専門家の常識??

【茫猿遠吠・・専門家の常識??・・04.08.24】
 最近知ったサイトに「きまぐれ偏拾帖」というサイトがあります。
視点がとてもユニークで新鮮なサイトです。
サイト上での「SHINTAKKIN自己紹介」によれば『某週刊誌記者、某ニュースサイト企画編集、某現代思想系サイコアナリスト、某中国NGO企画委員、しかしてその正体は隠れプリキュアン。要するにぁゃιぃ奴(*°-°)』とある。
 でも、このサイトのトラックバック(リンクみたいなもの)や、コメント(読者のコメント)を見ると、主宰者だけでなく主宰者周辺の知的レベルの高さがうかがえる。そして、それらが渾然一体となって、いわば優雅なナレッジマネージメントを形成していると云える。
※「きまぐれ偏拾帖」 http://shinta.tea-nifty.com/nikki/
 さて、このサイトの最近の記事に「十年後のマンション価格」、「続十年後のマンション価格」という記事が掲載されています。
※http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2004/08/mansion.html#more
※http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2004/08/mansion2_1.html
 この記事が大変面白い分析です。 東京都内のマンション価格について8/22・29号Yomiuri Weeklyが「東西430駅マンション10年後の価格」下がらない「光が丘」「新浦安」「セン北」/安定御三家は中央と東急2線/関西は阪急「稲野」「南茨木」という記事を掲載したのですが、 この記事について独自の切り口からなるコメントを掲載しているのです。
※8/22・29号Yomiuri Weekly 「東西430駅マンション10年後の価格」
http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/archive/04_8_22-29yw_moku.htm
※「きまぐれ偏拾帖」より引用
 不動産評価会社、東京カンテイのマンション売買データをもとに、「10年後に値下がりしにくいマンション」の駅を上位100駅までランキングしたというものだ。
 結論から言うと「下らない」の一言に尽きる。なぜかというと、10年後の価格下落率の予想方法というのが、「現在の新築価格と中古流通価格の単位面積当たりの差を求め、それを中古物件の築年数で割り、1年当たりの減価額の10倍を新築物件の単位面積当たり価格で割る」というものだからだ。
 このように一刀両断した後で、「きまぐれ偏拾帖」氏は、今どきマンションを買う人というのは、大きく以下の3種類に分かれると云う。
A.子育て中の30代ファミリー
B.結婚相手の代わりに自分の根城がほしい30~40代独身女性
C.第2の人生のための家がほしい50~60代定年退職夫婦
 A~C各マンション取得階層についての、筆者の分析はサイトを御覧になって頂きたいのであるが、Aの顧客層というのは、過去も現在もマンション一次取得者の主流を構成する層である。
「きまぐれ偏拾帖」氏は、A顧客層は子育て世代であり、子供の成長につれて必要な間取りも生活スタイルも変わってくるが、しかし子供の教育環境を考えれば度重なる転居は避けたいと考える年代であると分析する。
 その上で、A層がマンション取得に際して最も重要視するのは、将来値下がりしないかどうかということではなくて、マンションの所在する地域の教育環境であると云う。
 マンションというハード(不動産)の価値の変化などよりも、教育環境というソフトを重視して購入マンションを選択するであろうと云うのである。
茫猿がもう少し敷衍すれば、A世代は教育環境から居住する地域を選択し、購入か賃貸かは事後の選択であろうと云うことである。
 子供の教育環境として最適の地域を選び、適当な賃貸物件がなければ購入を選択し、逆の場合は賃貸を選択する。
 つまり優先されるのは、購入とか賃貸とかではなく、まして値下がり率でも値上がり率でもない、教育環境というソフトが重視されると云うのである。
云うまでもないことであるが、それらソフト要因の評価が将来価格に反映してくるであろうことは自明である。
 この点については、東京という大都市圏の公立教育環境が荒廃しているという実態が背景にあるのだろうと、茫猿は推量する。
茫猿自身は東京の公立教育環境について何も知らないが、石原都知事が色々な場面で都内公教育の荒廃を述べているから、都立・区立小中高校の荒廃は事実であろう。(進学状況などからも判るし、公立校改革が叫ばれていることからも推量できる。)
 茫猿のような不動産専門家は、えてして過去データの推移延長線上で将来を予測しがちである。また、駅とか建物グレードとか地縁などという従来型経験則上で不動産価値を判断したり、選択条件を考えたりしがちである。
 それに対して、「きまぐれ偏拾帖」氏は全く違ったというか、より斬新な視点から不動産を見ることを指摘しているのである。
「きまぐれ偏拾帖」氏はこの記事の結びで、「義務教育に対する国庫負担金廃止」と「マンション選び」との関連を指摘するのである。
 似たような視点で、「星野リゾート」についての日経ビジネス記事も興味深いものがある。星野リゾート社長の星野佳路氏は、リゾート経営について「リゾート運営の達人」というビジョンに基づいて、利益率、顧客満足度、環境配慮という三項目で具体的な数値目標を設定し、さらに顧客満足度調査を行っているという。
 星野リゾートは、アルファ磐梯リゾートやアルファリゾート・トマムの再建を手がけて著名になりつつあるのだが、リゾート経営の基本コンセプトからハード重視の過剰投資を排除し、環境配慮と顧客満足度重視といういわばソフト重視路線を進めているのである。
 このことは、星野リゾートのサイトを見れば直ぐに判ることで、このサイトのトップに来るのは「ピッキオ」という軽井沢自然レポートである。
自社の宿泊施設紹介ページが無いわけではないが、サイトのなかの一部であり後半である。
 星野リゾート http://www.hoshinoresort.com/mindex.html
 もっと面白いのは、以下のURLをクリックしてみて下さい。
 http://www.hoshinoresort.com/
 クイズに答えられなくとも、何度も挑戦すれば正解に至りますから、試してみて下さい。
 鑑定評価の専門家は、リゾートを考えるときに、環境配慮とか顧客満足度とかリピーターとか、時にはグリーンツーリズムなどというものも視野においてはいる。町おこしでも景観保全、時には景観復旧も考えるかもしれない。
でもそれはハード的視点に止まったり、従来型の評価視点や評価視野を抜け出てはいないのでなかろうか。
 ところが、現場の実態はそういった従来型旧態型観念論や机上論を越えたところにあり、二極分化的事実が先行しつつあるのではなかろうか。
ここでもハードの占める位置は相対的に低下し、ソフトが重視されているのである。水道を温泉と偽るのは論外だとしても、白濁温泉に拘るあまりに入浴剤を混ぜた温泉地と較べ併せて考えると、とても哀しいのである。

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