国交省の指摘

 内閣府・規制改革 民間開放推進会議に関連して「士業に関するアンケート(H18.10.11)」や鑑定協会回答書等を記事にしてきましたが、詳細が不詳であった「全国不動産鑑定士会(有限責任中間法人・H18.4.1設立)」について、サイト情報が寄せられました。全国不動産鑑定士会の詳細や一連の経緯がこのサイトで詳しく判ります。また10/20国交省発、(10/23鑑定協会経由)副会長宛の興味ある文書も開示されています。


・一連の経緯を有限責任中間法人全国不動産鑑定士会サイトから読む。
・鑑定協会から副会長宛に10/23付、転送された国交省文書を読む。
 全国不動産鑑定士会は、サイト最新10/31付記事のなかで鑑定協会事務局回送国交省文書を指して「自らの意思で理事会で機関決定した意見を覆えさせる意図のPDFであり、私的自治への行政の介入の典型である」と云う。
 H18.9に規制改革・民間開放推進会議が実施した「士業に関するアンケート」に関する茫猿の考えは既に示したとおりである。アンケートについて鑑定協会の一連の経緯はAPPRAISAL OPINIONや全国不動産鑑定士会等が指摘する通りであろうと推量されるし、会長回答書でもその慌ただしい過程を述べている。
 全国不動産鑑定士会は強制加入化を求める意見書を9/21に規制改革会議宛に提出しており、遅れて鑑定協会も回答書で説明するとおり強制加入化を是とする意見書を提出し、9/26理事会で事後承認されるものである。会長回答書が明かすところでは、この方針決定を一日の内に専決行為として行い、理事会は数日後に事後承認したのである。
 国交省文書が指摘するのは、「鑑定協会の準備不足」、「鑑定協会の合意非形成」、「周辺業務拡大や証券化業務問題等の客観的条件」を云うものであり、示唆に富むものである。
 鑑定協会会長は「任意加入では限界があると信じ、私の責任において理事会に付託し承認されたものです。」とBlog:鄙からの発信に回答するものである。強制加入化は今や鑑定協会の総意であるとも云えるわけである。
 鑑定協会は強制加入化を表明し、全国不動産鑑定士会も強制加入化を推進するものである。全国不動産鑑定士会とは前回会長選挙において現横須賀会長の対立候補者であった清水文雄氏が代表者である。いわば、一見すると鑑定業界の総意が強制加入化、士法制定に向かうようにみえる。しかし10/20文書を読む限りにおいて、強制加入化について所管庁の意見は否定的である。
 新スキーム全国展開の成否が峠を迎えている現時点において、所管庁とことを構えることの戦術的適否は現場の空気を知らない者としては正直なところ不明である。会長はじめ役員諸氏の的確な判断を願いたいところである。
 業界の指導者は勇ましいスローガンを掲げるだけでなく、足元の状況を正しく見つめたロードマップも示してほしいものである。士業併存の40年余の歴史は軽々に転換できるものではなく、一つ一つの障壁を着実に確実に解きほぐしてゆかねばならないと考える。現実を直視することなく、無理をすれば外部障壁を高くし、内部亀裂を増幅するだけであろう。
 その意味において、鑑定協会も全国不動産鑑定士会も、H17事業報告に云う「不動産鑑定法を資格者の強制加入を前提とした士法に移行する場合のプラス面及びマイナス面、士法改正に際してのハードル等」について改めて検討してほしいし、国交省文書が懸念を指摘する事項についても的確に答えてほしいものである。
【 さはさりながら、大義(士法制定)と優先戦略(悉皆調査)を秤にかければ、大義に殉じるという選択は魅力的なのである。 】
  

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