桜桃

新聞もテレビも「森友問題・決裁書類改竄」問題で騒いでいる。特にワイドショーは、誰がなんの意図で改竄または書き換えたかを話題にしている。この追求は問題の矮小化を生み出している。

ことの根幹は、国有地の廉価払い下げ問題なのだが、森友学園の籠池泰典夫妻は詐欺容疑で2017/7に逮捕され、いまだに拘置中である。名誉校長をつとめ口利きの疑いもある総理夫人安倍昭恵氏は、記者会見すらなく無言のままである。いま一人の当事者である佐川前国税局長官は近く国会に証人喚問される予定だけれど、「訴追の恐れあり」として、一切を語らない可能性も高い。

全ては藪の中で落着させる気配が濃厚だけれど、前号記事でもふれたように国会議員一人一人の政治姿勢や倫理観が問われているのであろう。国有地取引をめぐる財務省の決裁文書について、問題発覚(2017年2月)後に書き換えられた疑いがあると3月2日に朝日新聞が報道した。誰がなんの意図で改竄したか、誰の指示で改竄したのかも重要であるが、改竄事実を朝日新聞報道まで知らなかったと云うのは無理がある。そうだとしても、総理や財務大臣の政治責任や任命責任は免れないことであろう。

さて、鄙里の寒緋桜は五分先くらいだろうか、寒緋と云うけれど、今日は五月の陽気である。暖かい陽射しのなかで眺める桜は風情もいまひとつである。

植え付けて三年目の桜桃が今年初めて花を付けた。六月には桜桃の実が楽しみだけれど、さて如何なるか。

《引用追記 「桜桃口惜し」2016/05/16》 近頃、因幡の友人がサクランボの収穫を孫と楽しんでいるとSNSに書き込んでいた。茫猿は少しばかり口惜しい思いをしているのである。 そこで一念発起、昨秋に暖地栽培品種サクランボを数本植えたのである。この木々が花を咲かせ、実を付けるまでに三、四たびの冬を越さなければならないだろう。孫とサクランボ狩りを楽しめるのは、まだまだ先のことなのである。もっと早くサクランボに目覚めていればと口惜しく思うのである。ついでのことにもう一つ、今の鄙桜。

これから、太宰治の桜桃でも読み返してみるか。
私の家では、子供たちに、ぜいたくなものを食べさせない。子供たちは、桜桃など、見た事も無いかもしれない。食べさせたら、よろこぶだろう。父が持って帰ったら、よろこぶだろう。蔓つるを糸でつないで、首にかけると、桜桃は、珊瑚さんごの首飾りのように見えるだろう。

 しかし、父は、大皿に盛られた桜桃を、極めてまずそうに食べては種を吐はき、食べては種を吐き、食べては種を吐き、そうして心の中で虚勢みたいに呟く言葉は、子供よりも親が大事。
《太宰治:桜桃より》

《前川前次官の講演、報告求める 文部科学省 3/15配信 中日新聞デジタル》
 名古屋市立の中学校で2月、文部科学省前事務次官の前川喜平氏が授業の一環で講演したことをめぐり、文科省が市教委に対し、前川氏を呼んだ狙いや講演の内容を問い合わせ、録音データの提供を求めていたことが15日、わかった。文科省が個別の学校の授業内容について調べるのは異例。

こんな調査が横行すれば、学校現場の萎縮を招く。
”現場の萎縮を招く”のが、調査の真の目的なのか。

それにしても、何の為にこんな嫌がらせをするのか、
前川氏に自由に喋られては困るからだろう。
官僚組織が守らねばならない秘密が存在し、
その秘密を知る元上級官僚が存在するとすれば、
その元官僚を排除しようと考えるのが自然なことだろう。

《ヒヨドリくん》
すっかりお馴染みになったヒヨドリくん。たまに二羽でやってくるが、ほとんどは一羽で、まず桜の枝に停まり、おもむろに夏柑に降りてくる。ひとしきり啄ばんだら、何処かへ飛び去ってゆく。寝ぐらは雑木林の中なのかも。
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