今朝はこの春一番の桜である。とは云っても開花以来晴れの日は殆ど無かったに、今朝は昨夜来の雨も上がり風は少しあるが花散らし程ではなく、心地好い朝である。
「しき嶋のやまとごゝろを人とはゞ朝日にゝほふ山ざくら花」本居宣長が61歳の自画自賛像に記した歌であり、巷間伝えられるような日本人のあるべき姿を謳ったものではない。ましてや散り際の美学などを歌ったものでもない。あくまでも自画像に添えて宣長自身の心の内を詠んだ歌である。
朝陽に 匂う(輝くように照り映える) 山さくら花
罪な歌である。「しき嶋のやまとごゝろを人とはゞ」と上句に置いてあるが為に、国学者本居宣長が「大和心(魂)」を提唱している歌として世に喧伝され、挙句は散り際の美学も伴って、戦陣に赴く兵士の心構えとして戦前の日本では知らぬ人のない歌になった。
宣長は61歳になった自画像を描き、筆のついでに「お前の心もちは」と問われれば、「朝陽に輝く山桜のようなもの」と記した。それが染井吉野桜のごとく、一斉に咲き一斉に散るその見事さ潔さ(イサギヨサ)よと歌われるようになってしまった。賛の意味も賛が詠んだ花も元のものとは転じてしまった。
今朝の鄙桜はまさに朝陽に匂う山桜である。(6時過ぎ撮影)一刻ののちに(7時過ぎに撮影)すでにサクラ色を増して散る花の色になっている。
散る前の彩り清かなり鄙桜。つい五日前の桜花はとみれば、同じ花とも思えない。今朝の花が薄紅なれば、五日前の花は若緑なのである。
花変わって椿四題
《追記》このニュース、あまりの馬鹿馬鹿しさ愚かさに耳を疑った。
安倍総理は1日、再利用が可能な布マスクを全世帯に配布すると表明した。再来週以降、1住所当たり2枚ずつ、東京都など感染者の多い都道府県から順次届ける。日本郵便が持つ全ての住所に配布するシステムを活用する。政府関係者は感染が拡大している東京都から配布し、今月中に都内での配布を終えたいとしている。
マスク増産を推進する政策こそが重要なのに、郵政システムを使い全戸にわずか二枚のマスクを配布するなど、全戸配布は非効率不公平である。都内配布を終えるのが今月中なれば、全国配布を終えるのはいつなのか、かかる経費は幾らなのか。何より、単身世帯や老夫婦世帯に二枚配布はともかく、夫婦二人子供二人の標準世帯や三世代同居世帯は二枚のマスクをどう利用せよというのか。
麗々しく発表する”総理”が”総理たらずとも”、せめて愚策愚申した愚か者の顔が見たい。
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