一昨日のこと、今月末に開催される「続・びわ湖会議・不動産DIサミット 2015」の、分科会編成などの詳細案内が届けられた。会場の収容人員にはまだ少しの余裕があるようで、今からの申し込みも受付可能のようである。
詳細案内と同時に届いたのは、会議参加申込者が主催者の質問に答えて、申込書に添付書き込みした意見総覧である。届いた意見集は14頁3万字近いものである。
それら意見の一つ一つを転載することはマナーとして許されないが、印象に残る意見について概略を記してみる。
【主催者が発した質問】
● 不動産鑑定士や業界の知名度が今ひとつ高くないのは何故だと思いますか?
★不動産鑑定士の社会的責任(ASR)・世の中との信頼関係の構築(PR)と言う観点から、 グループ会議で取り上げてほしいテーマとそれに対するご意見をお聞かせください。
【印象に残る意見というよりも、多くの意見】
● 業務受注先が官公需に偏重し過ぎていること。
●官公需に安住し、民需を発掘する努力を怠ってきたこと。
● 対外活動の意欲に乏しく、内向き姿勢に過ぎること。
● そもそも鑑定士の数が少ない。
● PRもパブリシテイ意欲にも欠けること。
いずれも何度となく言われてきたことであるが、有効な打開策が見つからなかったことである。なんといっても、実働人数が五千名程度と云うミニ集団であることが、マンパワーとしても資金力としても最も影響が大きいのかもしれない。しかも、実態としての実働数はもっと少ないかもしれないのである。
【そんななかで、目を引いた意見というよりシニカルに感じた意見】
● 鑑定評価が取引価格を決めるのではなく、取引価 格を基礎として鑑定評価を行っているため、取引価格が形成される民間市場における鑑定需要は発生し難い。
● 本来の職能からすれば、裏方に徹して 目立つ必要はない。行政や他の専門家など玄人に 認められ、信頼されることこそ重要で、こういう 渋めの方向性も良かろう。慣れないスタンドプ レイに走り、墓穴を掘ったのでは元も子も ない。
【自虐的ではあるが、一面の真理をついているともいえる意見】
● 依頼があって始まるサービスの特質上、売りに 行って売れるものでもなく、客待ちの姿勢とならざるを得ない。歓楽街のホステスさんに似ているとも云えるのである。 ホステス稼業では、同業同士お互い疑心暗鬼に苛 まれ、嫉妬心ばかり醸成され、売れないと過剰サ ービス(迎合評価、低額落札など)までやりかね ない。このような実態を、発注者側から冷ややか に見透かされているのではなかろうか。
《よくよく考えてみれば、専門職業家は大なり小なり受注業務である。医者も弁護士も司法書士も行政書士も受注(需要)があって初めて始まる業務である。問題は個人や多くの法人にとって需要が発生する頻度が高いか少ないかであろうし、その業務量の多寡であろう。 病気になる頻度、法律的トラブルに遭遇する頻度、相続問題が発生する頻度に比べて、不動産鑑定の必要度や如何にであろう。》
【新しい試みの提案】
★任売市場の受け皿づくりを「士業連携」により達成しようとする試みがある。
【終わりに、茫猿の書き込み】
●広義的にいえば、社会的な需要の存在がうすれ たことにある。狭義的にいえば、斯界が既得権や 既存の業務にこだわり続け、時に内部の利益争い や利便性競争に明け暮れていることにある。
★DI 調査はそれを打破する有効かつ有力な手段 の一つと考えられる。 滋賀会が開始されて以来、 数年を経て全国に普及しつつあることは、喜ばし いことであり素晴らしいことである。さらに拡大 して全国展開されることが待たれるものである。
DI 調査の優れた点は、一つに宅建業界とのコラボ レーションにあり、鑑定業界と宅建業界とのさら なる融和が期待される。 もう一つは唯一といっ ても過言ではない不動産市況の現場に密着した 動向調査である点にある。 この種の調査は数年 あるいは十年以上の積み重ねを経てその真価が 発揮されるものであり、今後ますます DI 調査の 意義が高まってゆくと考える。継続こそが力であ る。
社会における斯界の存在感を高めてゆくのに、即効薬も特効薬も存在しないのであり、地道な努力の積み重ねにこそ活路が見出だせるのだろうと 考えます。
その意味からは・・。 不動産の取引情報において、
1.地価公示事例カードに過度に依存することは、 もはや止めるべきである。
2.不動産の取引情報は、取引価格が不明であっ ても重要な情報であることに、早く気づくべきで ある。
3.《価格が不明であっても》取引の発生箇所、 頻度等の有効な情報は多岐に存在するのであり、 それらの宝の山の有効活用、分析特に地域に密着 した分析、並びに社会への発信が待たれている。
★地理情報の活用、不動産を語る上で地図は欠かせないアイテムで ある。この地図についてデジタル化地理情報の広 汎な活用が期待されている。全国一斉が好ましい としても、それが困難であれば、できるところか ら始めてゆくという姿勢が待たれている。 その 意味で DI 調査の手法論は大いに参考となるもの であり、地理情報の活用、取引情報と地理情報の リンクや融合、DI 調査と地理情報のコラボなど手 がかりは少なくないと考える。
もう二週間後に迫った「びわ湖会議」である。全国から二百名近くの同憂の士が集まる会議である。懐かしいあの顔この顔に再会できるのが一番の楽しみである。
《 チョコ一つ 届くあて無し 雪の朝 》 破戀怠院・茫猿
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