梅の花ガクといっても花学ではない。花萼《萼》のことであり、花のいちばん外側にあって花びらと枝を繋いでいる部分のことである。我が鄙里の梅は白梅が大半であるが、樹齢が異なっており、開花時期も半月以上の差があり、果実も大小さまざまである。最も異なるのは花ガクの色である。
花ガクが緑色のものと紅色のものと、二種類の白梅がある。品種名があるのだろうが、茫猿より年嵩の古木はもちろんのこと、茫猿が植栽したものについても随分と以前のことだから記憶に無い。
さて、花ガクが薄緑色の梅は、つぼみも緑がかっており遠目にはとても清らかに見えるのである。花ガクが紅色の梅は、つぼみも紅色であり、遠目には白と紅のグラデーション効果から、艶やかに見えるのである。
写真の左が花ガク薄緑色、右が紅色の梅である。ガクの色が花芯にものぞいており、ガクの紅色が花びらに映えて、白梅なのに薄桃色の花のように見える。 どちらが好みというのでもない、両方ともに好ましいのである。
梅は咲いた。桜はまだ暫しを待つこの季節が好ましい。かつて、梅は咲き初め二三分咲きが好ましく、桜は散り初めが好ましいと書いたことがある。
梅は半ばが佳し、桜は残が佳し : 2012年3月1日
この気持ちに今も変わりはないが、正月飾りにと梅と松に笹竹、ナンテンなどを大瓶に生けて玄関先に据えておいたら、笹は早くに枯れたが蕾の梅は二月に入ってから少しずつ咲いた。咲ききった梅の花びらが瓶の廻りに散っているのも佳きものである。《ところで、この小さな二枝を水盤に差しておくだけで、部屋のなかに梅の香しさが漂っている。》
桜を待つまに椿を愛で、マンサクやサンシュユを楽しんでいる。三寒四温とも一雨毎の暖かさとも云うこの季節、風は冷たくとも日ざしは昨日より今日が確かに暖かい季節である。畑を耕すと必ずやってきて柿の梢にとまり、私が立ち去るのを待っていたモズが今日は姿を見せなかった。代わりにムクドリがきていた。桜の花をついばんで散らすのはムクドリである。
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