【茫猿遠吠・・国土地理院の実験開始・・03.07.16】
国土地理院が「電子国土ポータル」と称する Web Site サービスの実験を開
始しました。
電子国土ポータルとは、次の様な Web Site サービスです。
詳しくは、下記のURLからご参照頂けばよろしいが、
一部を地理院サイトより引用します。
「電子国土」 http://cyberjapan.jp/index.html
21世紀においては、各種の情報は位置情報と結びつくことにより飛躍的に
価値が増大し、有用性が高まると考えられています。
そして、地理情報システム(GIS)や汎地球測位システム(GPS)の実用化により基
本的なツールがそろい、これらが実現可能となっています。
「電子国土」とは、数値化された国土に関する様々な地理情報を位置情報に基
づいて統合し、コンピュータ上で再現するサイバー国土をいい、国土管理の重
要なツールになることが期待されています。
地理情報の必要性は増し、その内容が多様化する一方で、特定の機関がすべ
ての情報を整備し供給することは現実的ではありません。
そのため、それぞれの地理情報の作成者がその情報を発信し、利用者は必要な
情報を探し、自らの責任で目的に応じて加工し、利用できる環境が求められて
います。
「電子国土」はこの要請に応えるものとして、インターネットを利用して、い
つでも、誰でも、どこでも、いつのものでも、誰のものでも、国土に関する様
々な情報を統合して、国土の管理や災害対策、行政・福祉情報の提供など、幅
広い分野で活用できる機能を備えています。
平成15年7月、「電子国土」は第一歩を踏み出しました。「電子国土」に
地理情報重ね合わせの背景となる地図と利用のためのソフトウェアが発信され
ました。この地図はシームレスです。ネットワーク上で必要とする地理情報を
検索し、選択した情報はこの背景図に重ね合わせ、利用者のパソコンに表示す
ることができます。
『以上、引用終了』
大変興味あるサイトです。国土地理院のシームレスベクトルデータ地図の上
に、各種の情報を掲示して、各自のWeb Site で公開できるというシス
テムのようです。
早速に例示されているモデルを確認してみようとアクセスしましたが、アク
セスが殺到している様であり、地理院サーバーのレスポンスが悪化しているよ
うです。 逆に言えば、国土地理院の予想を上回る関心が集まっていると云う
ことでしょう。
不動産鑑定の世界は、地図を離れては、成り立ち得ません。
ブロードバンド時代だからこそ成立する、この地理院のサービスを利用しない
手は無かろうと思います。
同時に不動産鑑定士の存在を示すとてもよい機会ではないでしょうか。
我々不動産鑑定士がGISを使おうにも、基礎となる地図データが高すぎるの
が難点でした。地理院地図もご多分にもれず、高かったのですが、今回開始さ
れたサービスは、使いようによっては、とても面白いことになりそうです。
直ちに実用に耐えるかどうか疑問だなどと言っていないで、まずは試す価値
がありそうだと感じました。
地価公示・地価調査は国土交通省が地図情報サービスを開始するでしょうが、
我々も一緒に取り組んでもよいのではないでしょうか。さらに、固定資産税標
準宅地の地図情報サービスも、公益事業として我々が取り組んだら面白いと思
います。もちろんのこと、固定資産路線価等については(財)資産評価システ
ム研究センターにおいて、公開に向けて着々と準備が進められていることであ
り、鑑定協会などが関与する余地は無いのかもしれませんが。
※資産評価システム研究センター http://www.recpas.or.jp/
情報などというものは、時間の経過とともに、その価値が減じてゆきますし、
時間の経過とともに公開・伝搬の手段が変化してゆき、旧来型の情報提供事業
にこだわっていると、いつの間にか取り残されると云うことになるのでしょう。
その卑近な例は、国税庁の相続税路線価地図ではないでしょうか。
国税庁が、iNET上で路線価値図を公開し、さらにADSL等の普及により、
iNET上で楽々と読める様になったおかげで、旧来型の情報提供事業(その
一つは伝統的な路線価値図・図書発行であり、もう一つは比較的最近の事業で
すが、CDによる路線価地図刊行事業ですが)は、二つとも成り立たなくなり
ました。
不動産鑑定も単なる更地価格情報提供は業としては成り立たなくなっていま
す。その次の展開を考えるときに、こういった新しい情報提供形態の出現に出
会っても、指をくわえて見ているだけで、好いわけはなかろうと思います。
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