映画「硫黄島からの手紙」を観た後で、書かなければと思いながら忘れていたことがあった。週刊金曜日07.02.16号:ずぼらのブンカ手帳記事で思い出したので書いておきます。
この映画は紛れもなく、クリントイーストウッドが監督するハリウッド映画である。出演者の多くは日本人俳優であるが米人俳優も多く出演している。
戦闘シーンでは日本人も多く倒れるが、米人も日本軍一斉射撃で多く倒れている。なかで、映画終盤に捕虜にした日本兵を見張りが面倒だからと、米兵が射殺するシーンがある。確か「ジュネーブ条約!!!」という会話もあったようだが、射殺してしまう。
この描き方はある種の意味でフェアだと思うが、映画館でこのシーンに遭遇した時は驚いたし、寒気がした。戦争というものの真実がそこに描かれているように思えたからである。『戦争なんてものは、人知を尽くした殺し合いにすぎない』というイラク戦争にも通じる「透徹した論理」がそこに存在するのです。
※週刊金曜日
※硫黄島からの手紙
※公式HPに掲載されるクリントイーストウッドのインタビューより
『ですからこの映画はどちらが勝った負けたの映画ではないのです。戦争というものが、特に若い人たちの人生を中断させ、あるいは人生を失わせて、どういう効果・結果を及ぼしたかを描くことが日本側のポイントです。』
『今まで私が見て育った戦争映画は必ず味方と敵があって、片方が良いという構図でしたが、人生がそうでないのと同じように戦争も善悪の線が引かれるものではありません。両方が国を守るという使命のために同じ経験をして、同じ恐怖を味わったということをこの映画で伝えたいです。それから硫黄島には1万2000人の霊が眠っています。今、彼らが捧げた命に対して敬意を表するときだと思います。また戦ったアメリカ人のためにも敬意を表す時期だと思います。両方が犠牲を払ったのです。両方が戦争の中で辛い思いをして戦ったと、今の若い人々にそんな若者たちの生き方を示したい、そしてあの島で亡くなった方たちへ敬意を捧げたいと思います。』
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