如何に応えるか

-役員候補者は如何に応えるか-
 近く予定されている(社)日本不動産鑑定協会役員選挙は「不動産鑑定3月号・巻頭言・山下努氏著」に答える選挙であり、同じく、99年2月発行「不動産学会誌49号・鑑定評価デユーデリジェンスにおける評価をめぐって・大野喜久之輔著」に答える選挙でもあり、、さらに「不動産鑑定」98年6月号掲載のフォーラム32頁西村清彦氏の発言に答える選挙であろうと考えます。


一、近く予定されている(社)日本不動産鑑定協会役員選挙は「不動産鑑定3月号・巻頭言・山下努氏著」に答える選挙であると考えます。山下氏の述べる大意は次のとおりであります。
 「バブル崩壊前に、地価高騰現象は崩壊すると予感していた鑑定士もいるはずだ。これまで鑑定を歪めてきたものは何か。鑑定士はこの原因を徹底的に究明し、国民に説明しないと鑑定業の未来は無いと思う」(要約責任筆者)
 山下氏自身が文中で述べている、「生意気で挑発的な」、この問いかけに役員候補者は答える義務があると思います。
二、同じく、99年2月発行「不動産学会誌49号・鑑定評価デユーデリジェンスにおける評価をめぐって・大野喜久之輔著」に答える選挙でもあります。大野氏の述べる大意は次のとおりである。
 「一般に鑑定士が求めるべき適正な市場価格は次の三つである。
イ. 長期的とはいわないまでも、何らかの市場均衡的な市場価格。即ち正常価格。
ロ. 現実の売り手市場、買い手市場の実態を反映した適正な市場価格。
ハ. 直ちに売却すると想定した場合の価格。即ち換金価格。
 鑑定評価においては市場分析が重要であり、市場分析の結果を鑑定評価書に挿入すべきである。これは一般に鑑定評価が、競争的で合理的な市場、及び何らかの市場均衡状態にある市場を想定して得られる価格、即ち正常価格を求めることを原則とする以上、現実の市場を反映した価格との乖離を表示し、説明する義務があるのではないか。
 更には、不動産が内在するリスク、
1.非流動性リスク
2.経済変動リスク
3.ビジネスリスク(個別不動産ビジネスリスク)
について的確に分析し、鑑定評価書を通じて、依頼者及び社会に対して情報発信すべきである。そのことが重要なリスクヘッジ情報を提供することになる。」(要約責任筆者)
 この大野先生の論文に役員候補者は答える義務があると考えます。
三、「不動産鑑定」98年6月号掲載のフォーラム32頁西村清彦氏の発言
「不動産鑑定士というエスタブリッシュされたものは、逆にある種のデイスアドバンテージ負っていると考えた方がいい」
 国家試験に合格し、業を法に守られる鑑定士はエスタブリッシュメントであると自負します。しかし、だからこそNoblesse Obligeが求められるのだと考えます。鑑定士には社会に対する義務と責任があり、不動産の専門家としてのアカウンタビリテイが要求されると考えます。
 「土地政審の意見」にみられる通り、比準価格重視から収益価格重視への流れ、取引情報公開の流れ、この両流は止めようもなく、又、社会の目指すところでもあります。さらに、我々鑑定業界を取り巻く世の流れは、コンピューターネットワークへの流れであり、情報公開と情報共有への激流だと思います。
 しかし、世の中がいかに変わろうとも、変わってはならないものもあります。この変わるべきものと、変わってはならぬものを見極めることが大事であり、激流に翻弄されることなく溺れることなく、漕ぎ渡ることこそが今求められているのだと思います。

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