末期、昭和初期の状況と酷似していると嘆かれていますが、氏の嘆きが広がりを持たないのが何とも不思議です。盗聴法案に始まり有事立法や国民総背番号や個人情報秘匿法案などが、或いは公共事業のすり替え延命法案(新森林基本法)が着々と進められてゆくのに、
フヤケタ若者達は、素知らぬ顔を決めつけて、携帯で造られるバーチャル友情に逃避している。心ある若者は既に日本に見切りを付けて、競争市場の米国か、巨大市場実現目前の中国か、はたまた神秘とカオスの印度へと身も心も向かっているのでしょう。
寄らば大樹の陰、事勿れ主義、そのくせ妙に事大主義の大人達は、ますます若者達に見切られ、見捨てられてゆくのでしょう。
シレッとした、訳知り顔で「政策として核兵器保有は考えないが、憲法の範囲で核兵器保有が検討できる。」よくもよくも言えたモノだと思います。あまりにも、想像力に欠けた物言いであり、己の立場をわきまえない物言いだと、呆れ果てます。それを受けて「たいしたことはない」とのたまう総理を頂く国民であることが、何ともはやの思いです。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・・・・
冒頭で「瀋陽領事館的なことがあまりにも多すぎます。」と書きました。
このことの内容は、領事館員の無様な対応を云っているのではありません。鬼の首でも取ったように騒ぎまくるマスコミ対応を指しているのです。
亡命者や難民に私達はどのような態度で向かうのか、特に近々発生する可能性が高い北朝鮮難民にどのように応接するのか、「拉致事件」とか「日本人妻里帰り問題」とか、日本と北朝鮮の間には様々な問題があります。
しかし、日本が朝鮮を統治していた歴史的事実はそれほど古いことではなく、何よりも一衣帯水の長い交流の歴史を持つ隣国であるということ。蒙古斑を共有する民族同士であると云うことを、どう考えてゆくのか。
TVに訳知り顔でのさばるコメンテーターとやらに、お聞きしたいものです。
上辺の些末現象に眼を奪われていると見えるモノも見えなくなります。
・・・・・・蛇足その2です・・・・・・・・・
湾岸戦争とアフガン戦争の共通点を考えてみる必要があるのでしょう。
空爆とミサイルに依存する戦争はバーチャル的であり、ビジュアルでもあります。地上戦を極力回避するから人的損害も押さえられる。(ただし、優位な攻撃側に於いてのみですが)
こういった戦争は、在庫処分見切りセールに似ていると思いませんか。武器弾薬の在庫処分によって潤う者は誰か、推理小説の謎解きみたいですが。戦争で利を得るのは昔から兵器商人と兵器製造業者と云われますが、近代戦争では一見無関係な企業が、実は深くコミットしていることが多いのです。
造船・飛行機メーカーは当然のこととして、車両メーカー、電子機器メーカーなど、意外な企業が産軍複合体を形成しているという現実を承知しなければならない。その意味では宇宙産業と軍需産業は重なり合うことが多いのです。
産軍複合体の危険性を指摘して大統領の座を去ったのは、軍人出身のアイゼンハワー元帥でした。対イラクを含め戦争拡大に反対しているのが軍人出身のパウエル国務長官であるというニュースが教えるモノは一体何なのでしょうか。ヴェトナム戦争を拡大したマクナマラ長官は銀行家であったという事実と照らすときに、見えてなかったものが見えてくるような気がします。
そういえば、小泉純一郎というお方は、旧大蔵族議員の筆頭だと聞きました。「備え有れば憂いなし」とはいうものの、何に備えるのかを一向に示さない、レトリックだけのアジテーションに振り回されるのはもう御免被りたい。 声高に正義を振りかざすようになった時が、実は一番危険な兆候なのだと
歴史は教えています。
・・・・・・蛇足その3です・・・・・・・・・
城山三郎氏の著作は沢山ありますが、なかでも茫猿がお薦めするのは難役の第5代国鉄総裁を引き受け,勲1等を固辞した石田禮助の気骨を描いた、「粗にして野だが卑ではない」 そして最近作の、8月15日を過ぎて特攻機で飛び立った若者を描いた、「指揮官たちの特攻」の二冊です。
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